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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第344話 お亡くなりになってるはずなのに、よく喋りますね?


「決まったな、コレは! まさか、鬼の技を使いやがるとは!!」



 格闘の技、その中でも純粋に破壊力があり、一撃必殺級の威力があるものとしてとっさに頭に浮かんだのはこの技だった。この技は鬼が”羅刹剛体術”を駆使して繰り出しているため、常人には再現不可能なものだ。


 その不足分の膂力を補うためにどうすればいいか? その問題を解決できるのは自分の義手しかないと思った。”爆拳鉄砕”を利用すれば、鬼に匹敵する圧倒的な拳圧を繰り出せると思ったのだ。



「し、知らないわ、こんな技! ただ殴るだけの技ごときで吹き飛ばされるなんて……。」



 魔王はこの技を知らないと言う。自身が集めた情報だけを過信し、たった一戦見逃したおかげで大敗を喫する結果となった。見様見真似とはいえ、その身で受け、その威力を心底味わったからこそ再現できたとも言える。あの経験が魔王討伐の決め手になるとは思ってもいなかった。



「口惜しいわ! このまま負けて消え去るだなんて……。私の野望はここで終わるはずがないのよぉ……。」


「往生際の悪い魔王だな。さっさと死んじまいな!」



 究極奥義は完全に入った。その影響で体がボロボロと崩壊していっている。それでも中々消滅に至らないのはさすがにしぶといとしか言いようがなかった。人をいたぶる時は大分ねちっこいやり方で攻めてきたが、自身が滅ぶ時もそんな傾向になるとは……。



「私の本体はここで滅ぶかもしれない。でも憶えておきなさい。私には”大蛇の八首”があるから、その意志はその者達に引き継がれる!」


「”大蛇の八首”だと? 一体何のことだ?」


「ホホホ、これについてはあなたも何人か見ているはずよ。ナドラ・グランデ、ウルティマ、リン・アヴェラル、彼女たちは私と波長が近かったから、意識を共有し観察してもいたし、力もか与えていたのよ。魔族だとは気付かれないように一定の距離は保っていたのだけれどね!」



 ナドラおばさんとリンについては言われてみたら、確かに腑に落ちる点はあった。気質が少し魔族に近いところまで悪辣だったのは、コイツが影から操っていたためだったとは! しかし、待てよ? 八首というからにはまだ該当者が世界のどこかに存在しているということなのか?



「私が死んだとしても、彼女たちの憎悪の念が消えない限りは意志が受け継がれていくわ! あなたをどこまでも苦しめてあげるわ!」


「ケッ! 似た気質の人間に引き継がせるとは、どこまでも意地汚え魔王だぜ! さっさと死にやがれ!」


「うふふ! せいぜい足掻くことね! 私を倒したとしても、まだ(ハリス)がいるわ。彼に手柄を上げるのは口惜しいけど、勇者を倒せるのならやむを得ないわ。彼の”人造勇者計画”の成果から生き延びることは出来るかしら? この空間を出た瞬間あなたは絶望することになる!」



 蛇の魔王の言う通り、今回は攻めてきた羊の魔王に対処するために作戦が始まったのだ。誰も予想し得なかった蛇の魔王の参戦により、大きく作戦を狂わされる結果になったはずだ。


 どれくらい時間が経過したのかはわからないが、参加しているメンバー達への影響が気になってしょうがない。エルやファルはうまく対処してくれているのだろうか?



「彼の計画の最大の成果が”K’”。あなたは彼に勝つことは出来ない。何故なら……、」



 魔王は気になるキーワードを残して完全に崩れ去り、消滅してしまった。羊の魔王の研究の果に完成したものとは一体何なのか? ”K’”、この名前の意味することとは? 気になるような言葉を最後に吐いて死んでいくとは、散り際まで後味の悪さを残す最悪な魔王だったな。



「これで元の世界に戻れるのか? ここまでの死闘を終えた後で、更に厄介な奴をあいてにしないといけないのか……。」


「覚悟しときな。この後はアッと驚くような展開が待っているぜ。腹をくくるんだな。」


「なんだよ、他人事みたいに言いやがって! 人類存亡の危機がかかっているんだぞ!」


「残念だが、俺が手を貸してやれるのはココまでだ。これ以上干渉すると、あとあと面倒なんでな。あのお方にも迷惑がかかる。」


「お前は付いてこないのかよ?」



 コイツは蛇の魔王が言っていたことの詳細を知っているんだろうか? その大変さも知っているようなのに手を貸さないとはどういうことだ? コイツの正体、立ち位置というのがイマイチ理解できない。渋る理由がよくわからない。



「誰もお前の味方だとは言ってない。あくまで死なれちゃ困るから、あのお方の指示で手を貸してやったんだぜ? 少しは感謝しな?」


「ああ、曲がりなりにも手を貸してくれたことは感謝する。ありがとう。」


「次はお前の味方側でいるとは限らんぜ? 次は敵の側にいるかもしれねぇ。少なくとも魔王には手を貸したりはしないがね。」



 その受け答えはまるで謎掛けのようだった。味方だったり、敵だったり。かといって魔族とは関わり合いはないのだという。その目的は「俺を死なせないこと」にあるのだとも。ますます謎めいた存在に見えてきた。やつの上司と思われるあの人物に関しても……。



「冗談はここまでにしとこうぜ。でないとお前の仲間たちの命が危うい。あいつらも一応死なれちゃ困るんでな。」



 そう言って、パッチラーノは転送門を側に出現させた。早い所、俺を元の世界に返してしまいたいようだ。口ぶりからすると俺の仲間を死なせなくない辺り、敵ではないような気がするんだが……?



「あばよ! 次会う時はおそらく聖都のど真ん中でだ! キリキリ働けよ、この幸せモンがぁ!!」


「どうわぁ!?」



 無理やり腕を引っ張られ、転送門に押し込み、しまいにはケツを蹴り飛ばしてまで退場させられてしまった。なんだかよくわからない世界での問題は解決して良かったが、次に待ち受けるアクシデントとは一体何だろうか?

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