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第三章 乙女な猿と爺な鍛冶屋

戦国時代の長さの数え方がわからなかったので鎌倉時代ぐらいの長さの数え方(束)となっています。ご了承ください。

 

 

 夏涼は、歩きつつ考え始めた。

 考えていた夏涼は、誰かにぶつかった。

「きゃっ」

 少女は尻もちをつく。童顔で長いツインテール。まだまだ幼い感じだ。

「ごめん! 大丈夫?」

 夏涼はとっさに手を差し出した。少女は少し驚いたが、すぐ夏涼の手を取り、立ち上がった。

「うん、大丈夫。ちょっと痛かったけど。でも優しい人に助けてもらったから大丈夫だよ」

 少女は満面の笑みを浮かべた。それに夏涼はすこし心に響くものがあった。

(べっ別にロリコンじゃないんだからね!!)

 一人で暴走する夏涼。そんな夏涼に少女は尚も話しかける。

「それも私から、ぶつかちゃって、すみませんでした」

「あっいや、俺も、悪い所はあったし、五分五分で」

 少女はクスッと笑った。笑わすつもりはなかったので夏涼は首をかしげた。



「おお、秀吉殿ではないか。どうした、夏涼殿と手をつないで」



 突然利家に話しかけられ、少女の顔が赤くなった。そしてさっと夏涼の手を払って、うつむいた。

(なんだよ、いまいいムードだったのに――!?)

「……って、この子が秀吉!?」

 夏涼は驚いた。口をあんぐりあけ目を丸くする。

「はい。私は、羽柴秀吉。戦生の名は、紫陽花あじさいです」

「秀吉……こんな子が秀吉……」

 完全に夏涼はフリーズしていた。それを見かねた利家は、夏涼ををつついた。

「ああ、俺の名前は、菅原夏涼。戦生の名は……まだ無いんだ」

「そうですか……しかしこれも何かの縁。助けてもらった恩もありますし、私の戦名を預けます、夏涼さん」

「え、いいの? まだそんなにっていうかあったばかりなのに?」

 秀吉は小さく頷く。

 戦生の名は略すと戦名といい、相手に使わせる際「預ける」という。夏涼は理解しうなづく。

「では先を急ぐので、これで」

 パタパタと足音を立て秀吉は走って行った。

 夏涼は秀吉に手を振り、元に道を歩く。

(素手だから、リーチが短いほうがいいな。それと細かい動きができるのと、使い方によってさまざまな機能ができるもの……あった、あれがあるじゃないか。




 中庭のしばらく歩くと、一つの小屋があった。利家はその小屋の扉を大胆に開け、中に入って行った。夏涼もそれにつづく。

 中には、一人の、男がいた。その男は胡坐をかいてすわり、夏涼に視線を合わせた。

「匠爺、こいつが新しく仲間に入った奴でな、武器を作ってほしいんだ」

 この男、匠爺といった。

「……高くつくぞ。志南」

 二人は戦名を預けあっていた。

「いいぞ。まあ、そんなには出せないけどな」

 利家は笑いながら、俺の背中を押して、匠爺の近くまで押した。

「……俺の名前は、菅原夏涼です」

「……そなた、いい目をしておる」

「はい?」

「なんでもない。それで、望む武器は」

「はい、トンファーを作ってもらいたいです」

『?』

 二人は首をかしげる。この世界にまだトンファーはない、そのことに気付いた夏涼はトンファーについて説明した。

「…………という武器なんですけど、俺のオリジナルで、まず刀を……刀といっても刃は広く、握り拳ぐらいの横幅で。あっそんなに長くなくていいです、八束ぐらいの長さの刀を二本作ってください」

 匠爺は静かに聞いていた。新しい武器を作るのは刀鍛冶として誇らしいことであった。夏涼はそのことに気を良くし、さらに話し込む。

 利家はそこら辺にある武器を手に取り素振りをしていた。驚くべき速さで刀を振るう。夏涼には剣筋が見えなかった。さらに利家の持っている刀はとても長い。二十束はある。

「ふぉふぉふぉ、志南の奴はいつ見ても怪力じゃのぉ」

「はい……すごいですね」

(絶対俺にはできないな)

 夏涼は心底そう思った。

 匠爺はひげをやさしくなでながら続ける。

「志南の武器をおぬしは知っておるか?」

「いえ、知りませんけど」

「志南の武器、方砲長鵬ほうほうちょうほうは」



「四十束じゃぞ」



「!!!!!!!」

 夏涼は驚いた。いやもうこれは恐怖に近いかもしれない。

(四十束だってぇぇぇ!! どんだけ長いんだよ! でも今の利家を見ると扱いそうだから怖い!!)

