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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
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第382話 狂戦士の兜


「お前の強さは半端ないのはわかった。このチャンスは逃さずに強気に攻めさせてもらうぜ!」


「今さら兜なんて使ってどうなるんだ? オレの攻撃はそんな防具じゃ防ぎきれないよ!」



 俺のとっておきというのはこの兜だ。一見すると猛牛を思わせる角飾りが側面に付いただけの兜でしかない。でもこれは本来の兜として使うだけでなく、とある勢力の伝説の武具を参考に作られた逸品だ。この兜の機能を使えば魔王にすら肉薄できる力を手にすることが出来るのだ!



「これは普通の兜じゃないのさ。事情通に加えて、教団の裏事情を知っているんなら何となく検討は付く筈だぜ。」


「兜……? 思い当たる物なんてないな。教団と言えばテンプル騎士団の秘密兵器くらいしか思い付かないんだが?」


「そう、その”秘密兵器”ってヤツよ! ”天翼騎士の鎧フリューゲル・アーマー”の機能を分析して再現したものだ!」


(ガポッ! ガシャン!!)



 俺は兜を勢い良く被り、そのフェイスガードを下ろす。フェイスガードは一見、視界が塞がっているようにも見えるが、遮光器(サングラス)のように視覚情報を兜の機能によって再構築し、認識能力を高める効果を持っている。同時にこの兜の機能をONにする役目を果たしている。



「これが処刑隊の秘密兵器”狂戦士の兜(バーサーク・ヘルム)だ! これを使うからにはお前も只では済まんぞ? 対魔王用に開発された決戦用装備だからな!!」


「狂戦士? 大袈裟な名前を付けたもんだ。兜だけで”天翼騎士の鎧フリューゲル・アーマー”の能力を再現できるはずがない!」



 あの伝説の武具は教団上層部にいる者なら実在している事を皆知っている。あれは防具として破格の性能を持っているだけでなく、飛行能力を与え、尋常ならざる身体能力を与える物として知られている。だがそれはあくまで表面上の能力にしか過ぎない。その真価は着用者に超人的な認識能力を与える所にあるのだ!



「実際にその体で強さを体感してみな!」



 地面に落ちた断頭鋏を俊足で拾い上げ、その勢いで相手を攻撃する。先ずは初手で袈裟懸けに斬りつける。これは避けられたが、手で受け止めなかったところを見るに、本能的に危険を察知して逃げたのだと考えられる。今度は横凪の一撃をくれてやった!



(バシィッ!!)


「クッ! 兜を被ったくらいで腕力が強くなっている!?」


「だから言ったろう? あの天翼騎士の鎧フリューゲル・アーマーの能力を再現することに成功したと! 確かに防御力や飛行能力がない分、機能的には劣るが戦闘に使う分なら大した問題じゃないのさ!」



 相手は無事な方の左腕で防いだものの、断頭鋏の刃が半ばまで食い込んでいる。血が滲んだだけでなく、骨にまで刃が達している事は確実だった。相手が増強した筋力を持ってしても防ぎきれないほどの威力になっているのだ。



「これだけで終わると思うなよ? まだまだ序の口! これからもっと攻撃は激しくなるぜぇ!!」


(バギャッ!!)


「ぐうぁ!?」



 腕に食い込んだ断頭鋏をそのまま力尽くで振り抜き、左腕を切断した。その勢いで次々と連撃を加え、相手をズタズタにしていく。相手だって、そのまま成すがままに攻撃を受けている訳じゃない。急所への狙いを僅かに逸らし、ダメージを最小限に食い止めているのだ。満身創痍でも回避能力は全く衰えていないと見える。



「このまま一気に決めさせてもらう! 今一度食らえ! 断頭台スペシャルNo.3、胸裂切開刃(チェスト・ブレイカー)!!!!」


(ゴシャァァァッ!!!!!!!!)


「うぐぅああぁっ!!!!!!!!」



 俺の断頭鋏は容赦なく相手の胸を貫いた! 巨大な刃が胸骨と背骨を破壊しつつ背中まで貫通しているのが見える。貫通している過程で心臓…デーモン・コアを破壊しているに違いない。これは勝った! 俺は魔王の討伐を達成したのだ!



「犬の魔王、撃ち取ったりぃ!!」


「ああっ!? 団長さん!?」


「タンブルーっ!?」



 俺が勝ちどきを上げたのを聞いて、ヤツの仲間達が悲鳴を上げている。リーダーがやられたのだ。これはチームとしての崩壊すら意味している。特に魔王一強のチームならそれはもう戦力として機能しなくなると言ってもいいだろう。他の連中はどういうわけか魔族化していないようだしな。俺たち不可視の鎌インビジブル・シックルズの敵ではない。



「悪ぃな。お前らのリーダーは殺らせてもらった。魔王を倒したからには、お前らなんか只のコボルトごときには用はない。逃げるってんなら見逃してやってもいいぜ。」


「ふざけたことを言いやがって! オレらがそんなことで引き下がるとでも思ってるのかよ!」


「痩せ我慢はよせ。アイツを倒したってことは、これが何を意味しているかくらいはわかるだろう?」



 魔王を倒せるだけの力はある。それは魔王以上の力を持っているという他考えられない。魔王の眷族でもなく、魔族としての力さえ持ってないのなら、これから先は一方的な処刑タイムになるだけだ。そんなのはつまらない。俺らの仕事が魔族やそれに与する者の排除にあるのだとしても、作業めいた戦いなんぞしたくはない。



「漁夫の利にならなかったか? まあ、いいや。多少は消耗してるでしょ? だったら俺っち達の処刑タイムがはーじまーるーよー!!」



 どこからともなく場違いな台詞が聞こえてきた。見てみると玉ねぎみてぇな髪型の男達がぞろぞろと涌いて出てきた。これは確か羊の魔王の尖兵、オニオンズとかいう連中に違いない。俺たちを争わせ、互いに消耗したところを一網打尽にするつもりだな? そんなやつらは返り討ちにしてやる!

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