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第七章 初の戦と華麗な計略



夏涼、そして信長軍兵士は軍議場を出てすぐの集会場のようなところに集まった。

そこは一番前に朝礼台みたいなのがあってそこに、隊別に並んでいる。利家、勝家、秀吉、あと見たことない顔の女性が二人ほどいたが、彼女たちはその台の横に並んでいる。きっと隊を率いる将としての別枠みたいなものだろう。

勝家は全員が集まったのを確認して「静粛に!!」と叫ぶ。続けて、

「本日の総大将の信長様から、激励をいただく! 静かに、されど熱い気持ちを持って聞のじゃぞ!!」

『おおっ!』

 利家が兵士の檄を飛ばし、隊全体の気が引き締まった。それは夏涼も同じだった。ていうかそれどころではなかった。

(やべぇよ、初陣だよ……さっきテンパちゃってへんな案出して、通って、大丈夫なのか?)

 歴史上でいけば桶狭間の戦いといえば結構重要な戦いだったはずだった。それなのに自分のへんな意見が通ってよかったのか? そう思うと頭痛がしてきた。

 テンパっていた夏涼の理性を取り戻したのは、台に上る信長の足音だった。

 信長は上がり終えると、兵を見降ろした。その姿が妙に威厳があり、兵士一人ひとりの気が先ほどより引き締まる。

「今回の敵は誇り高き貴族、今川家よ。でもこの時代、誇りなんてものはいらないわ。いるのは強さ、兵、そして隊長武将、君主への忠義心よ!!」

 叫ぶ信長は、いつもの雰囲気とはどこか違う、「熱さ」があった。そして夏涼はそんな信長に見惚れている自分がいることに気付いた。

(あぁ、信長って本当にすごいんだな……)

 夏涼は心底そう思った。信長は激励のラストスパートをかける。

「相手は、貴族。忠義を失い、欲望だけに目がくらんでいる人間。そんな人間の誇りを軽く崩し! そして最高の絶望を味あわせてあげましょう!!」

『おおーーーーーっ!!』

 一瞬の時の声。されどそれは、地面を揺るがし、水に波を与えたであろう。それほど信長の激励はすごかった。夏涼も心底感動した。これで部隊の士気も上がるというものだったが、これで終わりではなかった。

「ああ、それと」

 台を下りようとしていた信長が、振り返って話し始める。

「なんでも、近頃噂になっている天地の使者なる男がこの中に紛れ込んでいるそうよ」

 兵士たちがざわつき始めた。だが心の中がさらにざわついている男が一人。

(あれ? 信長さん? 俺の事忘れてません?)

 夏涼は一人、誰よりも動揺していた。とっさに利家たちを見る。すると、

(あれ? うなずいてらっしゃる)

