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先輩

そうだ、先輩だ。

大学時代、医師から何か運動をしたら?と言われて、俺はバドミントンサークルに入った。その時の部長に雰囲気が似てるんだ。

あのサークル、どんなだったかな。ゆるく活動したい側と本気で活動したい部長さん側で、少しだけ溝があったんだっけ。

俺はゆるく活動したかったけど、面倒事が嫌でどっちつかずでいたんだった。

同じ学部の女の子といつも一緒に練習してたなあ。あの子、名前なんだっけ?皆は可愛い、可愛い言ってたけど、俺は母親が芸能人だからか可愛い子なんて見すぎて麻痺してたのか、その子の事も、この程度の可愛いさで持て囃すんだってびっくりしたし、地方の大学だからそうなのかなくらいに思っていた。その子からは、色恋で見て来ない俺が楽でいいって言われた事があるな。


あれからその子を巡って、ギクシャクしだす部員も出てきたり、他の女の子達もその子に対して当たりがきつくなってたんだった。

半年くらいすると、その子は部長さんと付き合い出してたなあ。部長さん、彼女できたばかりだったのに、すぐに別れてその子と付き合い出してたから、女の子達は色々陰で言ってたし、俺にもその子の悪口を吹き込んでくる女の子がいて、そんなんも嫌で辞めようと思った頃に、その子にファミレスに呼び出されたんだった。

聞くと、子どもができたから学校を休学するという、その事を俺にだけは話したかったと。「態度も変えず接してくれてありがとう」と言われたけど、「私に興味ないから、ずっとゲイだって思ってた」とも言われて、意外と自己評価高い子だったんだと少し驚いた。


あの部長さんがパパか~って言ったら、パパは別の大学にいる本命だと教えてくれた。結婚もするというので、学生結婚で大丈夫か聞いたら、相手は学生と言っても医学生で、実はうちの親も病院経営してるから経済面は大丈夫だという。

部長さんは、この話を知ってるのか聞くと、言うつもりもないし、部長さんも別の地方に就活が決まってるから、会わないだろうしと言う。母親から芸能人のエゲツナイ裏の顔を聞かされてた俺は、いつの間にか二股ぐらいじゃ特に驚きはしなくなっていた。どこにでも、男遊びしたい子は一定数いるもんだしな。

色々考えて決めたならいいじゃん、大学も中退せずに続けようというのもすごいじゃん言うと、大学卒業は親との約束だからねと言っていた。


それから、思いだしたように「そうだ…」と言いだし、それを聞いた俺は持っていたフォークを落としそうになった。


「マジ?」

「マージ。部長優しいわよ~。尽くしてくれる系で。女の子に興味もてないなら、部長をお勧めするわ。意外と部長も満更じゃあないかもよ」

「部長、男もいけるのかよ?」

「ラブたん相手ならいけるわよ」


恐ろしい事に、部長と俺は合いそうだから、付き合えばいいと勧めてきたのだ。恐ろしいと思ったのは、俺か部長どちらかが女だったらありえるかもと、一瞬思ってしまった事だった。


その後、部長ともすんなり別れられたらしい。

俺はその子が妊婦と知ってから、お腹の子になにかあるのが怖くなり、休学する日までなるべく近くにいるようにした。

幸い、季節も寒い時期になってきたので、沢山着こんでいれば、体型が変わった事にも気づかれていなかった。

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