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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第343話 爆拳、鉄砕!!


「おのれ! よくもぉ!!」



 真正面の顔面が崩壊し激怒する魔王。顔としての機能を果たせなくなった事に伴い、代わりに左側の顔を回転させ正面に持ってきた。顔は合計三つある。全てを潰さないことには顔を潰したことにならないのだ。少なくとも死角は増えたのかもしれないが。



「顔面崩壊! これで人間だったら、お嫁に行けないってレベルになっちまったな? 魔王さんよ? それとも予備があるからセーフってか?」


「おだまり! そもそも外野であるあなたにどうこう言われる筋合いはないわ!!」


「まあまあ、固いこと言うなよ? 俺と戦ってたらもっと酷いことになってたろうぜ? 甘ちゃんの勇者が相手だったことに感謝するんだな?」


「きいいっ!!!!」



 相手をしている当人の俺ですら憚られるような煽り文句をコレでもかというくらいに、パッチラーノは浴びせている。元々、相手を利用したり焚き付けたりするような行動が目立つ男なので、どうしても口が緩んでしまうようだ。味方にいたら少々厄介だが、敵からしたら傍迷惑なのは間違いない。それなりの煽り体勢が要求されるだろう。



「まだよ! まだ戦える! 武器を一つ失い、顔も一つ失っただけよ!」


「まだやるんだな? 俺はそのまま戦いを続行する。武器がなくてもな!」


「ホホ、そういうことよ。お得意の剣技は使えないものね。まともに戦えるはずがない。さっきのはただのまぐれ。私が油断していたから通用しただけ。二度も同じ手は通じないわ!」



 魔王の言う通り、”爆拳鉄砕”はある意味切り札的な技だ。剣技を主体としている俺が意表を突く形で義手の拳で殴りつけるからこそ、通用するだけだ。予めタネがわかっていれば、対策は容易なはず。躱されれば大きな隙きを晒すことになるし、伸び切った義手は構造的に脆くなるのは必然だ。下手に外せば、義手を破壊される危険が大きいだろう。



「さあさあ、行くわよ! さっきのお返しを数倍の痛みに変換してあげるわ!」



 先の一連の流れで直剣を失ったものの、まだ三種の武器と蛇の腕がある。ついでに言えば俺の剣も所持している。手数が多いのは何も変わっていない。素手での攻撃しか使えない今の俺では非情に不利な戦いを強いられる事に変わりはないのだ。



「アッハハ!! それそれ! これなら近づくことも出来ないでしょう? おとなしく切り刻まれて死んでおしまいなさい!」



 刀と矛と槌、三つの武器はあべこべに振り回されているだけだが、拳の有効な間合いに近づくことさえ出来ない! 相手はさっきまでとは明らかに攻撃の傾向を牽制主体に切り替えているのだ。遠い間合いから攻撃し、ジリジリと追い込むような戦いぶりだ。これはなにか意表を突くような行動をして相手の懐に飛び込み、一気に決めるしかない!



「すりゃあっ!!」



 矛で大きく突きこんで来た所を姿勢低くして躱す。その勢いで矛の下をくぐり抜けるような動きで滑り込み相手の足の間をくぐる! 一度は防がれた行動だが今度はうまくいくはずだ。何故なら……、



「な、何? どこへ行った?」


「やっぱり見えていないんだな!」



 そう、顔を一つ潰したからこそ、死角が生じてしまっている! 前にやった時は後側も見えていたからこそ反応されてしまったのだ。今は左側の顔を正面に向けたおかげで、潰れた顔が右斜め後ろを向いているのでちょうどそこが死角になっているというわけだ! 



極凄(きょくせい)……、」



 その死角から一か八か、とある奥義の再現を試してみることにした。低い姿勢から刳りこむように拳を突き上げる!



「……龍…旺…、」



 義手の右腕で相手の背中の表面を刳りながら、拳を突き上げ、相手の潰れた顔の顎にまで到達した! 本来ならここで拳を振り抜くのだが、俺の力ではここまでで限界だった。だが、ここは義手の補助を借りて技を強引に成立させる!



「……覇!!!!」


(ズドォォォォォン!!!!!!)


「めぎゃああああっ!!!!!!」



 最後のひと押しを爆拳鉄砕で成立させた! その威力は絶大で相手の巨体は真上に大きく吹き飛び、洞窟内の天井に叩きつけられる事になった! その衝撃があまりにも強すぎたのか、相手は手にした武器を全て手を離してしまう。相手の本体と共に武器がバラバラと落ちてくる。俺はすかさず自らの剣をキャッチし、あの技の体勢に移った。



「天破……陽烈……、」


「おいおい、容赦なしかよ!」


「ぐへぁ……!?」



 容赦はしない。このチャンスは逃さない。相手に付け入る隙きを与えれば、今までのように窮地に陥るかもしれないからだ。ここで相手が動けない今、あの技をまともに食らわせて完全に勝ちを取りに行く!



「……八刃斬!!!!」


(ズボァァァァァァッ!!!!!!!!)


「ギニャアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!!」



 止めの一撃ということもあってか、残った全ての顔から断末魔の叫びを上げている。この技を喰らえば魔王であってもひとたまりもなく消滅する。例えこの体が本体ではなくとも魂とは直結しているはずなのでコアの破壊は免れない。これは天破奥義”波紋浸透”の効果で威力が隅々まで行き渡るからこそ可能となるのだ。

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