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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第420話 爆発するぞう、爆鳳波♪


「こうなったらぁ、俺の必殺必勝ぱてぃーん(※パターン)で必殺してやるぅ!!」



 私が彼に敗けから学ぶことの重要性を説き、錯乱したような様子を見せ自暴自棄になってしまった。散々、子供が駄々を捏ねるような仕草を一通り行った挙げ句、なにか思い立ったのか再び槍を構え直した。


 構えているとはいえ、とても槍を手にした時に取るような構えとは呼べなかった。相変わらず槍を剣と見立てて使用している様に思える。



「知ってるかぁ? あの処刑隊の断頭台のヤツでさえ、一時は追い詰めた技を使うぞぉ! もっと貧弱なエドちゃんには耐えられるかなぁ? 使う前にチビり倒して死んじゃいそう?」


「ブレンダンと交戦したと言うのか? 一時は彼を追い詰めるとは大したものだ。」


「いっくぞぉ!! ”爆”鳳波!!!」



 彼は上段に槍を構えた後、勢いよく振り下ろした。その行為は眼前の空気を切り裂き、その余波は離れた所にいる私の元まで到達する勢いを保っていた! この技は戦技一0八計落鳳波! 先程、オリバーの体から変質した直後に使ってきた技だな。槍とはいえ刃を持った武器、剣と同様に衝撃波を飛ばすこと自体は可能なのだろう。だが果たして、そううまくいくものだろうか?



(ビュオッ!! ……ドガァァァァン!!!!)



 飛んでくる斬撃をかわし、更に間合いを詰めるための移動も行う。その間に背後で破裂音が響き渡る。予想していた通りただの落鳳波とは違った。相手もわざわざ、違う名称を謳って使用してきたのだ。何かしら違いがあると思っていたら、これだ。”爆”の名の付く通り、爆発を伴う技にアレンジされていたのだ。



「まぐれでも一回かわしたのは褒めてやるよ! お上手、お上手!! でも何発も連打されたらどうなるのかな?」



 同じ技を続けて使用するようだ。言わねば、こちらの行動に行動を制限できたものを……。余程、自らの実力に自信があるらしい。敢えて、次の行動を宣言した上で、他の行動を取り相手を撹乱する手段を取った可能性もあるが……彼の性格からその様な戦術を用いるとは思えなかった。



(ヒュバッ!! シュバッ!! ドゴァ、ズドォン!!)



 立て続けに衝撃波が飛来する。その度に爆発が起き、空気を震わす。完全に一辺倒な展開となりつつも、彼は狂ったように技をひたすら繰り出している。これでは本来の技の本質からかけ離れている様に思う。この技は遠く離れた場所から射かけてくる弓兵に対処する牽制を目的とした物だと聞いた事がある。



「爆、爆、爆鳳、爆鳳波♪ 爆発するぞう、爆鳳波♪ 爆死をするぞぅ、エドワ~ド♪」



 彼らの国では「流派梁山泊の者には矢を打つな」という格言めいた物まで存在する程であるらしい。つまりは本来届かない位置からの不意打ちとして機能しているからこそ成り立っているのだと言える。そこを踏まえずに使うとなると不都合が生じる事となる。



「爆、爆、爆鳳、爆鳳波♪」


(ミシッ! ミシッ)



 気のせいだろうか? 彼の槍が軋み、悲鳴をあげているように思う。槍というものは本来突きに特化した構造となっている。とはいえ、突きばかりの攻撃となると相手にも対処されやすくなるため、達人であれば凪払う様に振るわれたりもする。


 だが彼の様に力一杯振りかぶって叩きつけるような動作をするような物ではない。その想定されていない使い方をされて、不都合が生じ始めているのだと私は解釈した。



「いつになったら死ぬのぉ♪ エドちゃんよぉ♪ エドばく……ほぎっ!?」


(ビキイッ!!)



 力任せに振り続けられた槍は半ばからひしゃげ、折れ曲がった。とうとう立て続けに与えられる負荷に耐えられずに自壊する結果となってしまったのだ。完全に折れ千切れ崩壊しない辺りは、流石にオリバーが用いていた上質な武具だったからだと言えるだろう。



「エドちゃんより先に武器が壊れるのってありぃ!? エドちゃんのせいだぁ!!」


「君が武器を粗雑に扱った結果だ。私の忠告を聞かず技に溺れた結果、こうなったのだ。」



 彼は忠告を聞かずに槍で剣技を再現するという荒業を多用したため、武器が負荷に耐えられず崩壊した。しかも彼の得物は肉厚の刃を持つ大剣であったはず。両手持ちで剛性のしっかりした武器とは大きく違う。いずれこうなるとはわかっていたが、こうも早く結末を迎えるとはな。



「ちっくしょう! 役立たずのポンコツ武器め! もういらん!」


(ピキン! ガンガンガラガラ……。)



 オリバーの槍は無造作に投げ捨てられ壊れ、最早鉄屑と化してしまった。本来の持ち主から離れ、粗雑に扱われこのような結末を迎えたのは、哀れと言う他ない。一方、武器を捨てたゲイリーはまだ戦うつもりでいるようだ。徒手空拳でも私を倒せると思っているようだ。その底無しの自尊心には戦慄すら覚える。



「ああ! もう! 武器はないけど、適当に死んどけ! 突撃ぃ!!」


「スクリュウ・ガスト!!」


「げぼぁ!!??」



 まだ戦う気があるのなら相手をする他ない。武器がないと言えども、手加減をするつもりはない。闘志には闘志で応えるのが流儀。魔王軍の一味とあれば斬って捨てる他はないのだ。引き際を見極められなかった彼は私の技の一閃で敢えなく倒れる結果になった。

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