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若旦那の告白

「昨日、男と歩いてた?」


仕事中、突然若旦那が聞いてきた。


「え!?昨日ですか?友達とご飯は食べに行きましたが?」

「友達って女の子?」

「はい。いつも遊ぶ、ほら、そこの商店の子です」

「…君によく似た子が男と歩いてたって聞いたんだ。弟がいるっていうから弟と思ったんだけど、手を繋いでたって言うからさ…」


「そうなんですか。人間ってよく似た人が3人はいるって言いますもんね~」


嘘をつく理由もないが、本当の事をわざわざいう理由もない。でも、若旦那の顔を見るとなぜか嘘をつけない気がしたから、下を向いての作業をしたまま答えた。若旦那の表情はわからないが、面白がって聞いている口調ではない。


「アンリは…恋人はいないのか?」

「いませんよ」


恋人飛び越え、求婚者ならいるけどなと心の中で突っ込みながら答えた。


「…付き合いたい人とかいないのか?好きな奴とかは?」


どうしたんだ若旦那。えらい踏み込んで聞いてくるな。


「いませんよ。若旦那こそどうなんですか?浮いた話もないらしいじゃないですか」


あんたの心が乙女な疑惑はまだ消えてないぜ。そう思いながら聞き返す。


「…僕はいいんだ。それよりアンリ、最近親父からいい加減、身を固めろと言われてるんだ」

「…言われるでしょうね…跡取りだし、年齢的にもだし」

「見合いも断ってたんだけど、段々それも難しくなってきた」


見合い断ってたんだ…なんでだろ。やっぱり男が好きとかなんだろうか。若旦那の見た目と跡取り息子の肩書きで、浮いた話もないのがおかしいんだよな。これはありえる話だな。俺は下を向いたまま黙って聞いていた。


「アンリ、僕は結婚が嫌とかではないんだ。ただ、結婚くらいは好きな人としたい」


そうですよね。気持ちわかりますよ。でも心と体が違うと上手く行かないんですよね。


「アンリ、君の働きぶりを僕はとても信用している。母さんも君の働きぶりは認めているし。アンリ……聞いて欲しい。アンリ…僕は、君と結婚したいと親父に伝えたんだ。そうしたら、親父は君ならと了解してくれた。その代わり、自分の力で君を口説き落としてこいと言われた。アンリ、僕の奥さんにならないか?」


え?何?何?ちょっと話に追い付けない。

若旦那は、親からの結婚しろ圧力に屈しそうで、好きな人と結婚したいのに上手くいかない。そこで、とりあえず親受けがいい俺と結婚する事に決めた、これでいいのか?そうなのか?頭がよく回らない。

その後、若旦那にどう答えたねか思い出せないが、何とか1日を終え帰ろうと店を出ると見慣れた制服の男がいた。


「オリバー?」

「アンリさんの顔が見たくなって、そしたら店に来てしまいました。すみません!」


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