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第44話 最後のガーディアン


「これは一体……?」



 地下十階のメインフロアに到達した私達は意外な光景を目にすることになった。部屋の奥に鎮座する巨大な門。多分これが封印のための仕掛けなんだと思う。でも今までのフロアとは違い、ガーディアンがいなかった。



「何もいないじゃん。ビビって損した。途中の雑魚しか守ってる奴いなかったじゃん!」


「以外でしょう? 私は皆さんの驚く顔が見たかったので、敢えて黙っていました。」


「えー! オジサン、以外と意地悪だね!」


「昔はよく同僚に言われたものです。でも、実際には厄介な罠がありましてね。それがガーディアンとしての役割を果たしているのですよ。」



 アラムさん、知ってるのに黙ってたんだ。以外とユーモアのある人みたい。ついさっきまで私と真面目な話をしていたのに。私に本音を話してくれてまで励ましてくれてたのに、あれはなんだったんだろう?



「実は地下100階へ行く分には気にしなくてもいいんですよ。スルー出来るので。」


「ちょっと待って下さい! あなた、何故、地下100階の存在を知っているんです!」



 背後からフォグナーさんの声が聞こえてきた。普段穏やかなあの人が大声で叫ぶのは以外だった。振り返ってみると他にもローラやラヴァン先生、トープス先生がいた。不測の事態があったから心配していたけれど、みんな無事で良かった。胸をなで下ろしてほっとしていたら、意外な人がそこに混じっていることに気付いた。……レンファ先生がいた。



「あなたは確か……フェルディナンドの秘書をされていた方ですよね?」


「ええ。あくまで元、ですよ。あの事件が発生する直前に職を辞しましたが?」


「あなたは何のためにここにいるのです?」


「……!? フォグナーさん、あなたがアラムさんに信号を送ったので私達の元へ応援に来てくれたのではないのですか?」


「何の話をしているのです? 全くその様なことは……、」


(ドゴォォォォォォン!!!!!!!)



 いきなり轟音と共に天上に穴が空き、瓦礫が崩れ落ちてきた。そこには一人の人影が仁王立ちしている。ちょうど私達とフォグナーさん達のいる場所の間に割って入ってくるような形になったいる。



「……見つけたぞ。」



 瓦礫と共に巻き上がった土埃が収まり始め、だんだんと姿が見えてきた。そこにいたのは……鬼! 東洋の魔族とも言われる鬼、その物だと思った。レンファ先生やロアから聞かされたことがある。実際に見たことはなかったけれど、直感的にそういうものだと感じた。恐ろしい形相をした面を付けている!



「うぬがパイロンの言っていた女だな? 魔の力を操りし者よ!」


「パイロン? 何故、あなたが宗家さんの事を知っているのです?」


「彼奴とは競い合う間柄故よ。我ら蚩尤一族と同じ暗黒道の力を操る者がいると聞いてやってきたのだ。」


「私に会う……ために……?」



 私は震えていていた。恐い。この人が。まだ何もされてはいないけれど、あの恐ろしい目を見ているだけですくみ上がるしかなかった。



「うぬを我が一族に迎え入れる。大した力を使うとあの男から聞いた。その力を使いし者は選ばれし者。捨て置くにはもったいないわ。」


「そんなことはさせない!」


(ビシィィィィィン!!!!)



 鬼の背後から先生の鋭い一撃! 槍の穂先は鬼の後頭部を捉えていたはずだった。でも……たった指一本、しかも振り返らずに、右腕だけを後ろに伸ばし槍の穂先を止めていた!



「うぬでは話にならぬと言ったはずだ、槍覇よ。」


「私の弟子に指一本触れさせない!」


「我に指一本で制される者が何を抜かす? 我と対峙するに相応しい力を付けてから申せ!」



 槍の穂先は下に弾かれ先生は体勢を崩した。その一瞬の隙の間に鬼は先生の鳩尾に拳をめり込ませていた! 先生がここまで簡単に制されるなんて!



「ううっ!?」


「先生!?」


「レンファ殿!?」



 みんな一斉に先生の身を案じた。それくらい異常な事態だった。みんな少なかれ、先生が強いことを知っている。その先生が一瞬で倒されるなんて思っていない。だからこそ、ショックは大きかった。



「よくも先生を!」



 私は恐怖を振り切って鬼に向かって飛び出した。先生を助けないといけない! 先生を救うだなんて、普段ならおこがましいことだと思うけれど、そんなことを言っている場合じゃなかった。自分にとって大切な人が傷付くところを見たくないから!



「ほう! 羅刹剛体術を使いおるとは!」



 鬼は私の振り下ろした大鎌を左手のみで受け止めた! 私は無意識的にアクセレイションを全力で使って斬りかかった。それでも受け止められた。でも明らかに相手は先生の一撃よりも本腰を入れた防御姿勢を取っている。しかも、鬼の体からは闇のオーラが薄らと浮かんでいた。



「我に羅刹剛体術を使わせるとはやはり……やりおるわ! わざわざ遠方に来た甲斐があった!」


「羅刹……剛体術?」



 この感じ、私の使う力や魔王が使う力に似ている! もしかして、アクセレイションの事を言っているの? この鬼は闇の力を使える……、



(ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!)



 その時、フロア全体が震え始めた。その場にいた全員が突然の異変に驚きを見せていた。横目で奥の方を見ると……門が光を放ちながら鳴動している様が見えた。

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