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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第388話 迷宮攻略師《ダンジョン・エクスプローラー》


「ガップリング・ザ・ボックス! 箱の中でせいぜい悔しがるのだな!」


「クッソ!!」


(ガパン!!)



 とうとうファルまで箱の中に閉じ込められてしまった。次はオッチャンの出番となる。実質、オッチャンに命運が託されているということになる。他にエル達もいるが、罠の専門家ではないので箱おじさんの問題を切り抜けるのは難しいだろう。


 プロの裏をかくような罠を仕掛けていたようなヤツなんだ。素人には初見殺し的な罠なんて朝飯前だろう。だって罠の存在自体が初見殺しの要素を持ってるんだから……。



「さあ、次は貴様の番だな? どうやらダンジョン攻略のプロを謳っているようだが、果たしてその名に相応しい実力を持っているのだろうな? 私が確かめてやろう!」


「ようもまあ、プロを舐め腐った真似しよってからに! ワシがプライドにかけて迷宮攻略師ダンジョン・エクスプローラーの真髄見せたるわ!!」



 オッチャンの闘志に火が着いた模様! あれだけプロをからかうような罠を見せつけられて黙っていられる訳がない。自分ではなくファルがそんな目に遭わされたとはいえ、横で見ていただけでもゆるせなくなってしまったのだろう。


 オッチャンは通称”ダンジョンの水先案内人”と呼ばれているが、職業の正式名称は迷宮攻略師ダンジョン・エクスプローラーである。俺がその名前を知ったのはつい最近のことだが。



「では早速、お手並み拝見といこうか? カモン、ボックス!!」


(ドンッ!!)



 またしても何の前触れもなく、箱おじさんの目の前に宝箱が現れた。今度はファルが挑んだ箱よりも若干小ぶりなサイズである。わざわざ違うデザインの箱にしている辺り、どんな罠が仕掛けられているのか分かりにくくするためなんだろうなというのがわかる。同じ箱だと重さの違いとか雰囲気で何となく傾向がばれてしまうだろうし。特にプロなオッチャンからしたらそうなんだろうなと思う。



(……スッ。)



 オッチャンは無言で箱にそっと触れた。しばらくは箱の感触を確かめた後、色んな角度から箱を観察し始めた。最初から鍵の解除に取りかかるのかと思いきや、見たり触ったりするだけで一向に開封作業に取りかかろうとしなかった。



「なんだ? 触ったり見たりしているだけじゃないか? さっさと解除に取りかかるのかと思いきや、慎重に進めるとは。プロというのは案外臆病なものなのだな?」


「そんなん当たり前や。大雑把にカッコつけるようなヤツは早死にすんねん。臆病且つ繊細に事を進めるヤツの方が長生きするような業界なんやで。」


「それにしては時間がかかりすぎだろう? 本来のダンジョンであれば、その間に魔物に襲われるのではないか?」


「鍵はピンシリンダー型、罠は毒ガス、罠のトリガー方式はドアスイッチ型……それで合うてるやろ?」



 ちょっと何言ってんのかわかんない! あまりにも専門用語過ぎて言葉の所々しか理解できない。オッチャンはちょっと触ったり、眺めただけで鍵と罠の種類とかその発動方式まで見切ってしまったようだ!経験が極まるとここまで出来るものなんだろうか? 


「なっ!? 見ただけで判別しただと!? ははん! そんなの口だけならなんとでも言える! 解除して開けない限りは正解したと見なさないぞ!」


「さよか。」



 スゴすぎる! とかなんとか思ってるうちに、オッチャンは箱の鍵を開け、罠の解除をした上で箱を開けることに成功したようだ! この間、10秒足らずである! 見ただけで全て見切ったどころか、箱の解放まで一瞬で終えてしまった! 神業過ぎる!


「これでどうや?」


「は!? は!? そ、そんなバカな!? こんな一瞬で私の仕掛けた罠が簡単に攻略されるなんて……!?」


「舐めとったらアカンで。ワシを本気にさせたらこんなもん朝飯前や。」



 さすがに箱おじさんも一瞬で罠を外された事に動揺しているみたいだ。こんなん、俺が見てもビックリだ。誰が見ても驚くだろう。プロを本気にさせたらこうなるという事例を目の当たりにするとこんなにシビれるものだとは! そこにシビれる、憧れるぅ!



「むうう! これはあくまで貴様のくじ運が良かっただけなのだ! たまたま分かりやすいパターンを引き当ててしまったに過ぎん! 次! 次いくぞ!!」


(ズドン!!)



 箱おじさんは早くも三つ目の箱を出してきた。動揺しまくっているが、さっきのはあくまで偶然が味方したものだと思い込み、精神の安定を図ろうとしてる。現にまだ二つ目までしか出ていないので、まだまだ問題として用意した箱が数多くあるのだろう。



「どれ、次も一瞬で終わらしたるわ。」



 次には入っても、オッチャンのスタンスは変わらない。目で見て手で触って判別し、全てを言い当てた上で次々と箱を開けていった。時には魔法方式の鍵や罠が仕掛けられていたため、専用の解除アイテムを駆使しながら攻略していた。


 機械式の鍵や罠であってもそれぞれの方式に合わせた解除用治具を使ったりして難なく解除している。っtだの冒険者にはここまでの道具を取り揃えている人は一体どれだけいるんだろうか? 迷宮攻略師ダンジョン・エクスプローラーって業種は結構人口が少ないそうなので貴重な人材なのだそうだ。



「どや? かれこれ10個くらい開けたけど、まだ負けを認めへんつもりかいな? そろそろ年貢の納め時なんちゃうか?」


「ぐぬう! ふぬうぅ! 悔しい! でもまだ認めない! まだ切り札の最終問題があるもんね! 次のは難しいぞ? 例え貴様でも解けるとは思えないヤツを用意してあるのだ!」



 10個くらい攻略しても負けを認めないなんてズルくない? こっちは一回ミスっただけで不合格扱いなのにね? 俺なんて問題に挑戦してないのに強制的に閉じ込められちゃったんだよ? この期に及んでまだ切り札なんて残しているらしい。往生際が悪すぎ……。

 

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