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俺は女

「あー食べた、食べた!スザンナ、いつもより食べるの遅いけど、お腹一杯なら手伝うわよ。」

「大丈夫よ。何だか今日は味わって食べたい気分なの」


スザンナは王子を見つめながら答える。王子は王子で食べ終えているのに、席を立たずお茶まで注文していた。混んでるんだから早く出ようぜ。


「あっ、お茶もう冷めてると思いますよ。飲まないんですか?いらないなら私飲みましょうか?」

「ああ、何だか飲むのが惜しくて。ゆっくり飲もうかな。」


これまたスザンナをしっかり見つめ返して答える。もうダメなやつじゃん。勝負はついてるよな。俺は女だし、初めからスザンナの恋の相手にはなれなかったんだ。

これ以上、二人の邪魔をするのが馬鹿馬鹿しい。それに…俺意外を見つめるスザンナを見る事が耐えられない。涙がでそうだ。


「…スザンナ、私今日ね、用事があったの忘れてた。悪いけど帰るね。」

「え!アンリ急に?」


スザンナがようやくこっちを見てくれた。


「うん、急でごめん。支払いは…ランスさんお願いしますね。私達みたいな可愛い女性とお昼一緒に出来たんだから。いいですよね。」


王子こと、ランスもようやく俺の方を見てくれた。お前が払うんだよ。スザンナを一人占めにした料金なら安いもんだろ。

俺はじゃあと言い残し、店を出た。


歩きながら涙が出てくる。何の涙だろう。失恋?悔し涙?わからない。

俺は当てもなく歩く。


「ぐえ!」

急に腕をつかまれて変な声が出た。

振り返ると、王子の連れのロクさんが俺の腕をつかんで立っていた。何なのこの人?何でいるの?支払いを王子にお願いしたのがまずかった?お前も払えってやつ?怒られるやつか?頭がパニックになる。


「すまない。呼んでも聞こえていないようだったので。」

ロクさんはつかんだ手を離し、気まずそうに言った。


「いえ、何かようですか?…支払いをランスさんにお願いしたのがダメでした?ならすみません。払います。」


「いや、支払いはいいんだ。そのくらいこちらがもとう。それより…その…君が…その…まだ食べたりなかったのではないかと思って声をかけた。」


「は?」


「…その、やたらとランスや君の友人の食べものを気にしていたから。本当は食べたりなかったのをあの二人に気を遣って一人別に食べに行くのではと思って。」


何で!?いや、だったらどうなの?ふてくされないで店に戻って食べ直そうっていうお誘い?何なのこの人?その為に追いかけて来たの?いい人なの?


「別にそんなんじゃないです。私、本当に用事があって…」


「食べにいくなら連れて行ってくれぬか?実は前からこの国に来たら、Mという店に行きたかったのだが、やはり男同士では行きにくく、先ほどの店に行こうとなったんだ。どうだろう。一緒に入ってはくれないか。代金は私が出そう。」


M店かあ、確かに店構えから客から女性向けに振り切っている甘味処だし、行きにくいわな。ロクさんが払うんだし、まあ、いいか。心の寂しさを食べてうめるか。


「…まあ、用事は急がないんで付き合ってあげてもいいですよ。」


俺がそう答えると、ロクさんはすごく嬉そうに笑った。この人、笑う人なんだ。少しロクさんの印象が変わった。








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