ぷりん
入り口の所にやってくると先ほどの中年の男性がそわそわしたように待っていた。
入場場所にいた管理の人がどこかと連絡をとっているのが見えるが、そこで、中年の人が、
「ふたりとも無事だったか!」
「……教授、まっさきに逃げましたよね」
「しかも僕達は色々な荷物を持っていましたしね」
恨むように助けられた人質の二人が言っていたのだが、それ以外は、目立った外傷もなく救出を出来たのは良かったと思う。
そして倒した彼らのアジトを確認に来た警察の人達にもう一度案内して、それから、また君達かと言われてしまった。
事情により先に姫様達には帰ってもらっていたが、今回はちょっと偉そうな人が来たように思う。
そしてまたも宿にて、後で賞金は届けさせると言われてしまう。
ついでに後2つほどアジトがあるらしいから、壊滅させておいてくれと言われてしまった。
「今回の二回ほどは偶然なのですが」
「二度あることは三度ある、ともいう。そんなわけでまた見つけたら頼む」
と言われてしまった。
そしてそれを聞いた魔女エーデルが、
「そんな偶然、何度もあってたまるか」
「そうかしら~、くすくす」
楽しそうな女性の声が聞こえて、魔女エーデルは空を見上げて、
「ま、まさか、お姉ちゃんが関与しているの!」
「私は関与してないわよ~。全部偶然の賜物。だから楽しいのよね、傍観者って」
「く、一番安全で楽しそうな位置……そろそろ私もそっちに戻してよ!」
「その前に、良さそうな男を見つけてらっしゃい。いい加減振られてばかりで、お姉ちゃん心配だわ」
「……う、うわぁああああああんんっ」
魔女エーデルが、泣きながらその場から逃走していく。
今日はどうやらここでお別れのようだ。
それを見送りながら僕達は、どうしたかというと。
アオイがポツリと呟いた。
「魔女エーデルがいないから馬車で帰れるわね」
その言葉に僕達は頷いたのだった。
結局、馬車が車で待つ間、湖の湖畔のカフェでデザートを僕たちは食べていた。
何種類ものパフェやケーキが並ぶ中、僕達が選んだものは、
「お化けプリンパフェです」
「「「「おおー」」」」
僕の頭くらいの大きさの巨大プリンに、濃厚なカラメルソースのかかったもので、果物やクリームがふんだんに飾られたデザートだ。
それを僕たちは小皿に取り食べていくのだけれど、そこでミナトが感動したように、
「そうだ、こうやって友人と一緒にこんなものを食べてわいわいやりたかったんだ!」
「願いがかなってよかったね。だが、これからが“勝負の時”なのだ」
僕がそう告げるとミナトがゴクリとつばを飲み、
「どういうことだ?」
「少しでもで遅れれば自分の食べる分が無くなってしまうのだ」
「な、何だと、く、負けてたまるか!」
というわけで僕たちは、一斉にお化けプリンに手を出して食べていく。
ここの周辺で鶏とウシも飼っていて、新鮮な卵とミルクが手に入るとのことで、プリンは絶品だった。
こんな美味しいものがあるんだと僕は幸せを感じつつ、その大きなプリンを僕たちは皆で食べ上げたのだった。