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上司 その2

「ちょっとお!鍵どこです?いつも決まったところに入れて下さいよ」


俺は上司のズボンや胸ポケットに手を入れて鍵を探す。右ポケットや、後ろポケットにあるとか言っているが、絶対に適当に言っている。


「そこは尻。いやらしい手つきだな」

「何言ってるんですか!鍵を探してるんでしょ!」


最近はストレスなのか、お酒を注文する事が多く、飲むと必ず酔って、俺に自宅まで送らせる。そして…


「あー、ちゅーしたい」


酔うとキス魔になるのか、やたらと俺にキスをせがみ、何度も唇を奪ってくる。最近はエスカレートしてきて、口の中に舌を入れて吸い上げたり転がしたり、好き放題してくる。体を離そうにも、剣道で鍛えたという腕を引き離すのが一苦労だ。


「じゃあ、帰りますね」


やっとの事で引き離し、何とか背広を脱がせ、ベッドに寝かせた上司に挨拶して帰ろうとした時…


「明日はいつもの先輩が来ない日なんだろ」


真面目な口調で上司が言う。あれ?酔ってないのかな?と思っていたら、さらに言う。


「泊まっていけばいい。うちのベッドは広いから、男2人くらい寝れる」

「でも…」


でも、上司の家にはさすがに泊まりにくいです。それをどう伝えようか考えていると、上司が壁に寝返りをうちながら言う。


「寂しいんだよ。愛、一緒にいてくれよ。頼むよ」


愛…上司は2人きりの時は俺の事を必ず下の名前で呼ぶ。俺の母親がつけた名前。女の子に間違われそうだからやめたら?と周りから散々言われたらしいが、愛がいい!愛が大事よ!と言い張って母親が強行突破してつけた名前。母さん、あなたの愛って何ですか?




「仕方ないですね」


俺は上司の家の鍵を閉めに行くと再び上司のベッド近くまで行く。そして背広がシワにならないよう脱いで、近くにあったハンガーを借りて、すでにかけてある上司の背広の橫にかけた。シャツとパンツだけになった俺はベッドに入り込み、上司と一緒に橫になる。すると、壁を向いていた上司がこちらへ向き直し、俺の体に抱きついてきた。


「…やっぱりいいな、人肌って。ああ、好きだ…ずっとこうしていたい」

「酔うと甘えん坊さんになるんですね」


俺は上司の背中に手を回し、背中をさする。


「ギャップに萌えたろ?」

「早く寝てください、酔っぱらい」

「おやすみのちゅーがほしい。愛からちゅーしてくれたらすぐ寝る」

「はいはい」


飲んでいないはずの俺だが、酔いがうつったのか、キスをされすぎてマヒしてたのか、俺は躊躇する事なく上司の唇にキスをした。上司は、俺の唇を離さず吸ったり、舐めたりしている。そのうち違うところも舐められそうだなと思ったが、嫌ではないとどこかで思っている自分もいた。


男達からは遠巻きにされている上司だが、何人かの女性社員からは、ガチ恋されているのを俺は知っている。上司のこんな姿を見たら、彼女達の恋は覚めるんだろうか?それともギャップに萌えるんだろうか?俺は女でないからわからない。でも…俺が女だったら?俺が女だったらどうなんだろう…




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