表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
361/404

第361話 教団の禁忌事項


「キョウショ・クロス、今はオプティマ・マッドと名乗っていたはずだな? その男に聞いてみれば良い。デーモン・コアを使用した鎧は彼が初めて発明したと言えるが、残念ながら唯一無二のアイデアではなかったのだ。」


「どういう意味だ? 説明しろ、オプティマ!」


「ぐムむ! くやシいデすが、間違いでハないデすヨ。」



 デーモン・アーマーが模倣品であると言うならば、そのオリジナルがこの世に存在しているということになる。この男の話が正しければ、似た概念の装備を参考にオプティマが製造したのだと言える。デーモン・コアの類似品……? まさか、フェルディナンドが所持していたというスカーレット・コアと関係があるのか?



「その男はどこかしらでこの鎧のオリジナル品について知ったのだろう。この事実を知ったものは十中八九、この世から存在を消される。とある勢力の機密事項(トップ・シークレット)に当たる事項だからだ。」


「なるほど。こんなヤバイ装備を扱っている勢力が他にいたなんてな。バレたら、教団に抹殺、処刑されるかもしれないな。」


「ハハハ。当然、誰もがそう思うだろう。でもそうならないのにはれっきとした理由が存在する。」



 コアの存在が教団に忌み嫌われているのは、この世界に住む人間なら誰しもが知っている事実だ。コアは魔王の心臓部、魔王の存在そのものだと言っていい。魔王を討伐しコアを破壊したとしても、それは長い年月をかけていずれは復活する。


 有史以来、人類は魔族と何度も戦い続けていたが、完全に撃滅するに至っていない。魔王は事実上、不死身の存在だったからである。コアを破壊する方法が今まで存在していなかったからこそ、因縁は未だに続いているのだ。



「その理由は何か? それは鎧を教団が所有しているからだ。」


「なんだと!?」


「ええっ!? 嘘でしょ!? 教団がそんな物所有してるなんて信じられないよ!」


「あら、あなた達、知らなかったの? そんなのは古代から使われているわ。まあ、人間が知っていたら存在を抹消されるんでしょうけど。」



 あるべきではない所に鎧が存在している! 邪竜やオプティマはこの事実を知っていたようだ。邪竜の口ぶりからすれば、はるか昔からその力を使っていたのだろう。何らかの形でコアを所有していたという話にもつながってくる。



「歴史の影で禁断の装備、いや、兵器と言ってもいいだろう。事ある事に重要な節目でひっそりと使用されていたのだ。事実は伏せ、その使用者を英雄的な功績として讃え、隠蔽していたのだ。」



 デーモン・コアのみならず、魔族に関する事は全て排除、粛清対象としている奴らがそんな物を所有しているだと? もし本当なら許されざる真実だ! 自らが所有していながら、排斥運動をしているなど許容できるはずがない! その被害者である、オレはなおさら許すことは出来ない!



「残念ながら,これは事実だ。私がその証人だからな。与えられて間もない鎧を使いこなせているのはそこにある。」


「お前は生前、教団の鎧を使っていたと言うのか?」


「その通り。真の使い方を知らぬお前よりも、それを熟知した私の方が強いのはそこに差があるからだ。」



 この男はかつて教団に所属する騎士だったのだろう。しかも騎士団側ではなく教団側ということは法王庁所属のテンプル騎士団である可能性が高い。異端審問会と並んで、俺が目の敵にしている勢力の一つだ。



「お前はテンプル騎士だったのか? 今までの話から考えるとそれ以外はありえない。」


「ある意味では正解だ。だが、それは表向きの所属の上での話だ。」


「裏の肩書きがあるとでも?」



 テンプル騎士団はある意味秘密結社的な組織でもある。表向きは法王直属の親衛隊で聖都の守護に当たっているとされるが、密偵などのスパイを各地に放っているという噂がある。


 クルセイダーズ側の騎士を装っていたり、時には魔術師、聖職者、商売人を騙って街中に潜伏し、人々の同行を監視しているとも言われている。コアを使用した鎧をそいつらが所有しているのだとすれば、世の中をひっくり返すほどの一大スキャンダルになりうる。



「お前は天翼騎士(セラフ・ナイト)の噂を聞いたことがあるか? 天使の伝説でもいい。天の御使いがこの世に現れ、悪を滅すると言う伝説を?」


「聖職者の説法とかおとぎ話に出てくる程度の話なら知っているとも。だが、そんなのはあくまで作り話。天使なんてモノはこの世に存在するはずがない!」


「普通はそう考えるだろう。しかし、お前はこうも考えているはずだ。デーモン・アーマーの力を行使すれば、伝説の中での逸話も全て可能になるのでは、と。」



 天使の話は荒唐無稽な話ばかりだ。堕落しきった歓楽街を一夜にして灰にした話や、魔族に襲撃され、危機に瀕した村を天から舞い降りた天使が救った話などは数多くある。


 中には聖人の前に現れ啓示や、この世の命運を告げる予言を告げたりといった話まである。おとぎ話で済まされている話もあるが、中には実話として聖職者が説法として広めている物もある。こんなのはあくまで教団のプロパガンダに過ぎないと思っている。



「バカを言え! そんなものはまやかしに過ぎないんだ! 天使なんているものか!」


「実在するんだよ。真実を隠し通しているからこそ、世の中で伝説が語り継がれているのだ。お前の目の前にいる私は元は天翼騎士(セラフ・ナイト)だったのだよ。」



 目の前の男は自らを元天使だと名乗っている。ありえない。名乗るだけなら誰にだって出来る。教団に因縁のあるオレを心理的に揺さぶりたいだけとしか思えない。こんな詐欺師は早い内に斬って捨てるのに限る!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