夏涼はさらに混乱。しかし信長は続ける。

「我こそは天地の使者だというものは、この中で一番の手柄を立ててきなさい。そうすれば天地の使者だと認め、隊の長武将にして、その他いろいろ優遇するわ」

 兵士たちは周りの目を合わせそれから、

『おおおおおおおおおおおおおっ!!』

 時の叫び。そのあともざわざわとしていた。

「それじゃあ、頑張ってちょうだい」

 と不敵な笑みを浮かべて、台を下りた。それを確認して、秀吉が号令を出す。

「では、みなさん隊長武将の元へ行き、今回の作戦を確認してください!」

 その号令に合わせ、ざわつきながらも隊長武将の元へ散る。そんな中一人立ちつくす夏涼。そして急に走り出し、利家の肩をつかんだ。

「え? え? あれどゆこと? てかなんで利家たち頷いてんの?」

 夏涼は半分泣き目になりながら訴えた。

「うっう~、なぜと言われてものぉ」

 利家は反応に困った。あまり説明というのは好きではないからだ。そこをちょうど勝家が通り過ぎたため、勝家に助けを求めた。

「嘉苑~貴殿をどうにかしてくれ」

 勝家も甘えるような声を出す利家をほっとくわけにもいかず、夏涼に話しかける。

「どうした、菅原」

「なして? なして信長はあんなことを言ったんだ」

「日本語がおかしいぞ菅原。……そうか、説明する必要があるか」

 半泣きの夏涼をほっとくわけにはいかないので、勝家は周りに悟られぬようなるべく小さい声で話した。

「菅原、この世界で天地の使者とはどのような存在だ?」

 不意な問いかけに夏涼は身震いをした。そして、勝家と同じぐらいの声で話す。

「え~と、この地を治める……英雄的な人?」

「おお、自分で言ったな。まぁいい、確かにそうだ。それで、天地の使者になるということは?」

「……信長も言っていたけど、いろいろ優遇されて……何より勝家さんや美人の人達と知り合いになれたな、そこが一番うれしい」

「っ!! こらそのようなことを言うな!」

「?」

 勝家は夏涼の一言に顔を赤くした。しかし夏涼は赤くされるような発言はした覚えがなく首をかしげた。勝家は咳払いして進める。

「まっまあ、そういうこともあるな。さらに隊長将軍にもなれる。そこで質問だ菅原、お前だったら天地の使者になりたいか?」

「まぁ、まだ俺も実感ないからわかんないけど、なってよかったって思うときはあるから、なりたいと思うよ」

「だろう? だからその人としての欲望心をくすぐったわけだ。そうすれば、我先にと士気も上がるし、手柄も多くなり、戦に有利になる、そういうことだ」

「……おお! なるほど!」

 夏涼はやっと納得した。

(まさか……そんな計略があったなんて、本当にすごいな信長……でもまって?)

「あのさ、勝家さん」

「勝家でいい、そのくらいは当然だ、天地の使者」

(いや、なんか言ったら怒られそうなんだけどな~)

「じゃあ、勝家」

「ん?」

 今の話の中で一番夏涼が気になったことがあった。それは……

「俺より手柄を立てた兵士がいたとしたら、俺どうなるの?」

「……」

 黙り込む勝家。その様子を見て、またも半泣きしてしまいそうになる夏涼。勝家はため息をつき、夏涼の肩に手を載せた。

「星華様は、時には冷酷非道。力のないものは切り捨てていくお方だ」

(えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!)

 勝家は夏涼の背中を軽く叩いた。が、勝家の言葉がよほどショックだったらしく足腰に力が入っていなかった。なので膝から落ちそうになったが、なんとか踏ん張った。

(俺、どうしよう)

 なんか夏涼だけ士気が下がりまくった。

 戦開始まで、あと三十分――


 

 戦の準備は夏涼の言った通り進んでいた。本陣付近にさりげなく布製のテントのようなものが置かれ、利家軍の利家を含む半分はそのテントの中に隠れた。後の半分と秀吉軍はそのまま本陣に待機している。

 勝家軍はいつでも奇襲ができるように、秀吉が散策に使う山道の近くに身を潜めている。

 夏涼はいつでも偽の伝令をいつでも出せるように利家のいるテントにすぐ横に今川軍の戦衣に似た服を着て準備をしている。

 準備自体はほとんど終わっているようなものだった。しかし夏涼の心の準備は一向に終わらなかった。

(やばい……心臓が、止まらない! いや止まったら困るけど! 落ち着け……いいから落ち着け……まてよ?)

 夏涼は落ち着くために、今日の作戦を整理した。が、その時、一つ思い出した。

(あれ? 俺のいた日本の桶狭間の戦いって……)

 夏涼は気づいてはいけないことに気づいてしまった。


(信長の奇襲で勝つんじゃなかたっけ!?)

 

 桶狭間の戦いは信長が今川軍本陣に奇襲して勝利した戦いだった。

(何やってんだぁぁぁぁぁぁ!! 俺よっ!!!!!)

