#5 記憶の再生 C
C.
中に入ると三人は驚いた。
なぜならそこはみんなが知っている病室とは違ったからだった。
普通はベッドが二つか四つ、広い部屋なら六つか八つおいてあるぐらいの部屋だ。
しかし、星羅とレイラがいた病室はどうだ。
ベッドを八つはおけるほどの広さの部屋には、
奥にベッドが二つ並んでいるだけで他にはなにもなかった。
それを目にして、カリアンは黙っていられなかった。
「な…なんなのよこの病室はあぁぁぁぁ…!!!」
「カリアンさん、一応ここも病室なのでお静かに…」とナハトが冷静に対応した。
「…………///」
急に恥ずかしくなったのか、カリアンは顔を伏せて黙った。
「自業自得だ。次からは気をつけろよ?」と紅。
「……………」
無言で頷くノア。
それを見ていた星羅は笑いながら言った。
「よかった、みんな無事で。元気そうでなにより…」
「それは私たちのセリフだよ!!急に倒れたと思ったらあんなことに…!それに…」と言ってナハトのほうを見た。
星羅もカリアンの視線をたどった。
すると…視線の先のナハト本人というと、涙を流していた。
「「…………!!?」」
その場にいた紅、カリアン、ノア、レイラの四人はぎょっとした。
「な…ナハトさん!?ど…どうしたんですか?大丈夫ですか?」とカリアンがおどおどしていると、星羅がベッドから立ち上がり、ナハトのもとに駆け寄った。
そして、ナハトを抱き寄せた。
「ナハト…?なにをそんなに泣いているんだ」
「だって…星羅様が生きていて…ここに帰ってきてくれたことが嬉しくて…」と言って、星羅の腕の中で泣き崩れた。
「年上の男の人が泣いてるのってなんかカッコ悪いね!」
「そうですね、カリアンさんもそう思いましたか?」とカリアンとレイラが話していると、星羅が首をかしげて言った。
「?カリアンとレイラは何を言ってるの?ナハトは女性だよ?」
「……?」
「だから、ナハト・グレイスは女性だよ」
「………!?え…えぇぇぇーーー!?」とカリアンとレイラの叫び声が病室をこだました。
お読みいただきありがとうございました^^
まさかのナハトが女だった。
皆さんもそう思っていたでしょうw
お気づきでしたか?
文章中では男と言っていましたが、ナハト本人や城の人は誰も男とは言ってませんよ^^
次では、すべてを思い出した星羅が真実を語ります。
お楽しみに^^