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こうして僕は、伝説のスコップを手に入れた

 あらすじ的に説明しておくのもどうなので、どうして僕がお姫様に抱きつかれていたのかについて説明しようと思う。


「あー、いい天気だな」


 畑に雪トマト(赤くて丸い実の野菜)を取りに来た僕、ユウト・ヤマダはそう呟いて背伸びをした。

 黒髪に茶色い瞳で、幼馴染のユナには平凡だの普通だの言われている、そんな容姿だ。

 でも背は二年ほど前にユナを追い越した。

 あれ以来、ユナはこそこそ牛乳を飲んでいつか僕の背を追い越そうと頑張っているらしい。

 

「ユナは相変わらず、負けず嫌いだな」


 あの元気な幼馴染の女の子は、今日は風邪で寝込んでいるらしい。

 畑に行くついでに、今日は朝に起こしに来ないな~、と思いユナの家に寄った所、風邪を引いて寝込んだらしいと聞いた

 なのでさっき、畑の雪トマトを一個取ってきて額においておいた。


 風邪の時はこうしておいた方がいいとこの村の人ならだれでも知っている話だ。

 さてとと思って僕は籠に、雪トマトを5つほどもいで入れていく。

 この雪トマトはこの地方特産のこの時期……は旬の終わりごろだけれど、雪を養分にして育つ、甘くておいしいトマトだ。

 本日の朝食は、この雪トマトを使ったトマトシチューと手作りのパン、ハムである。

 

 極普通の一般家庭に育った僕は、もうすぐ16歳。

 この小さい村では中学校しか無いので、高校に行くには都市の寮にはいらないといけない。

 なのでこの春休みが終わったら、都市の高校に通う予定だ。

 ちなみに同い年である幼馴染のユナもそうだ。


「こ、高校も一緒に行ってあげてもいいんだからね! ユウトは一人だと危なっかしいし」


 と、ユナがいつもの様に言っていたんだよな、後でもう一度様子を見に行こう、そう思いながら朝食を食べに僕は家に戻ったのだった。









 この世界は双子の女神によって作られたという。

 ただ妹の方は、好き勝手したいということでこの世界のどこかにいるらしい……のだが目立たない? らしく現在は名前は伝わっていない。

 なのでティラス女神様ばかりが信仰されている。


 そしてこんな小さな村でも教会があるわけで、そして今日はその教会の神父さまがそこにいなかった。

 朝食を食べてユナの様子も見てついでに立ち寄ってみた僕であるが、そこでちょっとした好奇心がわく。

 ここ最近心の中で僕が思っていたことだ。

 なので、僕は周りに人がいないのを確認してから、


「女神様! 春休みで暇なので、何かでっかいことがしたいです」

「いいわよ~」


 何処からともなく女性の声がした。

 聞き覚えのない声に、僕は周りを見回したが、人影が何処にもない。

 そうすると、クスクスとした笑い声が何処からともなく聞こえてくる。

 

「も、もしや、お化け!」

「お化けなんて酷いわね、女神様よ」

「でも突然女神様が声をかけてくるとは思えない! 今までそんなの聞こえなかったし!」

「うん、話しかけてないからね。それで……でもでっかいことをしたいんなら、私の“遊び”につきあってくれるかな? チートっぽい武器のようなものもあげるわよ~」

「本当ですか! やります!」

「……そこは疑ったほうがいいような気がするけれど、まあいいか。ほかならぬ、ユウトちゃんがやるって言っているんだし」

「? 僕をご存知なのですか?」

「そうよ~、というわけでほら。伝説の“万能スコップ”」


 そう女性の声がするとともに、僕の目の前に光り輝く……ごく普通のスコップが現れたのだった。


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