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それからの俺

検査で異常もなかったので、退院はスムーズだった。事故の衝撃で、窓の外に投げ出された携帯は使い物にならない状態になっていたので、俺は誰にも連絡を取れずにいたのだが…


「らぶ、出来たから、こっちにおいで。温かい内に食べよう」


俺と急に連絡が取れなくなった事に心配した先輩が、職場に連絡をかけてきて俺の近況を知り、転勤を早めて、やってきたのだった。新しい住まいが見つかるまでの、とりあえずの居候だったはずだが、季節が変わっても、先輩は部屋探しをする気配もなく、俺の部屋には先輩の荷物だけが増えていった。


「そういえば、入院中ずっと寝ている時に夢を見てたんですよ」

「夢って、三途の川とかか!?」


先輩が驚いたように聞いてくる。


「今流行りの異世界ものですよ。異世界で俺、恋愛してたんですよ」

「へ…へえ…。恋愛ね…相手はどんな子?」

「異世界人のカッコいい人でしたよ」

「カッコいいって、え?男!?男と!?」

「夢の中じゃ、俺は女だったんですよ。いい夢でしたよ。もう一度見てみたいくらいの。またあのカッコいい人に会いたいなあ」



…そう、また会いたい。上司に似たあの人に…

タクシーに一緒に乗っていた上司は、打ちどころが悪かったようで、亡くなったと知らされたのは俺が退院してからだった。俺が入院している間に、葬儀も終わっていたという。

泣きじゃくる俺を、先輩はずっと抱きしめてくれていた。


「先輩にそっくりな人も出てきましたよ」

「俺に?」

「夢の中で、俺に結婚したいって言ってくれました」

「で?したの?結婚」

「俺は別の人を選んだのでしてませんよ」


そうかあと言って、先輩はうなだれる。

異世界で恋愛してきた俺は気づいた。先輩は俺の事が好きだ。そして最近は俺も先輩に絆され始めている。いや、もっと前からされていたのかもしれない。お互いに感じているのは恋ではなく、情かもしれないけど、行動せずに後悔したくない。


※※※


先輩が寝袋を広げ、寝る用意をしている。


「先輩、そろそろ寝袋で毎日寝るのもしんどくないです?」

「そうだな、でも布団にすると収納の問題が出てくるからな」

「…俺はもっと大きめのベット買いたいんですけど、この部屋じゃ狭くて。…部屋探しません?2人で住める部屋。2人で寝れるベットも買って置きましょ」

「らぶ、本気で言ってる?」

「逆に、先輩は俺とどうなりたくて、ここまでしてくれているんです?事故前にプロポーズしてくれたの俺は覚えてますよ。俺を勘違いさせたままですか?俺の胃袋を掴んだ責任は取ってくれるんしょうね」


そう言って俺は先輩に近づいて首に手を回す。


「…下手に手をだして、らぶとの関係が壊れたらと思うと怖くて先に進めなかった。男同士だし、らぶに気持ち悪いとか思われたらどうしようと思ってた…らぶを失うのが怖かった。らぶに嫌われるのが怖かった」


先輩の目に涙が浮かんでいる。


「前にキスしてきたことあったでしょ。俺は先輩にされて嫌じゃなかったです」


そう言って俺は先輩にキスをした。舌をからませ長い時間していると、キスをしながら先輩がハアハア言い出してきたので唇を離す。


「俺とのキス、先輩も嫌じゃなかったでしょ。どうします?先に進んでみます?」


先輩は呆けた顔で俺を見ていたが、すぐにベットに押し倒してきたのだった。

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