エンディング2
勇者ユウ・シャによる逆ハーレムです。
「俺は……やっぱり、ソウ・リョを愛している」
「は?」
そうだよ。
簡単な話じゃないか。
「この体にしてくれた事は感謝しよう。ちょっとあべこべだが、そこは我慢する」
これで、もう遠慮無しだ。
神がどうした。
呪いがどうした。
「俺は俺なんだよ! あんたなんかに、俺の行動を決められて堪るか!」
俺は明日王として即位して、ソウ・リョを妃として娶る。
これはもう決めた事だ。
もう、絶対に、誰にも、覆させたりなんてさせない。
「そうかー……そっか。まぁ、それもいいんじゃない?」
神が結論を出す前に、俺はすでに踵を返していた。
「行くぞ。明日は行事が目白押しだから、早く休まないとな」
ソウ・リョは一緒に横に並んだ。
セン・シは神を見てから小走りで後ろに来て、トウ・ゾクは呆れた顔でこっちをみてから諦めたようにゆっくり歩き出した。
マ・ジョは一頻り笑ってから追いかけるようにして走ってきた。
後悔なんか、どこにもない。
俺はこれから王になって──まぁ、母親をするのも悪くない。
「これより私は王を退く! しかし、民よ! 案ずるな!」
そこで王は、王をやめつつある一人の男は言った。
「誰よりも人の事を思った男が新たな王となる!」
今までの王の、父の代わりが出来るか、なんて誰も保障してくれやしない。
そもそも、代わりなんて言ってる時点で王様として失格だ。
けど、俺には──
「ユウ……」
「これからもよろしく頼む。近衛騎士団の長として、頑張ってくれよ」
「あんた……」
「お前みたいなはねっかえりが盗賊ギルドの長なんてなぁ……。無茶するなよ」
「ユウ殿……」
「宮廷魔術師として、後続を引っ張ってくれ。まぁ、今はお前が最年少だろうけどな」
信頼できる仲間と、
「ユウ様……」
「ソウ・リョ。俺の伴侶として、その一生を捧げてくれるか?」
「……はい」
愛する人がいる。
「聞けぃ、民よ! 新たな王の名は──!」
なら俺は──
「ユウ・シャなり!」
何にだってなれるさ。
王にだって、母親にだってな。
「ああ、ユウ様……本当に良いのですか?」
「おいおい、ここに来て尻込みか?」
俺はもう、ちゃんと覚悟してるってのに。
「いえ、その……」
「それが尻込みだっての。ほら、早く」
全く、情けないな。
ちゃんと覚悟したってのに、また心臓が高鳴ってきやがった。
「では、行きます……!」
それもしょうがないよな。
「ああ、来い。全部受け止めてやる」
何事も初めてが一番緊張──ん?
「あー! やっぱりー!」
「一人だけ抜け駆けって、やっぱりナシよね。フェアじゃないし」
「くく……思った通りの展開になっておるの」
おいおい……。
「王様の妃が一人だけ、ってのはやっぱりいけないよね!」
「これまでの先例に従うのなら、何人かは囲うべきね」
「と、言っておるが……わしも同意見じゃ」
「そ、そんなぁ……」
んー。
まぁ、こんなのもいいか。
「ちゃんと全員まとめて受け止めてやっから喧嘩するなよな」