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【プロットタイプ】それだけで良かったんだ

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

ふいに思い出す『星の王子さま』。

なんか『それだけで良かったんだ』って思います。

瑠衣と水族館に行った。何でも訪れた水族館は瑠衣が幼い頃に家族と訪れた場所であるらしく、思い出の場所だそうだった。

水族館にいる間、瑠衣は何時も以上に口を開かなかった。ただ目の前を流れゆく魚達を見詰めて、何か思い着いた様にスマホを取り出して物を書く。何時もの瑠衣だった。

その水族館のお土産物コーナーで、クラゲのクッションを見つけたのだ。

触り心地はふわもち。生地には艶があって、手で触れるとモチモチしている。撫でれば撫でる程に、その感触にのめり込んでいく。

気が付くと、私はこの子を連れ帰っていた。


私が社会人になって辛い時には、家まで待てずに電車の中で泣くか、家まで気持ちが続いたら、瑠衣に相談する様になっていた。

瑠衣は決して優しい言葉をくれる訳ではないが、その冷たさの中に彼なりの気遣いが見て取れる。傷の舐め合いをしたくない、瑠衣らしい行動だった。

そうして水族館に共に訪れた後のこと。私が弱音を吐く時は、何時もクラゲのぬいぐるみを胸に抱えていた。其のすべすべとした肌触りが、モチモチとした感触が、誰に慰められるまでもなく、寄り添ってくれる感じがしたから。


今日も今日とて、発作のような自己嫌悪が出てきて、瑠衣を前に独り言を述べる。執筆の最中なので、大抵無視をされるか、彼なりのシビアな回答を投げられるかなのだが、今日は前者だった。視線はスマホに注がれている。

「なんか、この子抱いてると星の王子様を思い出すんだよね」

どうやらこの一言が、彼の琴線に触ったらしい。顔を上げると私の方を見る。続きを待っている様だった。

「ほら、物語の最後の方。『あのバラは何時も良い匂いで満たしてくれた。それだけ良かったんだ』っていう場面」

昔は全く面白いと思わなかったし、何を言っているのか、どうなったのか分からなかった。けれどもこのクラゲを抱き締めていたり、瑠衣の存在を思い知る。

言葉では瑠衣に、無言ではこのクラゲに、沢山の願い事を掛けた。こうやって相談したし、明日はおりが無くても大丈夫だって。

でも別にその願い事がなくても、瑠衣やクラゲに八つ当たりをしようとは思わない。ただ一緒に居てくれるだけでも良い存在なのだと通関する。

「瑠衣が私の事どう思ってるか分からないし、別にこれから先知る必要もないけど、そういう関係でありたいと思う」

別に何かしてくれなくても良い。ただ何となくそこに居て、何となく話を聞いてくれるだけで良い。

「らしくないな……。水族館行った時からそうだが」

果たしてその言葉は私に対してのものなのか。


オマケ

「お隣にいらっしゃる方は?」

「同居人」

「奥様では……」

「同居人。何度も言わせるな」

考察が必要そうなので、私が頑張ります。

瑠衣は読者を試す様な難題も、巻末に残しそうなので。


瑠衣は皆様ご存知、一匹狼です。

認めたガチ勢とは、相応につるみますが、それ以外の人々は顔も名前も薄ぼんやりな気がします。


そんな瑠衣ですが、両親の背中を見て小説書いたり、自分が居なくても大丈夫な様に、自分から麗衣と離れたりしてます。

その為に鏡花と結婚という手段まで取ってます。

物言いはキッツいですけど。


だから家族に対しては、相応な情があると思うんですよ。

そんな瑠衣が思い出の水族館に、鏡花を連れていく時点で、結構重たい意味がありそうだなと。

少なくとも、『見知らぬ誰か』という存在ではないはず。


そして鏡花の述べた『星の王子さま』のお話。

鏡花は『瑠衣が私の事どう思ってるかなんてどうでも良い。ただ傍に居てくれるだけで安心する』と言ってます。


その理由から、何となく童心に返って、感傷的になっているんじゃないかなと。

それこそ鏡花が述べた様な事を、瑠衣も考えたんじゃないかな。

だから『らしくない』んですよ。

何時も機械的な瑠衣だから。

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