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第49話 炎VS炎


「舐めるなよ、小僧! 俺の魔術はまだまだこんなもんじゃないぜ!」



 アラムさんの攻撃に動揺して気が高ぶっている様に見える。それでも強力な魔法力を両手に集中し始めている。僕の間合いに到達する前に何らかの魔術で迎撃を受けるのは必然だった。



「ホット・リヴァー!!」



 まずは左手で帯状に伸びた炎を放ってきた。蛇のように蛇行しながら、僕の方へと向かってくる。変則的な動きで軌道が読みづらい!



「フレイム・ウェポン!」



 自分の剣に剣に火炎を纏わせた。これで相手の魔術を防げるわけじゃないけど、逸らすような使い方が出来る。



「ハッ! エンチャントした武器に俺の炎を巻き付けようってか? 案外、考えるじゃないか!」



 僕の狙いはこれだった。自身の剣に相手の魔術の炎を纏わり付かせて逸らす。同じ属性だから出来る防御法だ。巻き付けた上で、引き込み相手の体勢を崩しにかかる。



「おおっとっと! いけねえ、いけねえ! このままでは倒されちまう!」



 相手はそのまま体勢を崩すかと思われたが、それをフェイントにして反対側の手、右手に溜めていた魔力で魔術を放ってきた。地面に無数の小さな火の粉がぶちまけられた。



「これはファイア・アント! ホット・リヴァーはあくまで囮! こっちが攻撃の本命だぜ!」



 巻き付けた炎のせいで、剣を封じられたのも同然だった。次第にじりじりと地面の火の粉が迫ってくる! 迫るに従い火の粉同士が合流し、大きくなっている。



(ボバッ!!)



 火の塊が襲ってきた。僕は咄嗟にあの手段で攻撃を遮った。ちょっとした火の塊程度ならこれで防げる。



「チッ! それは追従剣(オービタル・ブレイド)か! 通りでどっかで見たことのある剣だと思ったぜ!」



 クルセイダーズでもなく魔術師だというのにこの武器の事を知っているようだ。僕のご先祖様とも戦ったことがあるんだろうか? この武器の特性は知っているものとして考えた方が良さそうだ。



「だけどよ、そんなカミソリ一本で俺のファイア・アントを凌ぎきれると思うなよ!」



 迫り来る火の塊を追従剣(オービタル・ブレイド)で切り裂き、弾き、止め防ぐ。最初の炎の帯は相変わらず剣に巻き付いたままであり、相手と互いの体勢を崩し合おうと一進一退の攻防を続けている。



「小僧、互角にやり合えているとでも思ってるんじゃないか? こっからが本番だ! 覚悟しろ!」



 無数に放たれた蟻のような火の粉は時間が経つにつれて合流し、大きく膨れ上がっていっている。それは最初と変わらないが、塊同士でも合流し、業火の巨塊というサイズにまで膨れ上がっていた。



「この魔術が何故、蟻と言う名を持っているか知っているか? 蟻は一匹では大した強さじゃない。例え軍隊蟻でもだ。でも数が膨大になればあらゆる者を遅い殺す脅威の集団と化す!」



 業火の巨塊はいつの間にか僕の周囲を囲んでいた。これでは逃げ場がない。しかも剣は相変わらず炎の帯に捕らえられたままだ。



「食らえ! バーニング・クィーン!! そのまま消し炭になれ!」



 集まって巨大になった炎の蟻、その女王というべき姿のことを魔術の名前としているのだろう。四方から僕に雪崩れかかるかのように襲ってきた! こうなったら……。



「ハハハ! あっけないな! 所詮、学生風情だ! それが俺達トップクラスの魔術師に敵うわけがない!」



 倒したと思い込んでいるのか、剣に纏わり付いていたホット・リヴァーを相手は解除してしまっていた。それが僕の反撃の好機を作ってしまっている。剣と追従剣(オービタル・ブレイド)を自身の周囲を旋回させるように回して周囲の炎を取り込んでいく。



「……火炎旋風? ッハハ、悪あがきをしたところで脱出など出来るものか!」



 確かに凄まじい業火だ。これを全て取り込むのは時間がかかる。普通、この反撃はここまで時間がかかるものじゃない。それだけ相手の魔力が凄いんだ。その分、返す力も膨大になる。



「な、何!? 俺の炎を取り込んでいるだと!?」


「同じ炎属性の使い手だからって侮りましたね! 同じ属性なら、それを味方に付けることも出来る! お返しだ、オービタル・ストーム!!」


(ゴォォォォォォッ!!!!!)


「おわあああああっ!?」



 剣で巻き起こした火炎旋風にファイアー・バードは飲み込まれていった。これで倒した? いや、そうとは思わない。僕が反撃できたのと同じで、こんな簡単に倒せるとは思っていない。炎属性の使い手を名乗っているのなら、何か仕組んでいるとしか思えなかった。

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