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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第403話 せやったら”消し炭”にならはりますか?


「この娘が俺と? 冗談じゃない。話にならんぞ。」


「そうっすよね? 兄貴もそう思いますよね? あっしも四天王の中では最弱~、なポジションだと思うんで! ただのしがない歌姫崩れっすから!」



 いや無理やろ。我がパーティーのエースが二人続けてやられてもうたんやから! そんなもん、お笑い芸人風情なワイに勝てるわけおまへんやん! ここはもうタイミング的に「ぶぶづけ食べはりますか?」とか言う段階やん? 怒るでしかし!



「何故いきなり、下衆なヨゴレキャラみたいなポジションに就こうとしておるのじゃ! そなた普段から”自分が主人公♪”的な風を吹かしておるというのに!」


「そんなん、姐さんの勘違いかもしれませんやん! ワイは脇役やと思うて日々生きてます。その辺の雑草の精神を忘れんように日々心がけて生きてますねん。」


「ふざけおって……。しかも、なんじゃそのコロコロ変わる口調・訛りは! ヨゴレの次はオークのコメディアン・キャラか!」


「んまーっ!? そんなことありませんことよ! ワタクシ、淑女の中の淑女ですので、争い事が嫌いなだけでしてよ! おほほのほ!」


「……。」



 ああ! ワラワ先生がなんか余計に険しい顔になった! 眉間のシワが2割増し、いや、3割増し、十割増しの深さになっている! 世界のあらゆるクレバス、海溝に匹敵するほどになってますよ? だめだ! これ以上深くなったら世界が真っ二つになってしまいそう! このままケンオウと戦って殉職するか、世界が割れるのどっちが先かみたいな展開になってしまいそうや!



「戦わぬと言うなら別に良いのじゃ。妾とて他の策も用意してあるからのう。」


「ほう? それは良いお考えで? して、どのような策をお考えなのか、お聞かせ願えますか?」


「その策とは……プロミネンス・バーストをフルパワーで炸裂させるのじゃ。」



 そういえば聞いたことがある! なんか、こう言うとファル様みたいで格好いいな? それはさておき、プロミネンス・バーストって爆熱魔法の最高位のヤツじゃなかったっけ? 使えば、なんか建物ごと吹き飛ばせるほど強いから建物とか狭いダンジョン内では絶対使用厳禁なヤツだと聞いたことがあるような?



「ハハ! それいいっすね! はやいとこ、それやっちゃいましょうよ、姐さん?」


「じゃが、これは妾でも使用を躊躇っておる。犠牲が多く発生するからのう。」


「戦いに犠牲は付き物です! さっさとやっちゃってください!」



 なんだよ、姐さんズルいっすわぁ! そんな高火力魔法使えるんならなんで今まで使ってくれなかったんすかぁ? そんなん出来るんだったら、タマネギ軍団もあっという間にこんがり飴色に仕上がるっすよ! スープとかシチューとかを作り放題っす!



「そうするとそなたも漏れなく消し炭と化すがのう? 下手をすれば炭すら残らぬかもしれん。」


「ご、ご冗談を……?」


「そなた、妾の本気の火力を知らぬのじゃな? 町の一つや二つ、丸ごと消し飛ばすことも可能なのじゃよ。ただやりすぎで余計なものを多く破壊してしまうから実行しないだけじゃ。」


「お、おほほ? 結構なお火力をお持ちのようで……。」



 消し炭……? いやいやそれはさすがに……って、消す単位で町一個とか平気で出てきてるところにガチ感を感じる! そんなん出来るんだったら、みんな仲良く火葬にされてしまうってことやん!



「さあ、どうする? そなたが戦うか、それとも仲良く消し炭になるか?」



 きゅ、究極の二択! ケンオウにフルボッコされるか、消し炭、しかも炭が残る保証無しの二つから選べと? それだったらケンオウさんにサッドバッグにされる方を選ぶんだぜ! 全身の痛みにのたうち回るか、痛みすら感じずに一瞬で終わるかの差である。でも炭すらなくなってしまったら、ねえ? 爪痕すら残せないやんって話になるので! 



「わあぁ!? 私が悪ぅございましたぁ! 戦います! 慎んでお引き受け致しましゅう!!」


「うむ。それでよし。妾の誠心誠意が伝わって良かったわい。」



 苦渋の決断の結果、痛みの伴う選択に舵を切った私であった。この後、九十の痛みを味わう結果になるとも知らずに! 輝かしい歌姫の怒涛の出世ロードの途上には血反吐を吐き散らかすような、苦難の道が確かに存在しているのだろう。後に伝説となって後世に語り継がれるに違いない!



「息抜きのコメディ劇場は終わったか? 俺と戦う事は決定したようだが、実際のところ、歌姫風情が戦力になるのか? せいぜいが応援団程度の働きしかできまい?」


「そなたは勘違いしておるようじゃが、コヤツの能力を甘く見ないほうが良いぞ?」


「勇者候補と言われているようだが、俺は懐疑的に見ている。戦闘に関しても素人の域を出ていない。」



 戦う決断をしたはいいけど、思いっきり相手に見くびられてるじゃん! 本当に私ってさあ、ガチ戦闘なんて、この前のアイリとの戦いが初めてだったようなもんだよ? ほぼ素人なんで見ただけでわかっちゃうんだろうな? 何千回と拳闘してた人にはまるわかりなんだよ!



「そう思うじゃろう? でも、先程の娘が見せた最高奥義、その完全版をこの娘が繰り出せるとしたら、話は違ってくるじゃろう?」


「何? 完全版だと?」



 え? 何、その無茶振り? いやいや、何がどうでも、そんなの無理に決まってるじゃない? 見よう見まねでリンシャンの技は再現できたけど、本物以上になるわけないじゃない? やっぱパチモノはモノホンを超えるのは無理な話なんすよ……。

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