表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
354/405

第354話 先代の風刃の魔術師


「そら、行くよ、お嬢ちゃん!!」


(ガギぃ!!)



 有無を言わさず突然始まった戦い。未知の強敵とも言える相手と戦わないといけなくなった。彼女は弟子のファルさんの様に風の魔力を体に纏わせながら、同じく風の魔力を凝縮して作った剣を手にしている。形もよく似ている。



「なかなかやるじゃないか? 武術の経験が今までなかったと言う割にはよくやる!」


「楽して取得したわけではありません! キチンと先生の指導の上で学んだことです。先生がいなかったら今の私の様に武術を身に着けられなかったんです!」


「それにしたって、誰もがそんな風になれるわけじゃないのさ。アンタのカレシがそうだったみたいにね。」


「彼のことを悪く言うのは止めて下さい!」


「ハハ! でも、アタイはもっとアンタに本気を出してもらいたいから、そういうことを言うのさ!」



 最初の攻撃は何の変哲もない剣撃だったけれど、一度離れてから、多種多様な攻撃を織り交ぜてきた。風の魔術を放ってから剣で攻撃してきたり、逆に剣で攻撃してきたと思えば、至近距離で突風の魔術で吹き飛ばそうとしてきたりした。ファルさん以上に魔術と剣術のバリエーションが豊富で常に相手を幻惑するかのような攻撃ばかりだった。



「よくついてこれるもんだね。やっぱりあの男の血を引いているだけのことはあるよ! コレはアンタの母親の血筋だけじゃなし得なかったことさね!」


「私の父をどれだけ知っていると言うんですか?」


「はっは、アタイの後輩みたいなモンだったから、剣の稽古にはよく付き合ってやったもんさ! アイツの魔術と剣技の折衷戦法を手引してやったのはアタイだよ。要は勇者の底力を作ってやったとも言えるだろうね!」



 ファルさんだけではなく、私の父にも戦い方を指南していたなんて! 確かにこの人はエルフ族だから人間族に比べると寿命が長くて、年齢の割には見た目も若々しい。それだけに長い期間、クルセイダーズで”六光の騎士”としての地位についていたと聞いた。歴史上でも屈指の魔法剣士だったことは紛れもない事実だったのがよくわかる。



「でも、まだまだアンタはアタイの弟子と比べても経験が少ないね。」


(ドガッ!!!)


「ふうっ!?」



 剣技、魔術と来て、今度は格闘術! 不意に鋭い回し蹴りが繰り出され、お腹へまともに受けてしまった! 一瞬息が止まりそうになるほどの衝撃で、私はなすすべなく壁に叩きつけられてしまった。



「よくも、私の弟子を!!」


「おやおや、次はアンタがお相手かい?」



 私が倒れた所を見て黙っていられなくなったレンファ先生がフェリスさんに立ち向かっていく! 今まではフェリスさんに殺気を感じなかったから、先生も見守ってくれていたんだと思う。でも、私では到底敵わない相手と見て、手を出す決意をしたみたい。こうも情けない事になってしまったことを反省しないといけない。



「今の勇者と同門で、身内なんだって? お互い、勇者パーティーの保護者として交流を楽しもうじゃないか!」


「相当な腕前のようだな! 私の弟子を子供扱いするだけのことはある!」



 先生の鋭い槍捌きがフェリスさんの体を捉えようと矢継ぎ早に繰り出される。どの一撃も当たれば致命傷を負いかねない様な精度なのに、相手は物ともせずに的確に攻撃を逸らしている! その動きは私を相手にしていた時よりも更に俊敏さを増していた!



「フフ! アンタほどの槍使いは中々いないよ。アンタらのような師弟に出会えて嬉しくなってきたよ! しかもアタイと同じ女だってのが、余計にね!」


「それはお楽しみなようで良いことだ! 私も他流派でここまでやりあえる人物には出会ったことがない!」



 フェリスさんの動きは風の魔術を応用しているためか、通常の運動能力では実現できない動きも可能になっている。普通なら方向転換の時に隙きが生じる所を風魔術でありえない方向に動いたりしている。その技術を使ってフェイントの様な芸当をしてくるから、防御の反応が追いつかないことがある。


 さっきの蹴り技もそうだった。武術だけの動きに目が慣れていると却って、不意を疲れてしまう形になりかねない。そういう意味では彼女の戦い方はとても恐ろしいとしか言いようがなかった。そのせいで先生ですら動きを捉えることが出来ていないようだった。



「五覇奥義、”絶影百歩”!!」


「なっ!? 動きが早くなった!?」



 変幻自在の動きに対応するには、更に速い動きで相手を翻弄する……それが先生の導き出した答えだった。残像が残るほどの俊足の動きで相手を捉えようとする! フェリスさんも流石に攻撃を躱しきれなくなったようで、剣で受け止める動作を多用するようになった。それでも攻撃を防御されるので、見ていて歯がゆさを感じた。先生の全力の動きですら通じないなんて……。



「魔術なしの体術だけでここまで速く動けるなんて大したもんだよ! これじゃ、アタイも本気を出さざるを得ないじゃないか!!」



 フェリスさんは周囲に突風を放つ魔術で先生を無理やり間合いから離して構えを取った。その体からは濃厚な風属性の魔力を発生させている! これじゃまるで風の精霊そのものだわ!



「アタイの取って置きを見せてやるよ! 風刃舞踏斬ダンツァ・ティフォーネ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