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既視感

「アンリ~、ロクさんの服、今日が仕上がる日だけど、帰りに取りに行こうか?」


ダニエルが、制服に着替えながら聞いてきてたので、あれからもう数日経った事に気づいた。


「私が仕事終わりに取りに行くわ。ついでにロクさんの宿泊先に渡してくるから。あ、オリバーに今日は一緒に帰れないって伝えてくれる?」

「え?オリバー?何で?」

「私もオリバーと仲良しになったのよ。一緒に帰る約束するくらいの仲良しなの」


俺は胸を張り答えた。


「え?そうなの?そういえば、最近一緒に帰ろうって声掛けても図書館で勉強して帰るって断られるんだよ。アンリの仕事が終わる時間に合わせてたのか」

「ロクさんの宿泊先に服を渡したら、スザンナの家に寄って帰るから」


スザンナとはあれから会っていないのでどうなったのかわからない。ランスがきちんと会計したのかも気になっているのだ。


「え?じゃあ今日食べて帰るの?」

「スザンナの顔みたら帰るつもりだから家で食べるわ」

「わかった。肉だけ焼いとく」


※※※


「アンリ、いつなら一緒に食事に行ける?」


あれから毎日、若旦那に誘われる。奥様からも意味ありげな目で見られるし、何だかやりにくい。若旦那、悪い人じゃないから困るんだよな。他を当たろうにも難しいんだろうか。


「ごめんなさい。当分難しそうです」

「…そうなんだ。ところでアンリの弟ってあんまり似てないね」


あれ?若旦那、ダニエルの顔知ってたっけ?


「そうですね。弟は母親似なので」

「でも最近、毎日職場まで迎えに来てどうしたの?僕の事すごい見てきて警戒されてる感じがするし。僕の事で何か言われた?僕たちの結婚に反対してるとか?君の弟さんとも仲良くなりたいんだ。今日も迎えに来るの?弟さんに挨拶させてもらってもいい?」


そうか、オリバーの事を弟と思ってるのか、制服のまま来るしな。どうしようか、否定するのも面倒だな。


「弟の事は気にしないでください。私、若旦那に限らず、結婚とか考えられないんです」

「今は考えなくていいよ。急な話だからアンリも考える時間がいるだろうし」


いや、若旦那の方こそ、今すぐ結婚を考えてくれる人を探してるんじゃないのか?よくわからないな。何かこんな人、昔いた気がするぞ。誰だったっけ?


「若旦那、向こうで呼ばれてますよ」

「ああ、じゃあアンリ、また話をしよう」


そう言いながら、若旦那は入口の方へ向かっていった。

俺は続きの作業をしていく。と同時に何かを思い出そうと頭もぐるぐる動いていく。


「そうだ、先輩だ…」


声に出して腑に落ちた。ああ、若旦那に既視感があったのは先輩に似てたからだ。




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