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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第402話 噂の奥義とやらをこの目で確かめてやる!


(……シュン!!)



 分身二刀流の攻撃とはうって変わって、静かな踏み込みから繰り出される一撃。でも対照的に緊張感はこの技の方がスゴい! 張り詰めた空気感で相手を斬るみたいな迫力がある! これで斬れない物は何もないってくらいに……。



「噂の奥義とやらをこの目で確かめてやる。」



 最高の奥義を相手にするということもあって、ケンオウは全力で迎え撃とうとしていた! 防御とかではなく、これはカウンターで技を止めつつ反撃をするという意思表示だ! 向かってくるリンシャンを必殺ブローで迎撃する!



「はっ!!」


「ぬうっ!!」



 ケンオウの全力の右ストレートを左側に逸れる形でかわし、リンシャンはケンオウの死角から攻撃を加えようとした。このままならケンオウを斬れると思った矢先に今度は回し蹴りが飛んでくる! その蹴りに邪魔される形になり、技自体の入りは浅くなり、追撃を逃れるためにリンシャンは一旦、相手の側から飛び退く羽目になった。



「うーっ!? 惜しい!!」


「惜しい? 果たしてそうじゃろうか? あれではまるで……、」


「えっ? 何が? 何か今のがおかしかった?」


「違うのじゃよ。アヤツの技とは違う。これでは拳王には届かぬ。」



 技のやり取りを見ていたワラワ先生が妙なことを言い始めた。リンシャンの技が違う? そんなわけない。紛れもない最高奥義! 本物の技に違いないから、もう一度やればケンオウにも勝てるはず!



「あのままではあの小娘の方が負けてしまうぞ。」


「そんなこと言ったって、今さら止められるわけないじゃん!」



 こんなタイミングで止めろとか言われても止められるわけなかった。時既に遅く、リンシャンは再び技を繰り出すために相手に斬りかかったところだった。対するケンオウはさっきとは違って全く動こうとしていない。止まった状態でファイティングポーズだけとったまま立ち尽くしているのだ!



「今一度、光舞八刃!!」


「残念だが、その技は俺に通用しない!」



 ケンオウの上体を切り裂こうと剣が迫ったとき、刃が振るわれた先にはその体はなかった! ケンオウはブリッジ一歩手前の姿勢に移行して、奥義を避けていた! そして、間髪いれずリンシャンが追撃を入れようとしたとき……。



「ダッキング・アンド・ジョルト!!」


(ドボォッ!!!)


「うぐあっ!!??」



 リンシャンの腹部にケンオウの拳がめり込んでいた! 二撃目にはもろにカウンターを合わされる形になってしまった! リンシャンの小柄な体は容赦なく吹き飛び、壁に叩きつけられてしまい結果に!



「リンシャン!!!」


「残念だがこれで決着がついてしまったな。」



 急いでリンシャンの元へ駆け寄った。リンシャン自身も微かに体を動かしている。命に別状はないだろうけど、怪我をしてないか心配だ。あのケンオウの、鋼鉄の塊のような拳をまともに受けたんだ。ただで済むとは思えない。



「しっかり!」


「うう……私の技が通用しなかったアル……。」



 リンシャンは苦しげに自分のお腹を押さえている。少し服をめくって見たらアザが出来ていた。これだけで済んでいるとはいえ、これはかなり痛いはず。痕が残らないといいけど……。



「大丈夫だ。安心しな。その嬢ちゃんは最後の瞬間に微妙に間合いをずらして致命傷を避けた。」


「なんでそんなことがわかるの? 完全にリンシャンが負けてるじゃん! 手加減したんでしょ?」


「違うな。嬢ちゃんの名誉のために言っておくが、一歩間違えば死んでいたのは俺の方だ。だからこそ全力の一撃を放った。手加減はしてない。致命傷を避けたのは嬢ちゃんの実力だ。俺が勝ったとはいえ、ここまで俺とやりあえる相手は中々いるもんじゃない。」



 勝ったのにケンオウは申し訳なさそうな態度をとっている。こういう男の人なら、すぐに調子にのって偉そうに勝ち誇るんだけどな……。悲劇の中に出てくるケンオウのイメージと全然違う。この人は何か変わっている様な気がした。



「悔しいけど……私の負けアルね……。」


「リンシャン!!」



 リンシャンはそのまま気を失ってしまった。ケンオウなんか倒してくれると思っていたのに、その望みは叶わなかった。いや、私よりも本人の方がもっと悔しい思いをしているはず。最高の奥義さえ通じなかったんだから……。



「あとは二人だけだな。お前たちではもうどうしようもあるまい。」


「それはどうかのう? 妾とて本気を出せば……、」


「ムッ? 竜族の力を見せるというのか?」



 残り二人になったところで、ワラワ先生も身構えて戦う気になったかと思いきや、ふと思いとどまり何か考え事をし始めた。何かいい策でも思い付いた? だって魔法も使えるんだし何かいい方法があるのかも……?



「と、思うたが、妾はあくまで最終兵器扱いじゃ。まだ試してみなければならないことはある。この場を若者が乗り越えられねば将来も危ういからのう。」


「なんだ? 怖じ気づいたのか?」


「まだこやつがおるじゃろう? 先程も聞いたはずじゃ。こやつは次期勇者の有力候補なのじゃ。ここで打開して見せてこその勇者だろうて。」


「な、な、な!? 何を~!?」



 ええ? ここで私に戦わせんの? ロッヒー君もリンシャンまでもが負けちゃったんだよ? 私に勝てますかね? 見よう見まねの付け焼き刃戦法が通用する相手じゃないと思うのは気のせいじゃないよね……?

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