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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第387話 渾身のオリジナル創作罠だ!


「うーむ。罠探知(スキャニング)の魔術では何も検出できない。鍵も魔術で施されていない。とすれば魔術系の罠ではないな。」



 箱おじさんの出題にファルが一番手として挑戦することになった。早速、罠探知の魔法を使ったようだが何の反応もなかったようだ。これで少なくとも魔法を用いた罠ではないことが判定できるみたいだな。


 俺自身が判定するときはとりあえずぶっ叩くだけだろうな。機械式の罠ならそれで誤作動してやり過ごすことも出来るし、ミミックならそれでブチキレて襲いかかってくるだろうからな。でも爆弾罠だったら中身のお宝まで木っ端微塵だけどな!



「厄介だな。この俺が機械式の罠に挑戦する羽目になるとは……。まさか相手を見て苦手そうな罠の箱を出してきたんじゃないだろうな?」


「とんでもない! 私がそんなアンフェアな方法を使うとでも思っているのか! これはゲームだ! これは競技、試合とも言うべきものだ! 公平に行わなければ勝負として成り立つ訳なかろうが!」


「ホンマかいな? 言うだけやったらなんとでもなるわな。」


「見くびるなよ! キチンとルーレット方式でいくつか用意した箱の中からランダムで選定したのだ! 言いがかりはよしてもらおう!」


「その証拠がないから疑ってんだけどな?」


「うるさい! これ以上文句を言ったら、強制的に罠を発動させるぞ!」


「ホンマ、難儀なオッサンやで……。」



 色々と疑わしいが確かめようがないので判定はどこまで行ってもグレーな判定になってしまう。いくつか用意した中からルーレットで選定……ってどんな仕組みになっているのだろう?


 ああそういえば、宝箱の罠のなかにもランダム選定方式、開けるまで何が出るかわからないヤツもあるそうだ。それと似たような感じ? でもアレは明らかに仕込まれてる魔力量であっさりと判定できるらしいな? ランダム生成の魔術ってそれなりに魔力がいるらしいから。本末転倒としか言いようがない。



「……よし! 鍵明けには成功した。割と易し目に設定してあるんだな。」


「フフ、別に全ての難易度を高くしている訳ではない。大抵の問題は一定の部分だけ難易度を高くしているのだ! その箱は鍵が楽だったということは……後はわかるな?」


「開けるときの罠が厄介なんだな?」



 そう言うからには最後の関門が難しくなっているのだろう。ファルは罠を作動させないよう慎重に箱の様子を確認している。鍵のついている部分、蓋のヒンジの部分を確認して罠の発動トリガーが存在していないかどうかを念入りに見ている。



「おかしい。罠の仕掛けに関係するものはなにも付いていない。罠が仕掛けられていないのか?」


「さあ、どうだろうな? 開けてのお楽しみということだ。」



 調べても何も見つからなかったようだ。見ただけでは罠が存在していない様に見えるのだろう。でも何かおかしい。一発目の問題だからと言ってそんな易しい内容にするだろうか? ランダムで決まっていると言っているのだから何らかの罠が用意されているはず。ファルはとにかく開けてみるという選択を選んだようだ。慎重に少しずつ蓋を持ち上げていく。



「むっ!? なんだこれは? 赤い紐と青い紐が蓋から中身に繋がっている? コレを切らないと箱が完全に開けられないのか?」


「赤と青のコードの罠を引いたか! それはどちらかを切らなければ、完全に蓋を開けようとした時点で罠が発動してしまう様になっている。もちろん両方切るなどということを考えるなよ? そんなことをすれば罠はもれなく発動する!」


「聞いたことのない罠だな? 一見罠がないように見せかけてこんな罠を仕込みやがって。」


「当然だ! 私渾身のオリジナル創作罠だ! 面白いだろう! 下手な解析など出来ないようにして、解除は完全に運任せの罠として考案したのだ! 熟練者でも顔を真っ青にさせる為の渾身の策よ!」


「経験と勘を使わせへんつもりなんかいな。難儀な罠考えよってからに……。」



 創作罠て……。シェフ自慢の気まぐれ創作料理みたいなノリで罠を作りやがって! 二本の紐が罠発動に関わっているのはわかるが調べようとすると罠が発動するという悪辣さ!


 解除するときに必要なのは持ち前の強運だけ……。テクニックとか経験とかガン無視の玄人殺しの罠というわけか! チクショウ、俺が動ければ俺が解除してやるのに! 額冠の力を使えば簡単に乗り越えられる罠なんだけどなぁ……。



「フフフ! どうだ厄介だろう? 罠解除に慣れた者ほど窮地に陥る罠として考えたのだ! プロほど運頼みを嫌う傾向にあるのはわかっていたから、其奴らの悔しがる顔を見たかったのだよ!」


「ケッ! まだ解除に失敗した訳じゃないってのに……。仕方ない、俺は青色の紐を切るぜ。」



 青色? 待てファル! それは間違いだ! 俺の勘がそう言っている! 赤色の紐が罠に繋がっているんだ! これだけ叫ぼうと、俺の声は外側には聞こえない! 俺だったら何事もなく解除できる罠だったのに!



「紐は切った。じゃあ、箱を開けるぞ!」


(ガパッ! ビーッ!!! ビーッ!!!)


「残念!! 不正解だ! 貴様は罠解除に失敗したのだ! ペナルティとして勇者と同じく箱の中でおとなしくしておいてもらおう!!」



 やっぱり俺の勘は当たっていた! 無情にも罠発動を知らせる警告音が周囲に鳴り響いた。何か危害を加える罠ではなかったようだが、箱おじさんの問題には不正解だったということになる。これはある意味、俺が箱に閉じ込められた時点で敗けが確定していたのかもしれない。後はもうゲンコツのオッチャンに全ての命運が託されることになってしまった……。

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