表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

第五章 清きそよ風と君主の言葉


「はっ!」

 夏涼は何かに引っ張り出されるように起きた。手は汗ばんでおり、呼吸は荒い。

(あれは夢だ。ただの悪い夢なだけなんだ)

 夏涼は自分に言い聞かせながら、部屋から出て、庭の芝生のある場所に立った。

夏涼は深く深く呼吸をした。

(考えても仕方ない、体動かそっ!)

 夏涼は中国拳法の八極拳の構えをとる。


「八極拳 六大開 頂 攉打頂肘」

 動きを唱えながら、素振りをする。

「弓歩沖拳」

 昨日戦った男を想像しながら放つ。

「旋風攉拳」

 拳を放つ。静かすぎる心地いい沈黙。心が洗われるようで心地が良かった。

「朝から練習とは感心ね」

 沈黙を破ったのは、信長だった。薄いピンクのかかったパジャマのような服を着ていた。信長は着そうにない服だったが、なかなか似合っていた。

「そいつはどうも」

 夏涼は皮肉っぽく言った。

「そこ、そういう所は感心しないわ、こっちは褒めてるんだから」

 信長は夏涼に指を指す。

「ていうか、いいんですかこんな所にいて。一応あなたは君主なんでしょう」

(俺は一兵士だ。君主とは格が違いすぎる)

 夏涼はそう考えた。だが信長はため息でそれを返す。

「君主だからこそ、味方との交流が大切なのよ。それにあなたは天地の使者でしょ、私と話しても何の問題もないわ。むしろ対等のはずよ」

「いや、そうだけどさぁ」

 夏涼は頭をかいた。

 信長は先ほどの表情とは打って変わって、頬を赤らめて言った。

「それとも、私と話すのがいや?」

「! いや、別にそんなんじゃないですけど」

 夏涼はたじろぐ。信長のこんな表情は見たことがなかった。

「なら、いいじゃない」

 またも表情が変わり、信長は夏涼に満面の笑みを見せる。

「で、なにようですか?」

「まあ別に用は無いんだけど、初陣を前に天地の使者はどうしているのかなと」

 信長は空を見上げながら言う。

「まあ緊張はありますけど」

「そこ!」

 急に指を指され、夏涼は不覚にも驚いてしまった。

「夏涼と私は対等なのだから、敬語は無しよ。……まあ身分はずいぶん差があるけど」

 最後の言葉は嫌みたっぷりで言われた。

「わかりましたよ。これからは敬語を使います」

 夏涼はため息をつく。すると信長が真剣なまなざしで夏涼を見てきた。

「夏涼―あなた悩み事があるわね」

「!」

 夏涼は下を見たまま目を見張る。

「きっと、明日の初陣のことね」

 夏涼は夢を思い出した。思い出しただけで足が震えてきた。

「……信長にはなんでもお見通しなんだな……」

 震えた声で夏涼は返す。信長は「ふんっ」と鼻で笑う。

「当り前よ。私は君主よ? 兵士の悩みなんて話をしただけでわかるわ」

「……さすが君主ですね」

 夏涼は肩をすくめる。信長はまっすぐな目で夏涼を見る。

「まあ、詳しいところまではわからないけど。う~んと、だいたい明日の戦への……恐怖でしょ」

「……」

(いきなり図星つくかなぁ)

