エンディング3
勇者ユウ・シャによる絶対神サク・シャへの反逆です。
「俺は……こんなやつに生み出されたのか?」
「え?」
おかしい。
普通ならここで、陶酔の言葉が出る筈だ。
まさか……この世界の真実を知った事で、本当の自我が芽生えた?
でも、この世界が自分の想像の範囲から出る事は……。
いや、すでに自分は本当の自我の誕生を、意識していた?
それを自分は、願ってすらいたのか?
「参ったな、本当に……」
こんな展開を、心のどこかで望んでいたのかもしれない。
理不尽な運命を、己の意思で跳ね除ける主人公を。
「俺は俺だ。他の誰でもない。だから、俺は俺なんだ」
格好良いなぁ。
女の子に変えちゃったのに、自分の意思で男に戻るなんてさ。
書き換えた情報を、更に自分で書き換える、か。
もう作り出された存在に出来る事じゃない。
自分は、いつの間にそんな権限を譲渡したのだろう。
いや、これは権限とかそんな無粋な話じゃない。
「これから作る世界に、神なんて要らない。大魔王なんてものも要らない」
参ったなぁ……。
ただ、自分好みのハーレムが作りたいだけだった筈なのに。
なんで、こうなっちゃうかな。
「これからの物語は、自分で紡ぐ。だからあんたは、もう休め」
ユウ・シャが右の拳を振りかぶる。
その拳が光り輝き、自然と光が剣を形作る。
「シャ王家は絶対神サク・シャの血を継いでおり、特殊な力を操る」
神になったと勘違いしていた男はただ考える。
その設定はボツにしたはずなのに、と。
「ああ、なるほど。元々世界ってのはそういうものなのか」
代わりの設定である祝福は当然適用されている。
しかしボツとなった設定も適用されている。
この矛盾に、彼なりの結論を出した。
「うん、満足。人間に世界は作れても、変えられないんだね」
ゆっくりと自分へと向かってくる剣を見つめて男は最後に
中途半端な終わり方ですが、これで終わりです。
拙作にお付き合い頂き、真にありがとうございました。
エンディングを三つとも全てごらんになった方は、出来ればどのエンディングが一番良かったかお教えください。
次の作品の、肥やしになります。
作者的には、エンディング2が一番です。