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【完結】仲間の幸せのため嫌われ役になって死んだはずなのに、真実を知った前世の推しキャラが禁術で俺を蘇生していました 〜原作知識無双後の後日譚〜  作者: 夢見戸イル
カーラの故郷“エフォール”にて

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20.正しさと不安

 それから、改めてカーラの両親のお墓に四人で手を合わせた。そして、誰も何も言わず道場へと向かった。

 カーラは一人、先を歩いていた。きっと、両親の事で色々と考えることがあるのだろう。それを第三者でしかない自分が何かを言うことは、少し躊躇われた。


 ソルとしては、それよりも隣を歩くセレスが気になった。セレスもまた、泣きそうな顔をしていた。その顔はカーラの話を聞いて、とは、少し何か違う気がした。


「セレス、どうかしたのか?」


 ソルは思わずセレスに声をかけた。セレスはいつも自分の事を気にかけてくれる存在だった。だからソルも、何か力になりたかった。


「……いいえ。何でもないわ」


 そう言いながらも、セレスは立ち止まり、俯いた。


「どうして死者蘇生って禁術なのかしら」


 そう言って、セレスは困ったように笑いながらソルを見た。

 ソル自身、どうして駄目なのかなんて考えたことは無かった。ただゲームの設定でそうだったから、この国の決まりだから、その程度に考えていた。けれども改めて問われると、ソルは何も答えられなかった。


「……誰かの命を犠牲にするからじゃないか?」


 ソルが唯一思いついた答えがそれだった。けれどもソルの言葉に、セレスは再び俯いた。


「でも、私達は悪者の命を沢山奪ったわ。それと何が違うの? もし悪者の命を犠牲にして生きるべき人を蘇らせるなら……」


 その言葉に、ソルはハッとした。恐らく、カーラの話を聞いて思うことがあったのだろう。けれども禁術はあくまで禁術だ。セレスの疑問に、ソルは答える術を持たなかった。


「セレス」


 と、後ろで黙って聞いていたレピオスが、セレスとソルの間に割り込んだ。そしてセレスの方を見る。


「だから人はこの世界にルールを作り、何が悪かを決めて自分達を守っているのですよ。感情で決めていたら、別の価値観を持つ存在が現れた時に私達が犠牲にされてしまうかもしれませんからね。……セレス、今のあなたの顔を見たら皆さん心配します。顔を洗ってきなさい」

「……ええ、そうね。ありがと」


 セレスはそう言って、ソルに背を向けて去っていった。セレスの顔は、レピオスが隣に来てから良くは見えなかった。けれども、ずっと泣きそうな顔をしていたから、レピオスもそこを気にしたのだろう。


「……私だって、何が正しいのかわかりませんよ」


 レピオスは、セレスの背中を見ながらポツリと呟いた。





 それから四人が暫く休んだ後、四人はマイターが用意してくれた宴会に呼ばれた。昼間カーラの前に集まっていた子供たちも呼ばれ、カーラは食べる暇もなく子供たちに旅の話や技を見せることをせがまれていた。


「カーラの好きそうなご飯、取っといてあげないと。あれじゃあ何も食べれずに終わっちゃうわね」


 セレスがそう言いながら、空っぽのお皿にカーラの好きそうな食べ物を取り始めた。少し前泣きそうな顔をしていたセレスも今は普通の表情で、ソルは少しホッとする。

 そして、セレスがいつも通りになった事を確認すれば、今度は少し離れた所に座るオーディの方が気になった。オーディは俯いたまま、久々に会ったはずのカーラの方を見ようともしなかった。そんなオーディを見て、ソルは宴会が始まる前カーラが言った言葉を思い出す。


『オーディはね、パパとママが死んでずっとボクが泣いてた時、励ましてくれたんだ。そして、一緒に強くなろうって約束した。だからこんなに強くなったよって見せたいのに、オーディは忙しいのかなあ』


 きっと、カーラもオーディの違和感に気付いているのだろう。けれどもずっと、話す機会を失っていた。

 ずっと、ソルの中の胸騒ぎが止まらなかった。けれども、同時に何かあったとして解決すべきなのかもわからなかった。パシオニアでの事を考えると、このままカーラが何も気付かないまま離れた方がいい気もした。

 だから、この事はソルの自己満足かもしれない。けれどもソルは、せめて理由を確かめたかった。


「ソル……? どうしたの?」


 セレスが心配そうにソルの顔を覗き込む。けれどもソルはオーディに気を取られていた。


「ねえ、もし何かあるなら相談に……」

「悪い。ちょっと行きたいところがあるから」


 オーディは、今まさに立ち上がって奥に消えようとしていた。明日になれば塔に向かうから、そのまま話す機会もないかもしれない。その前にソルはオーディと話したかった。

 ソルはオーディを追って飛び出した。


 そんなソルの背中を見ながら、セレスは耳元のイヤリングに魔力を流した。そして、ソルの消えていった廊下を見つめる。

 隣で、レピオスが大きくため息をついた。


「セレス。今回彼は様子のおかしいカーラのご友人を気にしていただけですよ」

「……わかってるわ。でも不安なの。またソルが一人で何かするんじゃないかって」


 セレスは、先程自分の声に振り向きもせず去っていった時の事を思い出し、拳を握りしめる。


「仕方ないじゃない。ソルは何も言ってくれないのだもの。一人で全て背負って、一人で何もかも守ろうとするの。どうしたらソルは私を頼ってくれるのかしら。どうしたら……」

「それを直接本人に言葉で伝えれば彼もわかってくれる、と、自信を持って言えれば良かったのですけどねえ」


 レピオスも、ソルの消えた廊下を静かに見つめた。


「私はただ純粋に、二人共に幸せになって欲しいのですがねえ」

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