ああ愛しのスザンナ
花祭りが近づき、スザンナが着ていく服を買いに行くと聞き、頼み込んで付いていかせてもらうことにした。試着するところとか見たいしな。
「アンリ、どっちがいいと思う?」
スザンナがクリーム色と水色の服を手にとり、俺に聞いてきた。どっちも似合う。それよりもスザンナの着替えが見たい。俺も一緒に試着室に入れないのか?あの広さじゃ2人も入れないな。試着室の事で頭が一杯な俺にスザンナは、真剣に考えてくれていると思っているようで、こっちはリボンがどうの、こっちは値段がどうのと言っている。
「スザンナ、とにかく一度試着してみよう!」
俺はスザンナに声をかけ、背中を押して試着室に誘導した。薄いドアを隔て、スザンナが服を脱ぐ音がする。くそう!このドアさえなければ!俺はドアの外で歯ぎしりした。しばらくすると、ドアが開いてスザンナが顔を覗かせる。
「アンリ、どう?」
水色の服を着たスザンナはまるで女神のようだった。俺はすかさず抱きつく。
「スザンナ!素敵!本当に素敵!」
語彙力のなさがつらいが、スザンナに抱きつく理由は何でもいい。スザンナは背が高いから、胸が、俺の肩辺りに当たる。もう少し俺の背が低くければ顔を埋められたのにな。まあ仕方ない。
ああ、でも、このまま時が止まればいいのに!
「アンリって本当に大げさね。」
スザンナが困ったように笑う。そんな顔も好きだなと思う俺は、恋する乙女と言っていいのかもしれない。