最終話
「部長とねえ、やっぱり私の見立ては悪くなかったでしょ」
おかしそうに、彼女は笑う。携帯が壊れたので、以前もらっていた年賀状の住所宛に、ハガキで新しい住所や連絡先を送ると、子どもも学校に入ったので日中なら時間ができるから一度会わない?と返事が来た。それから、有給をとり、会いに行ったのが今日だったのだ。
「でもよく俺と先輩が合うと思ったな」
「だって、彼の目線、ずっとラブたんを追ってたわよ。それより、部長さんと体の関係はあるの?」
キョンが声を潜めて聞いてくる。
「そりゃ、まあな」
「ラブたんが抱くの?」
「俺は抱かれる側」
「部長さん、上手くできてる?」
「ああ、そりゃ見せたいくらいの愛しかたしてくれるよ。キョンも先輩と付き合ってたんなら分かるんじゃないの?」
先輩は言葉で色々言わせるのが好きなのだ。俺が主導権を握って少し意地悪したり言っても喜ぶ。キョンは何を言わされたんだろう。
「うーん、それがね、今だから言えるんだけどね…付き合っている時にいざお互いに裸になって抱き合うっていう時に、彼のあれが全然反応しなくて。調子が悪くてごめんって何べんも謝られて。でも次の時も同じで、その次もよ。前の彼女とは出来てたとか言ってたけど、女の勘で嘘だって思ったわ。病院勧めた方がいいのかもって思ってたけど、ラブたんを見る目が普通じゃなかったし、いつもラブたんの話聞きたがっていたし、もしかしたらとも思ってたの」
「…そう…だったんだ」
「ふふ。やっぱりラブたんゃないとダメだったのね。安心したわ。気にしないでね。前にも言ったけど、その時は私も他にも2人と付き合ってて、部長さんはその内の一人だったから。サークル内で楽に過ごす防波堤として都合良く利用させてもらったし、部長さんだって男に惹かれる自分から逃げるのに、私がちょうど良かったのよ。私はね、私の大好きなラブたんが愛されてるって聞いて今とても嬉しいのよ」
キョンはニコニコしながらそう言ってカップに口をつけた。
※※※
帰宅する頃には、すっかり日が暮れていた。玄関を開けると、先輩が嬉しそうに奥から走って来て抱きしめてくる。
そうして、一緒に夕飯をとり、風呂に入って上がると、待ち構えていた先輩が、慣れた手つきで髪を乾かして、保湿剤を全身に塗ってくれる。新居で一緒に暮らしだしてから、先輩の過保護は過剰になってきた。気を抜くと、風呂も一緒に入ろうとしてくる。
「新しいパンツ買ってきてやったぞ。はかしてやるから。ほら」
そう言って、子どもの世話をするように俺の前にパンツを持ってしゃがんできた。俺の股間がちょうど先輩の目線にくる。ああ、ヤバい目付きしている。今日は遠出したから、ゆっくり寝たいのに。貞操と睡眠の危機を感じた俺は、パンツを奪い取り慌ててはいた。
先輩が買ってくれたパンツは、競泳パンツのようなピタっとしたパンツだった。
シャツを来て、ソファーに寝転んで携帯をいじっていると、横に無理矢理座って来て俺の尻を触ってくる。
「らぶ、サイズピッタリだな。色も似合うし、買って良かった」
「ちょっと!今ゆっくりしてんだから、あっちに行って」
「何だよ。ちょっとパンツ見に来ただけだろ」
先輩は渋々といった様子で、台所へ行き、残っていた洗い物を始めている。
今はいいが、おじさんになっても、お爺さんになっても先輩と一緒にいれるんだろうか。お互いに子どもがほしいとかならないんだろうか。急に不安になり、俺は、携帯を置いて考える。
不安は消えない。ただ、今の俺にできる事はなんだろうと考えたら、いつ死んでも後悔しないように生きる事かもしれないと思った。
俺は台所へ行き、洗い物をする先輩の後ろからズボンのウェストのゴムを軽く引っ張る。
「らぶ、何するんだ…急に」
「俺のパンツを勝手に触ってきた仕返しだ」
ズボンをめくって見ると、先輩事、真太郎も俺と同じパンツを履いていた。やっぱりな。そんな気がしていたんだ。
「真ちゃん、俺とお揃いのパンツ買ってきて履いて、何しようとしてたの?」
俺は、意地悪く聞きながら、真太郎のズボンに手を入れる。
「あ、やめろ、水がかかるだろ!触るな!ダメだ…そこは、らぶ、後にしてくれ。すぐに洗い物終わらせるから」
「どうせ、いやらしいこと期待して俺にはかせたんだろ」
「あー!やめてくれ…お願いだ…もうやめてくれ…ああ…もうやめて…」
「ふふ、真ちゃん、水がかかって濡れちゃったね。全部脱いだ方がいいよ」
「ら~ぶ!覚えてろよ」
そういって全裸になった真太郎に、俺は寝室に引きずり込まれ、朝までみっちり仕返しをされたのだった。




