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第80話 次から次へと出てきますね?


「いやー、楽しかったわ! アンタ達最高だよ! またどっかで会えたらいいなぁ!」



 ミスター?は終始ご満悦のようだった。メイちゃんとはスイーツ大食い対決で競い合い、タニシとは勇者エニッコス伝説語りで盛り上がっていたようだし。行動や言動がおかしかったり、怪しかったりはするが、すごくいいヤツだったんではなかろうか?



「また会えるはずだよ。 私は元々法王庁治療院の所属だから聖都の近くに住んでるなら、いつでも会えると思う。」


「ち、治療院……!? ハハ、確かに近場だから会えなくも会えるかもかも……!」


「かもかも言いながら噛みそうになってるでヤンス!」



 メイちゃんから治療院という単語を聞いた瞬間から、急にしどろもどろになるミスター?X。なんか知らんが急にテンパり始めた。店にいたときもファルをチラチラ見ている様子だったし、クルセイダーズや法王庁のことが気になるんだろうか?



「とにかく詳細は話せないけど、私は聖都某所でしょっちゅう啓蒙活動をしているから、いずれお忍びで会いに行くと思うわ。今みたいにね!」


「そんなに正体がバレるのがマズいんでヤンしゅか? ソレに啓蒙活動ってせい……、」


「わーーーっ!? 犬の人! それ以上はダメ! それ以上イケナイ! 正体バレるから言わないで!」


「ま、ましゃか……?」


「とりあえず、今日はありがとう! 今から大事な用があるからまた今度ね! ほなっ!!」



 ミスター?は何か慌てふためいた様子でそそくさと去って行った。なんだったんだろう? タニシは何か核心に触れてしまったのだろうか? 啓蒙? 法王庁? 聖都? 普段の職業は一体何なのか? 詳しくない俺にはサッパリわからなかった。



「タニシ、アイツの正体に気付いたのか?」


「なんか、妙に可愛いから怪しいと思っていたでヤンス! 法王庁で啓蒙といったらあの集団しかいないでヤンしゅ! あの娘はきっとアレの一員なのは間違いなさそうでヤンスよ!」


「大方、息抜きでこんな場所に来てたんだろうよ。結構、古代軍隊国家ばりのキツい教育で有名だからな。」



 ファルまで気付いているようだ。そんなヤバそうな集団とは一体? ミスター?の正体を探っている間に、俺らの元へ物々しい集団が近付いてきていた。全員真っ白い武器、鎧で武装している。しかも目を引くのが鎧の左胸の所に描かれている赤い薔薇らしき花の紋章! どこの騎士団だ?



「貴公らにお尋ねしたい事がある。」


「な、なんすか? 絶壁プリン早食い大会ならもう終わりましたぜ?」


「フッ、やはりな! それが狙いだったということか! あのお方が仰せられた通りだ!」



 集団の先頭に立つ騎士は誰かの推測は当たっていたことを賞賛している。随分とイケメンな男である。ちょっとウェーブがかったオサレな長髪をかき上げながら、いかにも自分は格好いいんです、みたいなオーラを醸し出している。はは~ん? コイツ、いわゆるナルシストとかいうヤツだな。



「やっぱな。あの姉ちゃんの正体はアレだったワケか。“薔薇騎士団”直々に出向いてくるとは大した人材なんだろうな。」


「フッ、察しの良いことだ。さすがは風刃の魔術師。こんな所で会えるとは思わなかったよ!」


「えっ!? ファルのこと知ってんの?」


「知ってるも何も、この男は六光の騎士の一人、ロレンソ・サングレイローサだ。そういう意味では俺の同僚ってことになる。所属は法王庁だけどな。」


「何ぃーっ!?」



 まさかの六光の騎士! ファルと肩を並べる存在だったとは! 六人いるのはわかっていたが、残りの二人は何者かと思えばこんな色物もいたとはな。なんかクセの強そうなキャラが出てきやがったぜ!



「フフ、私とファル・A・シオンは六光の騎士の中で美しさを競い合う仲だ! 互いに美を極めんと日々邁進し続けているのだ!」


「誰も競っちゃいねえよ! テメエのバカにつきあってなどいられるか!」


「フフ、皆が見ているから照れているのだろう? 我が永遠のライバル(強敵)よ!」



 ああ。ファルも面倒くさいヤツに絡まれてしまったな。ウザいな、非情にウザいことこの上ない。こんなのが同僚になった日にゃ、俺だったら速攻で異動を申し出るか辞表を出すかもしれない。



「お前がここに来たって事は聖歌隊の人間でも追ってきたって事だろ?」


「おお、さすが心の友よ! 私の目的などお見通しのようだ! そうさ、お察しの通り私は親愛なる聖女様から極秘任務を仰せつかっているのだ!」


「極秘任務という割にはめっちゃ目立ってるんですが?」


「そう! この姿は、この任務中は誰にも見られてはいけない! だから……、」


「だから……?」



 ロレンソとかいうナルシスト野郎は大げさに身振りを交えながら悩ましいポーズを取った。お前は喜劇役者か! いちいち大げさ過ぎる。



「だから、決闘で解決する! 決闘で勝ったら何もかも忘れて頂こう!」


「何、その自分勝手なルール! というか誰と戦うつもりなんだよ?」


「もちろん、貴公だ!」



 ピッと反り返るようなポーズで俺を指差してきた! なんで俺が決闘しないといけないんだよ! てっきりファルとやりあうのかと思ってた。なんかしょうもない理由で喧嘩を売られてしまったな……。

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