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第77話 僕らの合い言葉はダッフンダ♪


「おーーーっと!? ここで完食者が出現したようです!?」


「な、何ぃ!?」



 司会役の店員が衝撃の事実を告げた! その場にいた全員、参加者、ギャラリー問わず騒然となった! みんなあと少しで完食というタイミングで何者かが突出して食べ終えたようだ。その正体は……、



「今回の一位は……今大会初参加のダークホース、Mr.ダッフンダさんに決まりました! しかも新記録を打ち立てました!」


「ダイジョウブだ、ダイジョウブだ! 新参者で優勝してもダイジョウブだ?」



 あの細長体型のコボルトは見覚えがある! スミス・ダッフンド氏じゃないか! キャベツ早食い競争で優勝してたと思ったら、こんな所でも優勝しやがった! しかも、あの時と同じ。体型が変わってない! 下手すりゃ、自分の半分くらいの体積のあるプリンを平らげたのに……。一体、プリンはどこへ消えたんですかねぇ?



「ぐ、ぐはぁ!? 優勝持ってかれた! く、悔しいです!」



 ミスター?は余程のショックだったのか、泣きながらプリンを食い続けている! 手は止まっていないので、このまま二位に食い込みそうだ。



「ぐふぅ! やられた! もうダメだ! ……ぐう、ぐう……。」



 親分は絶叫した後、突然寝始めた。ナニコレ? 急激に甘い物ドカ食いしたから、満腹時に眠くなる現象でも発露したんだろうか? 完食を目の前にして無念のリタイヤとなってしまったようだ。チーン!



「ま? ま、ま、まままぁ!? どういうこと? わたくしを差し置いて一位をかっぱらうなんて、恥を知りなさい!」



 気絶した親分の次は婦人までもが取り乱し始めた。それでも相変わらずサクランボを口の中で転がし続けている。でも。プリンは減っていない。アンタの敗因、明らかにソレじゃないか……。ダッフンダさんは関係ないやないかい!



「フハハ! 無様なものよ! 余は取り乱したり等しない! 余は軍人。余は負けぬ。常勝無敗! なぜならば余は今回、参加しておらぬのだからな! 参加したと見せかけた計略よ! これぞ常勝戦術“ニセ参加”!」



 参加してなかったのかよ……。確かにプリンには一口も手を付けていないようだ。しかし、セコい。セコすぎるよ! 確かに負けてはないけど、勝ってもいないからな! ドヤってんじゃないよ!



「ああ、おいしかった! ごちそうさまでした!」



 常連達の奇行をよそにとうとうメイちゃんが完食を遂げた。しかも二位! あと少しの所でミスター?は入賞し損ねたようである!



「な、な、な!? なんですってぇ!? 私を差し置いて二位に食い込んだですってぇ!?」


「ご、ゴメンナサイ。」


「ダイジョウブだ、常連を差し置いて二位に入賞してもダイジョウブだ!」



 驚愕し落ち込むミスター?に謝るメイちゃん。別に謝らなくてもいいと思うが……。そして、何故かこの間に割って入ってくるダッフンダさん。何のつもりなのか? それはそうとして、プリン早食い大会は意外な結末を以て終了を向かえた。




「えぇーーい! 悔しいから、やけ食いだ! ちょっと店員さん! ナジミのアリア

(ハン)を持ってきて!」


「悔しいからヤケ食い?」


「何よ! なんか文句あるの?」



 大会が終わった途端、ギャラリーはいつの間にか消え去り、寝落ちした親分以外の常連達も肩を落として去って行った。ミスター?は何故か俺達と同じテーブルに座り、負けたストレス発散のヤケ食いを始めようとしていた。



「こういうのは別腹って言うの! そんなことも知らないの、あなたは!」


「普通は飯食った後のデザートを食うときに言う決まり文句では? それって逆なんじゃ?」


「あぁ? うるさい! 逆とかじゃないから!今は変装してるから、逆にアリなの!」


「逆とか意味がわからんのだが?」


「言葉の意味はわからんがとにかくスゴい自信だ、でヤンス!」



 ミスター?は謎理論を持ち出して自身の行為を正当化し始めた。どこが逆で、どこがアリなのか? 注文したアリア飯とかけてるのか? でも、ナジミのアリア飯って何? 聞いたことのないメニューだ。



「くぅ、やってくれたわね。○○子ちゃん! 今度は絶対に負けないからね! 絶対よ!」


「お、お手柔らかにお願いします。」


「メイちゃんがライバル認定を受けたでヤンス!」



 謎の怪しい女の子?にライバル視されてしまったメイちゃん。そんなことしても次会えるかもわからんのに、意味はあるんだろうか?



「どうもお待たせしました。ナジミのアリア飯でございます。」


「来た来たぁ! さあヤケ食いするぞ!」



 なんか皿の上に“c”の形で盛られたピラフの真ん中に鍵の形をしたオブジェがそそり立っている! これがアリア飯の正体だったとは……。

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