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【完結】仲間の幸せのため嫌われ役になって死んだはずなのに、真実を知った前世の推しキャラが禁術で俺を蘇生していました 〜原作知識無双後の後日譚〜  作者: 夢見戸イル
カーラの故郷“エフォール”にて

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28.ゲームと違和感

 その日は、各々が好きに過ごして時間が過ぎた。カーラとオーディは何度か戦ったという。勿論カーラが全勝していたが、オーディは負けてもスッキリした顔をして笑っていた。

 ソルもソルで、魔物退治をするなどして少しでもと経験値の足しにと残りの時間を過ごした。セレスも心配して付いてきたが、基本的には他愛のない話をして過ごした。ソル個人としては少しでもセレスとの差を埋めてセレスを守れるようになりたかったため、一緒に訓練するとセレスも強くなってしまう事だけは少し複雑だった。


 そして次の日、四人は塔へと向かった。

 そういえばとソルは思う。サマエルは既に死んでいた。風の属性を持つパズはどうなのだろうか。


 パズのエンディング後の姿は、翼の生えた、けれどもサマエルよりは元の姿に近い形をしていた。パズと属性の近い鳥系の魔物を生贄に捧げたという設定だからだ。

 そして、サマエルのようにパズが完全に死んでいた場合、ストーリーは狂う。原作では、パズが瀕死状態になった段階でべヘが現れ、パズは助けられる。そしてパズに懇願され、水属性の四天王レヴィアの死者蘇生のための生贄に使われるのだ。

 レヴィアの死者蘇生は完全に成功する。そして、生贄にすべきは死者蘇生する存在と近しい存在でなければいけないことに気付き、べへは自身を生贄に魔王を復活する事を決めるのだ。だから、パズの状況は今後の展開に重要だった。


 けれども、今は考えても仕方ないかとソルは目の前の雑魚敵に集中する。いつものように、範囲攻撃魔法をメインにやっていけばいいわけではない。飛行系の魔物が多い分、範囲攻撃魔法に漏れた雑魚敵をレピオスと一緒に遠距離攻撃で倒していく必要があった。

 勿論、セレス達も全く攻撃できないわけではない。セレスは剣に魔力を込めて風を切るような攻撃で遠距離攻撃ができるし、カーラも高く跳び上がり蹴りや拳を入れることができる。


 そうして辿り着いたコアのある階に来たとき、ソルは思わず立ち止まった。


「なんで……」


 本来なら、ここにパズがいるはずだった。けれどもそこには、何もいなかった。

 ただ何かが起こった事だけはわかった。羽が散らばり、折れた翼が落ちていた。そして飛び散る深緑色の血。恐らく誰かとパズが戦ったのだろうということだけはわかった。


 これも、べへがやったのだろうか。何かが狂ってべへとパズが戦い、けれどもシナリオ通りに最終的にはべへが死者蘇生のためにパズを連れて行ったのだろうか。


「……セレス。これはどう思いますか?」


 レピオスはため息をついてそう言った。


「さあ、私もこの状況は流石に予想はつかないわ。次の痕跡が残る塔を調べないと」


 セレスはさらりとそう言った。

 と、セレスの言葉にソルは一つの事に気が付く。どうして、三つの痕跡が既に存在しているのだろうか。


 ゲームとしてプレイしてきたソルは、そこに痕跡が現れる事を事前に知っている。だから、三つの塔に痕跡があると言われても、何の疑問も抱いていなかった。けれども原作ではまず目的地にパシオニアが指定され、復活した四天王との勝利後に新しい痕跡が現れたと次の目的地が指定される流れではなかったか。

 そもそも痕跡が既にあるならば、次に行く塔にいるレヴィアも既に死者蘇生済なはずだった。既に生き返ったはずの四天王が何もせずに自分達を待っているなんて、あり得るのだろうか。


 今までこの原作との違いを少しも疑問に思っていなかった。ゲームでは、たとえ魔王が復活したとしても、プレイヤーは当たり前のようにサブクエやレベリングのために寄り道をする。その間、敵は何もせずに待っている。

 けれどもここはある程度リアルに補正された世界。だから最初から三つの痕跡があること自体おかしいはずなのに、ゲームのシナリオ通りに進んでいるのだとずっと勘違いしていた。


 ふと、ソルは壁に大きな切り傷が沢山あることに気付く。こんなに沢山の傷が、以前来たときにあった記憶はなかった。だって前回パズと戦ったときは、自分の炎魔法が中心だったのだから。

 だから焦げていたとしても、切り傷がこんなに沢山あるはずがなかった。けれどもこれは、セレスが剣で風を切る魔法を使ったときのような切り傷だ。


「なあ。今日より前に、三人でここに来た、ってことはないよな?」


 思いついた疑問を、ソルは口に出す。その言葉にセレスはピタリと止まり、ゆっくり振り向きソルを見た。


「……どうして?」

「いや……、それは……」

「そんなわけないじゃん!」


 そう言ったのはカーラだった。


「そうだったら、わざわざここに来るわけないし! それに、来てるなら流石にソルに言ってるって! というか、ボクも強いやつと戦えなくて不完全燃焼というか……。あっ、まあ平和なのが一番だけどさ!」

「だ、だよな……! あはは……」


 カーラは嘘がつくのは上手いタイプではなかったはずだ。嘘を付いてもすぐバレる。けれども嘘をついているようには見えなかった。だからきっと間違いないのだろう。

 もしかしたらこの傷も、本当は自分が気付いていなかっただけで以前戦ったときにセレスが付けていたのかもしれない。自分が弱いから、見えない所でフォローしてくれていたのかもしれない。


 それならば、どうしてこんなにもシナリオからズレているのだろう。


 いくら考えても、ソルには答えが見つからなかった。

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