衝撃の事実
夜になって、いつもの賞金を届けてくれる人が来た。
倒した人数分らしいそれを受け取りながら僕は、
「あの人達は、やっぱり“悠久の立方体”を作ろうと狙っていたみたいです。ご存じだったのですか?」
「予測はしていたが、今回捕まえた彼らのうちの何名かが、目を輝かせながら我々に説明していた」
「……そうですか」
「やはり、女神様の与えたスコップというのは、本当であるらしいと納得したよ」
「? 女神様とお話を?」
「ああ。今回逃がした残党を追跡していたのだが、そこで女神様から神託があり、君達にお任せしろと」
「そうだったのですか」
相変わらず女神様は僕に好意的だったな、僕が春休みに何かでっかい事をしたいって言っているとそれを叶えてくれたのだ。
ただ、このスコップの凄さが今一よく分からないのだが。
そう僕が思っているとそこでその賞金を持ってきた人が、
「やはり、女神と人の末裔である“アルバ村”の住人、しかも、その昔女神がほれ込んだ男性に良く似ていた君だからこその加護というのは本当かも知れないね」
「……え?」
「おや、君達の間ではその話はもう伝わっていなかったのかな? これは失礼。まあ、我々の間でもごく少数の人間しか知らない話しだがね。……では、失礼するよ」
そう言ってその人は去っていったのだが、僕としてはそんな話知らないよう状態で。
「……え?」
お金の袋を手に持ちながらしばらく僕は、茫然としていたのだった。
どうやらうちの村の住人は、女神様の末裔らしい。
そんな衝撃的な事実を聞いた僕は冷静に考えて、
「つまりあのエーデルさんは、僕の“おばちゃん”になるのかな?」
「あら~、面白いわね。そう言ってみるのをお勧めするわ」
女神様の楽しそうな声が何処からともなくした。
それを聞きながら、
「そうなると女神様は、僕の“おばあちゃん”になるのでしょうか」
「……うん、ごめん。せめて、“お姉さん”と呼んで欲しいかしら」
「あ、はい。ティラスお姉さん?」
「……何だかエーデルとかぶるから止めて。女神ティラス様でお願いするわ」
「はい、女神様」
「素直ないい子は大好きよ。それでどう? でっかい事をやり遂げた気がする?」
くすくす笑いながら女神様の声がするが、僕としては、
「僕の出番があまりない様な」
「あら、あの子達は嫌い?」
「いえ、いい人達だとは思います。集まってワイワイするのも楽しいし」
「でしょ? そういった子が集まるよう……正確には、変な子が集まらないようにしておいたし。それにうちのユウトちゃんをそこまで危険な目にあわせられないもの。ふふっ、今、貴方達がしているのは十分凄い事なのよ?」
「多分そうなのかなと思うのですが、あまり実感が無いです」
「うーん、ユウトちゃん達強いしね。エーデルもいるし。油断は禁物だけれど、これで苦戦しろって言う方が無理だしね~」
「でも平穏にお姫様が元に戻るし、悪い奴らも倒せるし、でっかいことはしたのかな?」
「そうそう、そう思っているのが一番よ。怪我もしないしね。じゃあそろそろお休みの時間かしら。じゃあね~」
そう軽い声で女神様が僕に言って、僕もお休みなさいと答え、僕はそのまま眠りについたのだった。




