表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第2幕 K'(ケー・ダッシュ)
349/408

第349話 K’の挑戦状


「俺らに挑戦する? たった一人でか?」


「流石に私一人では君たち全員を相手にするのは不可能だ。そこまで自信過剰じゃないよ。」



 カレルは俺一人にではなく、パーティーに挑戦すると言った。他に仲間、というか彼にもパーティーメンバーがいるというのか? 本人もそれを匂わすような発言をしている。俺以外の全員を動けなくするほどの実力者なのだ。複数いると考えたほうがいいと思った。



「カレルが連れてきた仲間もとんでもないんだ。俺達では手も足も出なかった。情けないことにな!」


「自分をそう卑下するもんじゃないぞ、ファル君。少なくとも彼女は君のことを褒めていた。」


「クッ!? それが一番悔しんだよ!」



 カレルの仲間とは一体……? ファルが打ちのめされる程の実力者とは何者なのか? その正体はカレルと同じく”複製人間(クローン)なのかもしれない。だとすれば故人、かつての英雄なのかもしれない。



「アンタの仲間って……?」


「私の口から語るよりも、ファル君やエレオノーラ君に聞いた方がいい。彼らのほうが余程詳しいはずだから。それでは失礼させて頂くとするよ。」


「お、おい!!」



 カレルは転移魔法でこの場から消え去った。彼の仲間の詳細がわからないままになってしまった。ファルやエルの方が詳しい? もしかしてカレルのような恩人だったり、身内だったりしたのだろうか?



「な、なあ? カレルの仲間って誰なんだよ?」


「……。」


「あのさ? ファル?」


「俺にとっては最悪の敵だったんだ……。カレルと同じくらい、いや、それ以上のな。」



 ファルはしばらく沈黙してから、意を決した様にカレルの仲間の詳細を語り始めた。何者かを簡潔に語った上で、俺が戻ってくるまでの間に何が起きたのかを話し始めた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「罠だとはわかっちゃいたが、こうも出し抜かれるとはな。(ハリス)と|蛇

《シャロット》が手を組んでいるとは! 想定外だぜ!」


「普段は結託の”け”の字もない奴らやのにな。ケッタクソ悪いわ! 難儀な問題になってきよったで!」


「私はロアが心配です。彼一人だけで魔王の罠に対抗できるんでしょうか?」



 ロアの奴が突然消失し、パーティーメンバーに不安と怒りの感情が錯交していた。幻陽の賢者の話によると同様に消失した人員がいるらしく、こちらはむしろ他のパーティー程、被害は多くないようだ。彼女のパーティーでは半数の人間がいなくなったのだという。



「大丈夫だよ、エルちゃん。勇者さんならきっと大丈夫。」


「あの子は決して負けない。今のあの子は勇者なのだから。」


「そ、そうよね。彼は勇者だものね。彼はそう簡単に負けないわよね……。」



 メイとレンファがエレオノーラを励ます。中でもヤツの伴侶であるエレオノーラのショックは大きい。彼女にとってアイツは大きな存在であるから、心の動揺はどうやったって起きる。相手方はその心理をうまく利用しているのだろう。ロアの奴を徹底的に陥れる狙いもあるのだろうが。



「私も同意したいな。そうであってもらわないと困る。」


「……だ、誰ですか?」


「お、お前、まさかカレル!?」


「カレルだと? ということはつまり……、」


「何やねん!? 冗談にも程があるでぇ!?」



 エレオノーラやレンファは知らないだろう。メイは出身地が同じだから顔くらいは知っているかもしれない。俺とゲンコツのオッサンはこの男に面識がある! だが死んだはずの男が何故ここにいる? 化けて出たのか? アンデッドにされたのか? だが特有の闇のオーラは漂っていいない。瓜二つの偽物の可能性もある。



「やあ、ファル君、それにゲンコツさん。久しぶりだね。あなた方の知っての通り、カレルだよ。先代の勇者のね。」


「先代……!? あなたがあの? ロアに勇者の額冠を託したっていう……?」


「口だけではなんとでも言える! アイツは死んだ! 俺とジュリアが弔い埋葬したから間違いはない! どうせ姿形を繕った偽物だろうよ!」


「まあ、そう思われるのも仕方無い。だったら試してみるかい?」



 カレルを名乗る男は剣を抜き構えを取った。剣を逆手に持ち後ろへ振りかぶり前傾姿勢を取る。これは勇者の技、シャイニング・イレイザーに違いなかった! だが形だけならマネは可能だ。闇の力を利用したコピー技を使いこなす小僧(エピオン)もいる。



「わかるね? 見ての通り、シャイニング・イレイザーだ!!」


「くっ!?」



 偽物は遠慮なしに技を繰り出してきた! 避ける事は出来たとしても、メイは対処できない可能性がある。俺はとっさに風斬り羽ウェービング・フェザーを錬成し、同様の技で相殺を試みる!


「シャイニング・イレイザー!!」


「なんと!? 君も習得したというのか!?」


(バシュウゥゥゥゥゥゥン!!!!!!!!!)



 互いに放った光の斬撃が炸裂し激しい明滅を建物内に照射した! 双方の技の威力は互角で相殺しあい、光も次第に小さくなっていった。間違いなく勇者の技だ。少なくとも相手はアンデッドの類ではない。この一連の流れは事実を証明するに足りた。



「どうかな? これで信じてもらえたかな?」


「まだだ。技の再現程度なら素質があれば誰だって出来る!」


「勇者の素質がないとね? やっぱり君も素質があったんだな。思っていたとおりだ。」


「そうさね。アタイもよくやったと思うよ。あのハナタレ小僧がよくここまで成長したもんだ!」



 偽カレルの後ろから、偉そうな口ぶりの女が現れた。長い金髪に特有の尖った耳、魔術師のローブを独自のセンスで切り詰め、動きを妨げないようにした服装を着こなしている! その特異な見た目は忘れることがない。俺のよく知る、あの女に違いなかった!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