 夏涼はため息をつく。悟られないようにしていたつもりだったが、どうにも無理だったらしい。

 信長は胸を張ってこう言った。

「私もそういうときはあったわ。不安になって戦えなくなった時もあったわ」

 信長は思い出にふけるように話していた。

「でもね、そういうときはこの言葉を思い出したの。なんだか元気が出てくるのよね」

 信長は苦笑した。夏涼はずっと信長を見ていた。

「えーそれでは、コホンッ」

信長はわざとらしく咳をして言った。


「悩みを忘れるな。恐怖を忘れるな。すべてを抱えて進め」


 そのとき、夏涼の中で――何かが軽くなった。

「戦の中で、この言葉を忘れたときはなかったわ。……夏涼も、つらいだろうけどすべてを抱えて進むからこそ、成長するかもしれないわよ」

そう言って信長は、夏涼に背を向けた。

「さて夏涼の顔も見れたし、帰るわ」

「ああ、じゃあな」

 信長は歩き出す。夏涼も自分の部屋へ歩き出そうとしたが、後ろを振り向き信長を呼んだ。

「あぁ、信長ー」

「なに?」

 信長は振り向いた。その顔は――日を浴び美しく輝いていた。

「ありがとな」

 夏涼は微笑んだ。そして信長の返答を待つ。

「……どういたしまして」

 信長もゆっくりとほほ笑んだ。

 信長は歩いて夏涼の視界から消えていった。

 夏涼は一人、軽くなった心で確認するように言った。

「悩みを忘れるな。恐怖を忘れるな。すべてを抱えて進め、か」

 足元では芝生が日光に当てられ、青々しく輝いていた。


 昼、夏涼は廊下で利家と会い、何気ない会話をした。その中で夏涼は、疑問ができた。

「なぁ利家。利家が納めている土地はどうしてんだ?」

 歴史上、利家は能登(今の石川県北部)を納めている。しかし夏涼の違世ではどうかわからなかったが、持っているだろうという前提で話した。

利家は「なんじゃ、そんなことか」と言い、夏涼に話し始めた。

「なんか『織田配下収集令』とかなんとかいう令が出てのぉ。それで私の納めている土地は違う私の配下に任せたんじゃ。だからここにおれるのじゃ。きっとほかの奴もこんな感じじゃと思うぞ」

 利家は胸を張って威張る。夏涼は苦笑いだ。

 それから当てもなく、目的もなく時がたつのも忘れ、利家と語り合っていた結果……

 

 窓を見ると、夕日がきれいだった。


 夏涼は自分の部屋に戻ると、布団に全体重をかけ倒れた。足がまだ痺れていた。

 人体について一つわかったことがあった。

(立ちすぎてると、足って痺れるんだなぁ~)

 そのまま夏涼は目をつぶり、今日の感想を述べた。

「あ~なんかもう今日は疲れた」

 いろいろ得られた物はあった。だがそれに支払った代償が大きい。多大なる疲労感。足の強烈な痺れ。くだらない話(くだらないとは何だ!と聞こえてきそう)を延々と聞いた耳、脳。今夏涼は睡眠を何よりも欲していた。何よりもだ。

 夏涼は自分の欲に身を任せそのまま、瞼を閉じた。

 桶狭間の戦い前夜の話。



 清風日浴

 信長貰言

 悩忘恐忘

 全抱進行




 またまた本文が短かったです。すみません。もっと精進したいと思います。


 さて!「第二回インタビュー」を始めます!!

「今日は、我らがドジっ娘、紫陽花こと羽柴秀吉~!」

「ひゃわわ! どんな紹介ですかそれ」

「いや、作者的になかなか好きなキャラ設定だったので……」

「好きってドジがですか?」

「うん、だって……」


「ドジっ娘って見てると、萌えるじゃん!!」


「……」

「すみません、調子に乗りました。反省はしてません」

「葵せきな先生に謝ってください!!」

「お、知ってるね~結構マイナーだと思ったけど」

「……」

「……わからない人は「生徒会の一存」シリーズを見てね!!」

「なんの宣伝ですか!!」

「さて、意外にツッコミができる秀吉、という新しい人格がわかったところでここらでお別れで~す。さよなら~」

「ひゃわわっ何か不本意な終わり方をされました……」



 ちなみに紫陽花の口癖、「ひゃわわ」は恋姫無双の朱里をパクリました。

 ていうか紫陽花が朱里をほとんどぱくっています(髪以外)

 すんませんwww

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