違和感?
食事が終わるまで待っていてくれるらしい。
とりあえず瓶詰めの、冷却魔法が変えられた“三ヶ月リンゴ”のジュースを二人分取り出し、おやつにと買っておいたバタークリームとレーズンを挟んだクッキーを取り出し、
「僕だけが食べているのもなんですので、こんなものしかありませんが」
「ありがとうございます」
微笑み僕から飲み物を受け取るヒナタ姫。
今は僕の部屋なので覆面姿ではないため、こう、美少女がにっこりと微笑む姿を僕は間近に見てしまうわけである。
なので男として見とれてしまうのも当然だったりするのだが直ぐに食べ物に目を移した。
メイドのミミカがじっと僕を見ていたからだ。
粗相をしない内にと思ってとりあえず食事をとる。
そんな僕の目の前で、ミミカも毒味のためか姫のジュースを味見して目を輝かせつつ、自分の分をどことなく目をキラキラさせながら飲んでいた。
そして食事を終わらせた僕は、
「それでヒナタ姫はどうしてこちらに?」
「いえ、お礼の賞金なども含めて手渡しをしたいと思いまして。そしてできれば呪いを解くお手伝いをしてくださるユウト様についていこうかなと」
「? どうしてですか?」
「自分のことというのもありますし、その、初めて一緒にいて大丈夫な男性というのがその……興味がありまして」
「それはかまいませんが、お城の方は大丈夫なんですか?」
「身代わりをおいてきましたから、大丈夫です」
影武者か何かいるのかなと僕が思いながらも、僕は男性的な服装でいる、そう、剣まで持っているしと思いつつ、
「でも町の外は魔物もいますよ?」
「大丈夫です、私、いざとなったら女の子と結婚するかもということで王子としての境域も受けていますから、剣も扱えますから」
「そうなんですか。凄いですね」
「はい!」
微笑む彼女だが、何だか違和感が合った気がしたけれどそれは置いておくとして、
「でもメイドの子は大丈夫なのですか?」
「失礼ですわね。魔物なんて適当にフライパンや鍋で殴って倒すから構いません」
「それもそうですね」
言われてみれば幼馴染のユナも普段はそんな感じだった。
ただいつもは鍋を常備していないので、蹴りで倒していたが、さすがにドラゴンが出てきた時は深底鍋が必要だったと言っていた気がする。
でも一度でいいからドラゴンと遭遇してみたかったんだよなとあの時僕は思ったのだ。
お肉はまずかったけれど、やはり一度は戦闘してみたい。
そこでミミカが僕に、
「突っ込まないんですか?」
「? 何を?」
「いえ……そうですね、あの村の住人ならその程度……ぶつぶつ」
何かを真剣に考えだしたミミカ。
そこで僕は思い出したので姫とミミカに、
「魔女エーデルと今日遭遇したので、一緒に解除する道具を作る材料を明日探しに行くのですが構いませんか?」
「……魔女エーデルが見つかったのですか?」
驚いたようなヒナタ姫に僕は今日の出来事を説明する。
それにヒナタ姫はまあという顔にになり、メイドのミミカはむ~といった顔になる。そして、
「では私の呪いは確実に解けるのですね?」
「おそらくは」
「ではこんなふうに女子にちやほやされるのも終わりですか。それもちょっとさみしい気がしますね」
「……そうですか」
なにか変なことを聞いた気がしたが、明日の朝の集合場所を伝え待ち合わせの約束をし、姫とメイドは他の宿に泊まったのだった。