 四十束ははだいたい三~四メートル。利家が縦に二人いて同じ長さぐらいだ。

「まあ、槍じゃがな」

「いやいや、それ何の慰めにもなってませんから!!」

 そう言って俺は小さくため息をついた。

「貴殿、もう頼めたのか?」

 いつの間にか夏涼の傍らにいた利家が聞いてきた。利家からは甘い香りが漂い、一瞬夏涼はたじろぐ。

「……どうした貴殿。そんなに私を見て。顔に変な物でもついてるか?」

「いや、そんな怪力でも利家は女の子なんだなって思ってた」

「っ!! ばか!」

 夏涼はバシッと叩かれた。

 夏涼を叩いた直後、利家はすごい勢いで紅潮していった。

 匠爺が夏涼と利家の間に入る。

「お二人さん。いい雰囲気になるのはいいが、早く注文を言ってくれ」

 「バカ! そんなんじゃないぞ!」と利家が言ったがさらに紅潮して、下をうつむいた。

「ああそうだった。……じゃあ最後に横にもてる部分をつけてください」

「横に持てる?」

「ああ、絵で描きますね」

 そう言って夏涼はポケットに入っていたメモ帳とシャーペンで絵を描き始めた。

「!? 貴殿、なんじゃその筆のようで筆で無い物は」

「これか? そうか知らないんだな。俺の生まれ育った所ではこれを、シャーペンと言ってな、これで文字書いたりしたんだよ」

「しゃ……しゃーぺん?」

 ぎこちなく利家は繰り返す。その様子を見た夏涼は少し笑う。

 夏涼は少しペン回しをした。ソニックという技だ。それをやるたびに利家は驚き、夏涼はそれが面白かった。

「…………よしこんなんでよろしくお願いします」

「うむ、しかしこのように特殊な型になると少々時間がかかるぞ」

「はい、大丈夫です」

 夏涼がそう言うと匠爺は「まったく、近頃に若いもんは特殊な型ばかりを選びよって」と言いながら重い腰を浮かし、奥へ行ってしまった。

「さて帰るぞ、利家」

「さっきから気になっておったんじゃが、なぜ私が貴殿に呼び捨てにされているのかわからん。……が、まぁいいじゃろう。帰ろう」

 利家は、夏涼の二歩前を行くようにして、安土城内に行った。


 


 二人が城内に入ったすぐに秀吉が走って来た。

「夏涼さ~ん、利家さ~ん軍議が始まりますよ~」

「りょうか~い――って俺も!? 紫陽花ちゃん!」

「ちゃんってそんな……」

 秀吉は顔を赤らめた。利家はその二人の様子を見てニヤニヤしていた。

 秀吉は頭を振り、夏涼を見る。

「それよりもっ、えっと夏涼さんも来いって星華様がおっしゃってました」

 秀吉も信長と戦名を預け合っている。君主と配下なので当然のことなのだが。

「そうか、もうそんな時間か、って秀吉殿、私の事は志南と呼べとあれほど――」

「そういう利家さんも私の事は紫陽花と呼んでください」

 二人はにらみ合った。もう戦名を預けあうような仲なのだが、なぜか呼びづらく預けあっていなかった。

「まあまあ二人とも。早くしないといけないんじゃないの?」

「おおそうであったな。では行くぞ!夏涼!」

「あ、ああ」

 夏涼はそのまま秀吉と利家の後をついて行った。

 秀吉は会議の場に着くまで、三回コケた。

(ドジっ子属性だな~)

 と満面の笑みで思う夏涼だった。




 初会秀吉

 刀鍛冶爺

 夏涼仲四

 会議先待



「戦国時代の長さの数え方がわからなかったので鎌倉時代ぐらいの長さの数え方となっています。ご了承ください」

と前書きで書きましたが、分かり次第、直していきます。


こんな小説ですがお気に入りに追加してくれた人が、出てきてくれました。

あざーす!!

これからも書いていくんでよろしくお願いします!!

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