 夏涼は自分の出した策により、歴史が変わってしまうことを恐れた。頭を抱え地面にころげまわる。ただひたすらに自分のやったことに後悔した。

(何を転げ回っとるんじゃ、貴殿……)

 とテントの隙間から見ていた利家は思ったが、ほおっておいた。

(何か楽しそうですね、夏涼さん)

 と秀吉は間違っていることを考えている。

(はぁ~先ほどの言葉がそんなに怖かったか)

 と勝家も間違っていた。

(だぁぁぁぁぁぁぁ!! これじゃあ今川に堂々と宣戦布告してるようなもんだぁぁぁぁ!!)

 夏涼はもう収拾がつかなかった。


 今川軍も信長軍に気付いていた。そのため今川軍総大将、「今川義元」は数千の軍を出した。前線に朝比奈秦朝、中線に鵜殿長照、砦に岡部元信を配置した。

(ふふふ、今日こそ生意気小娘、信長の首を取って見せますわ)

「おーほっほっほっほっほっほ」

 義元は顔に手を添え、高笑いした。

 その後ろで、暗闇に隠れた顔がゆっくりと笑った。


 信長軍は全ての準備が整ったため、作戦に移った。

「星華様、これより我が秀吉軍、今川軍本陣詮索の任を果たしてまいります」

「了解よ、相手に悟られず慎重にね」

「承知」

 秀吉は信長の前に膝をつき出発の許可を得た。「承知」というのは、指示に対する返し言葉で「了解」などの意味を持っている。

「ではこれより今川軍本陣詮索に行きます。秀吉軍はついてきてください!!」

『応っ!』

 秀吉の掛け声とともに総勢百人ほどの詮索部隊が行動を開始した。「応」は承知と同じ意味を持つが、応は兵士用、承知は武将用と区別がされている。

 秀吉軍はすばやく山道に消えて行った。

「……ってもう俺の出番か」

 今の夏涼は緊張と死との狭間で押しつぶされそうになっていた。その様子を見かねた信長は夏涼を自分の元へ呼んだ。

「夏涼、やけに緊張しているようね」

「そりゃそうだろ、死ぬかもしれないんだぞ?」

 泣きそうな夏涼の様子を見て、信長は吹き出しそうになった。

「何笑ってんのさ!」

「だって、夏涼面白いんだもん、あはははっ!」

「もう、笑うなよ」

「あははっごめんなさい」

 それでも信長は笑いをこらえれなかった。

「まったく……でも」

「なに?」

 信長は聞き返した。夏涼は照れ臭そうに頭をかく。

「なんか緊張がとれたよ」

「そう? ならよかった」

 信長は、緊張がほぐれた夏涼の背中を思い切りたたいた。

「おおうっ!?」

 夏涼は前につんのめって倒れそうになったが何とかこらえる。

「さぁ、頑張ってらっしゃい。骨は拾ってあげるから」

「それ、洒落になんないぞ」

 それでも気分が入れ替えれた夏涼は「ありがとう」とだけ信長に言い、もとに場所に戻った。

(ふふ、面白くなってきたわね)

 信長は一人、ほくそ笑んだ。


もう死にたい……と思うほど更新遅れました。…あっ目の端に涙が、

 きっ気を取り直して、インタビューのコーナー!!

「今日は、我らが主人公、菅原夏涼さんでーす」

「よっよろしく」

「………………死ねばいいのに」

「なっ! 今言っちゃいけない言葉を!!」

「そんなに緊張しなくていいですよ…………リア充め、地獄に堕ちろ」

「なんで!? なんでそんなに恨まれなきゃいけないんですか!」

「実際リア充じゃねえかよ! 糞が!!」

「わぁぁぁぁぁっ! とうとう本性現した!!」

「俺の嫁の利家とイチャイチャしやがって!」

「何の話ですか!!」

「作者が一番好きなキャラが利家なんだよ! ミジンコ!!」

「もうMCじゃないっこの人!!」

「あわわ……チ○コもげろ」

「なぜ、雛里ちゃん風!? そしてそのチョイスはトラウマになる!!」

「ということで、全人類共通の敵、夏涼さんでした~」

「何一つインタビューじゃなく終わった!!」

「うるさいな、邪魔だ! さっさと逝け!!」

「漢字が違う!! ……結局けなされて終わったな。俺のターン」


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