第三話:強制の勅令
「リチャード様、その手紙はいったいなんでしょう?」
そう私がいうと、リチャードはえげつないほどの悪人顔で唇を歪めて笑った。
「これはな、おまえという存在に対する私たちなりの【贈り物】だ。心して受け取れ」
手紙を渡して気が済んだのか、被害者の会はなにか一矢報いた感を漂わせながら帰って行った。
やっと好きな本の続きが読める。そう思っていた時、手紙を受け取った従者のメアリが悲鳴をあげた。
「どうしたのメアリ、何か変なことでも、、、」
「お、お嬢様、これっ、、、、これを読んでください!!!!!」
めんどくさい気持ちを抑えながら、私は手紙を受け取り読み、そして驚愕した。
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「勅令」
汝、ヴァージニア・レッドロータスに、オーク族の国家、マクラーレン王国の第6王子、ハイク・マクラーレンとの婚約を命ずる。なお、この決定は覆ることはない。マクラーレン王国との平和を維持するために尽力せよ。
ー国王ー
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流石の私も、目を見開いた。
国王からの勅令。何でそんな芸当が、、、ってそうか、リチャードなんちゃらが皇子だったか。あのくそ男、親に自分の不始末を棚に上げて、情けなく親にすがったのか。
勅令とあれば、決定は揺るがない。だからこれにはどんな地位にいるものでも、この決定を覆すことはできない。私の父、公爵貴族のチャールズ・レッドロータスであってもだ。
そしてさらにその婚約相手。オーク族である。そう。あのオークである。
一応魔族達との最終戦争が集結して数世紀がたつが、恨みあい憎しみあいというのは書面や決め事でそうやすやす解決するものではない。いまだにお互いを牽制しあっているのが現状だ。
しかもオークといえばあの醜い姿。岩が二足歩行しているような醜い容姿の種族だ。そしてさらに、ハイク・マクラーレンといえば、オークの中でもひときわ醜いと評判の王子だった。
はめられた。私は平静を取り繕いつつ、心の中で舌打ちをした。
そして心の中で、あくまで心の中で叫んだ。
「あっっっっんんんのクソ男どもがああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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こうしてこの物語の幕があがります。
ちょっと話疲れたので、一旦休みましょう。
次に話すのはそうね。ハイク様、彼との出会いからにしましょうか。
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