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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第441話 私の屍を越えて行け。


「ダークネス・アヴァランチャー……、」



 ヤツの拘束から逃れ、すかさず必殺の一撃の体勢に入る。ファングによって致命傷を負ったに等しいが、相手もデーモン・アーマーを使っているのを忘れてはならない。自己再生(リザレクション)によって、傷を修復してしまうだろう。その時間を与えずに倒してしまうのが上策だ。



(ザンッッッ!!!)


「ぐおっ!?」



 胴体を左肩からバッサリと切り裂き、続けて二撃目の体勢に入る。相手は剣を手にしていないというのもあるが、反撃や防御の素振りを見せない。それはガノスが見せる未来予測の上ですらその体勢の気配すら見せていないのだ。だが構わず止めの一撃をくれてやった。



「ダブル・インパクト!!!」


(ズシャアアアッ!!!!)


「がああっ!?」



 ヤツは一瞬にして深傷を負いその場に倒れ伏した。再生が間に合わないレベルにまで達してしまった。オレの弱みを狙って執拗に攻めてきた人間とは別人のようにさえ思えてくる。まるで途中から負けることを望んでいるかのような行いだった。



「み、見事だ。エピオン。我が息子よ……。」


「オレを息子と呼ぶな! オレたちはただの敵同士なんだぞ!」


「構うものか。私は敵であっても相手には、敬意を払う。例え、それが、自らを……倒した相手で、あって、も。」



 だんだんとその言葉にも力がなくなってきていた。正に命の尽きる瞬間が近付いている事を示していた。普通なら早くくたばる事を願うか、すぐさま追い討ちをかけ、止めを刺しているだろう。でも、今は動けない。オレの体がその行為を拒絶している。



「それで……いい。お前が立ち向かおうと、している相手、は……常に非情の、心を持って、戦い、に、挑まなければ……勝つこと、は、出来ない、だろう。それが……テンプル、騎士団なのだ。」


「テンプル騎士団……。」



 オレの父親が所属していたという組織だ。そして、死に追いやった犯人でもある。オレと母さんを迫害し続けた集団でもあるから、オレが最も憎んでいる相手だとも言える。非情の心がなければ勝つことは出来ない。そんなことはわかっている。奴らは法王庁直下であることをいいことにありとあらゆる手段を持って、敵対勢力の排除を行っていることでも有名だ。生半可な覚悟では勝つことが出来ないのはよくわかっている。



「私の、役目は終わり、だ。お前に鎧の真の使い方、を……伝授する、機会があって、良かった。」


「余計な事を……。オレはそんなお節介をされるほど落ちぶれていない!」


「ハハ、誰に似たのか、負けん気の、強い子だ。これ、なら……アルバート・トップフォースにも、対抗出来る……だろう。」



 その名は確か、テンプル騎士団の総長を務める男だったはず。六光の騎士の筆頭でもある実力者で恐るべき強さの持ち主としても有名だ。その地位から教団内では法王に次ぐ権力を持つとも言われ、各界から恐れられている男でもある。



「お前も強い……。だが、一人では絶対に、勝てない。だからこそ、勇者と……手を結び、共に、戦う……のだ。」


「誰が勇者なんかと!」



 なぜよりにもよって勇者なんかと……。それよりもオレは勇者なんかよりも遥かに強者である、ヴァル様の下に付いている。あの人なら、教団が相手だろうと無敵の戦いぶりを見せてくれるはずだ。いや、ヴァル様の手を煩わせる程じゃない。オレが動けばいいんだ。その為にオレはヴァル様に忠誠を誓っているんだ。



「私は……どうやら、ここまでの、ようだ。最後に……、」


「早くくたばってしまえ! お前は元々死人なんだ!」


「お前と妻には苦労をかけさせてしまった。すまなかった。」



 アディンの生命反応が完全に消えた。肉体的には既に死んだも同然だったが、鎧の生命維持機能、闇の魔力で生き長らえていたようだ。その魔力でも維持できなくなり力が尽きたようだ。その証拠に肉体がチリチリと崩壊し始め、鎧だけがその場に残される結果になった。



「お父さんとは……決着が付いたのね……。」



 しばらく前から後ろで見ていた姉さんが声をかけてきた。その様子からすると向こうも決着が付いたようだ。むしろ、早く決着を付けて姉さんに加勢しようと思っていたのに先を越されていた。でも、姉さんの事だから、自然と納得がいった。姉さんはオレなんかよりも余程心が強い。その強さがあったから、オレも支えてもらえたんだ。



「お互い親不孝な事をしてしまったわね……。」


「気にすることなんてない。これは(ハリス)の悪巧みによって起きた事だからな。」


「でも、あなたの方はお父さんとは初対面だったんでしょう? それが敵同士として戦い合う羽目になるなんて……。」


「いいのさ。オレはこの戦いを通して何か吹っ切れたような気がするから。」



 姉さんは心配そうにオレを見ているが、オレは気にしていないから問題ない。アイツと戦えたのは良かったと思う。憎んでいたのも本当だ。むしろ、父親との思い出がなかったからこそ、あくまで男同士として戦い合えたんだと思う。その方が本音でぶつかり合えるからやりやすいんだ。

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