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じり貧てわけね。ザマァ

 突然の悲鳴に僕は慌てて魔法を止めるよう念じてみた。

 荒れ狂う突風が、ぷすんと音を立てて瞬時に止む。

 暗闇の中を一応は確認したはずだが、人がいるなんて僕は思わなかった。


 どうやら岩陰に隠れる様にその場所にいたらしい。

 丁度もう少しいった所が大きな広場の様な空間になっており、そこには人がいないようだったのでと思って僕は魔法をうってしまったのだ。

 まさかあんな場所にいるとは思わなかったので、僕はどうしようと思っているとそこで、


「くくく、やはり我々の存在に気付いていたか」


 そんな声が響いて、僕達から離れた横穴から何人もの人間がぞろぞろと現れる。

 全員が何処かで見た事がある様な服装をしている。

 僕は周りを見渡して、先ほど倒してしまった人の声がした方を目を凝らしてよく見る。


 その人物は彼らと同じような服装をしている。

 つまり、偶然にも僕は、賞金のかかった彼らをまたも倒してしまっていたのだ。

 よかった、普通の人に大怪我させたのではと僕は焦ったけれど、彼らは頑丈なのであの程度でくたばりはしないだろう。


 そう僕が思っているとそこでそのボスらしき人間が、


「我々の邪魔をしているようだが、そうはさせないぞ、魔女エーデルとその愉快な仲間達!」

「エーデルさん、僕はエーデルさんの愉快な仲間たちなんですか?」

「一緒に行動しているのだからそう見られても仕方がないわね。それよりも、私が貴方達を倒して回っていると貴方達は思っているみたいだけれど、違うからね?」


 そう告げるとボスらしき人物はしばし黙り、笑った。


「嘘も大概にして下さい。我々のアジト全てをひねりつぶしているくせに、それではなんですか? 他に理由があるとでも?」

「ええ、ちょっと作りたい物があってね。その材料を探しに来たら貴方達が攻撃してきたから、私達も止む追えず撃退したの。本当に残念だわ~、私達に攻撃してこなかったら、アジトは潰されずに済んで、仲間も裏切らなかったのにね~」

「く、お前の変な魔法のせいで、我々の捕らえられた仲間がペラペラ話しだして正義がどうのこうのといいだして……我々の正義はどうなった!」

「別に貴方の正義がどうだろうと関係ないわ。私の邪魔をしたから倒した、私を騙ったから倒した、ただそれだけよ」


 馬鹿馬鹿しいし興味がないわというかのように魔女エーデルが告げる。

 それを聞いてそのボスらしき人が怒りの表情を浮かべ、


「そんな雑魚の様に扱いおって。そもそも何で我々の前にお前達が現れる。まさか“悠久の立方体(エターナル・キューブ)”を作ろうとしているのではないだろうな?」

「あら、よく分かっているじゃない」

「なるほど……それはいい事を聞いた」


 ボスらしき人物が笑うがそれを魔女エーデルは鼻で笑い、


「あら、それを私から奪おうとでも計画しているのかしら?」

「そのまさかだ。材料がほぼ集まっておらずアジトも全滅しかかっている状況では、どうしようもないからな!」

「つまり、じり貧てわけね。ザマァ」

「こ、この、お前達、やってしまえ!」


 その言葉と共に一斉に彼らは襲ってきた。

 ボスの会話が終わるまでこの人達はずっと待っていたのか~、と僕は思いながら僕もまた攻撃態勢に移ったのだった。


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