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第36話 こうなったら、アレを使うしか無い!


「あなたは何故ここに?」



 突然現れた男性、アラムさんに質問を投げかける。本人は私達の助太刀に現れたと言っているけれど、色々と不自然な所がある。本当に信じていいのかわからない。



「私はあなた方の支援をするよう学長から依頼されたのです。」


「学長から……? その様な話は全くなかったんですけど……?」


「敵を欺くにはまず味方からとも言いますでしょう? 万が一のために、敵方の罠等を考慮して秘密裏に協力させて頂くことになったのですよ。」



 事実、かなり早い段階から敵に罠を仕掛けられていた。ローラは捕らえられ、彼女に化けたアンネ先生がスパイとして紛れ込んでいた。おかげで敵の代わりに迷宮の封印を解かないといけなくなった。そういう意味では学長の策は正しかったと思う。でも……、



「あなたがここに現れたとすれば、D・L・Cも黙っていないはずでは?」


「彼らは今、あなた方に注意を向ける事が出来ない状態にあります。その混乱に乗じて事態を好転させようと考えたのです。」



 管制室の様子がおかしくなったのは間違いないと思う。でもそれは私達だからわかること。しばらく前から、彼らの指令が途絶えたので、私達はそう判断しただけ。なのにこの人はどうやってそれを知り得たのだろう? あの声は私達にしか届かないはず……?



「管制室に異常があったことをあなたは何故知っているんですか?」


「ああ、その件ですか。実はフォグナー殿から非常事態を知らせる簡易メッセージを受信したのですよ。」


「簡易メッセージ? 私達にはそういう連絡はなかったのですが……?」


「傍受の危険があったため秘密裏に私のみに送られるようになっていました。……この魔道器を使ってね。」



 アラムさんは小さな魔晶石が取り付けられた器具を取り出した。正直、これだけでは本当なのかはわからない。



「最小限の魔力を使ってこの魔晶石を光らせるわけです。これの光る色によって判断します。その色が赤色だったわけですよ。」


「その色の意味する所は?」


「非常事態、それも大変危機的な状況に置かれている事を意味します。」


「やはり何かあったんでしょうか……?」


「おそらくね。こうなった時の事を考えて非常時の手段をあらかじめ取り決めてあったのです。」



 そのためにアラムさんは私達と合流したという事ね。私達の身に何かあった時、D・L・Cが目的に辿り着いた時、そういう時は彼らの企みを防止する最終手段があるということなのかもしれない。



「その手段とは……デーモンの封印へのアクセスを出来ないようにすること。即ち、この迷宮その物を崩してしまうのです。」


「ええ~~っ!? ダンジョン壊しちゃうの?壊したら中の奴出てくるんじゃない?」



 思わずミヤコちゃんが大声を出した。とはいえ私も含めて他の二人も同様の感想を持っているのは間違いなかった。みんな唖然とした表情をしてる。



「それくらいでは封印自体に影響は出ないのですよ。その程度で封印が解けるのであれば、地震などの災害でも同様の被害は出ますからね。あれはかなり強固な封印なのですよ。」


「なんか、原理とか理屈とかが良くわかんない! わかりやすく説明してよ! ゴーの人!」


「うーむ……なんというか別の次元へ追放している訳ですよ。そういうものです。入り口の座標にさえたどり着ければ封印は解除できるのです。ですから、この手段も只の時間稼ぎにしかならないんですよ。」


「なにそれ!? 余計にわからないよ!」



 難しいけれど、物理的に閉じ込めているのではなく、魔術的に異空間に追いやっているという事みたいね。確かに入り口(ゲート)を崩して塞いでしまえば掘り起こさない限りは封印を解くことが出来ない。つまり、その間にクルセイダーズ等の援軍は到着する、という事になる。



「でも、ダンジョンを崩す手段はあるのですか? それを倒壊させるなんて、災害でも発生させない限りは不可能ではないですか?」



 グランツァ君の言うとおり、建造物ならともかくここは地中深くの穴の中。爆裂系魔術なら部分的に崩落させることは出来ても……全体を、となると難しいと思う。



「あるんですよ。この迷宮には。古代の魔術師達が万が一に備えて崩落させる手段を仕組んでいたのですよ。」


「それはどうすれば……?」


「“真の”最深部に用意されているんです。地下100階にね。」


「地下……100階ーっ!?」


 驚くべき事実が発覚した! 地下10階まで存在していると聞いていたのに、更に深い階層が存在していたなんて……。

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