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第75話 仮面舞踏会みたいな風情を醸し出しておりますのよ。


「いいんか、メイちゃん? ほとんど悪口みたいなリングネームだよ?」


「別に大丈夫です。割と可愛い名前にしてくれて嬉しいです。」


「そうでしょう、そうでしょう! 中々、私、センス良いでしょう?」



 見た目を揶揄した、どストレートな名前だが本人は気に入ったようだ。本人がそう言ってるなら別に良いか……。というか名付け主のミスター?が自画自賛しているのはどうなのか? 結果オーライみたいになってるけど、いつもそれがまかり通ると思うなよ。



「ミスター?Xさんは普段は何をしてる人でヤンスか? 只者ではないとお見受けしヤしたが?」


「この店では客同士、素性は探らないっていう暗黙のルールがあるんだぜ!」


「オホホ、そうすることである意味、仮面舞踏会みたいな風情を醸し出しておりますのよ。」


「そーいうこと。なのでミスターXという名前以外は口外しません!」


「なんかこの店舗、ヘンなローカル・ルールみたいなのがあるんでヤンしゅね?」



 親分、婦人は揃ってルールの存在を示した。なによそれ? 会員制の秘密のクラブみたいな所ならわからんでもないが、たかだかジャンクフード、しかもチェーン店にそのようなルールを設けるのは如何なものか? おたくら、そんなスイーツにがっつくためだけにコソコソする必要がどこにあるというのか?



「……察してやれ。聖都のすぐ側で俗っぽい食べ物食うのに集まってる輩なんだ。素性くらい隠したくなるだろ。」



 ファルは冷静にタニシを諭した。いつのまにかフードを被って顔がよく見えないように隠している。何かと思ったら、ミスター?がファルのことをしきりにチラ見しているのがわかった。これを避けるための行為のようだ。イケメンだから気になっているんだろうか?



「そう言われればわからなくもないでないでヤンしゅ。あっしもミャーコちゃんの目があるから、全力でワシャシャれないでヤンスからねえ。今はワシャシャり放題でヤンすけど。」



 だからワシャシャるって何? なにか後ろめたい行為の事でも言ってるんだろうか? ミヤコのヤツにバレたら困ることといえば、如何わしい人形とかを作る様な事か?



「素性は探らないって割にはファルの事、チラチラ見てるのは何? ミスター?さん?」


「い、いや、こ、これは!? 別にチラ見してません! 見覚えのあるイケメンエルフに興味があるわけではないのだよ!」


「はぁ?」



 思いっきり素性を探ろうとしてるじゃないか! ある意味、ガン見してるだろ! イケメンエルフだから女の子であれば誰でもそうなってしまうだろう。だがしかし、“見覚えのある”という一言は何を意味しているのか? 知り合いか? ミスター?って実はクルセイダーズ関係者とか法王庁関連の人だったりするのでは……?



「ヘイ、ガツ丼、ゴチ丼、サラシ丼、おまちどぉ!」


「おっ、俺らの頼んだメニューが来たようだな。」



 ミスター?の不可解な様子について考察していると、料理がやってきた。思ったより早かった。早かったけど……なんじゃあこれは!



「オイオイオイ、死ぬわ俺!」


「こんもりでヤンスなぁ!」


「あーあ、こりゃ、数日はお前に誰も近寄らなくなるわ。しかも、あの量は確実に胃をやられるな。」



 刻みニンニクが山みたいに盛り付けられている! 馬鹿な! モリッチョってこんな量だったか? 他の店舗で頼んだ時は常識的な量だったというのに! こんなチャレンジメニューみたいな盛り方はおかしいぞ!



「フフ、驚いているようね! 何を隠そう、この店舗は一部のメニュー、トッピングが通常の三倍になっているのよ!」


「ば、バカなぁ!? どこにも書いてないし、店員も何も言ってなかったぞ!」


「フフ、甘いわね! メニュー表の下の方をよく見てみなさい!」


「な、なんだと……。」



 確かに書いてあった……。冗談ではない! 「※当店の一部メニュー、トッピングは量が三倍になっています」と。下に小さく赤い字で。文字の大きさは逆に三分の一くらいになっている。フッ、認めたくない物だな。若さ故の過ちというヤツを。



「だが、中らなければどうと言うことはない!」


「いや、中るだろ。確実に。腹壊すだろうよ。」 


「トッピングなんて飾りでヤンス! アニキなら、きっとウマく食えるでヤンスよ!」



 とかなんとか倍量のトッピングに気を取られていると、黄色い壁のような物が視界に入ってきた! ま、まさかこれは例のプリンなのか……?



「この店舗の特別メニューはバケモノか!」



 黄色い絶壁を目にして思わず叫んでしまった! これを食うと言うのか、ヤツらは! 見せてもらおうか、常連の早食いの実力とやらを!

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