第340話 誤解だけでは済まされない……。
「パチッ!?」
「目を覚ました? また、擬音を自分で言ってる!」
はたまた、急転直下のアクシデントで気を失っていたでヤンス! 落下してきたプリメちゃんを偶然助けたと思ったら、踏んづけられ、殴られ蹴っ飛ばされてしまったでヤンしゅ! 楽しいスタンプラリーがどうしてこんな事にっ?
「ハアハア、死ぬかと思ったでヤンスよう!」
「災難だったね? でも、何が起こったのか訳が分からなかったよ。」
「正に即死コンボさながらだったのでヤンしゅ! アレをもう一回食らったら確実に死ぬでヤンス!」
本当にちょっと死にかけて、三途の川の向こう岸でメダカじいちゃんがおいでおいでしてたのが見えたでヤンスよ! 「コッチに来たら、カリカリィーノ(※カリカリの豪華版)が食べ放題たぞ」とか言ってたでヤンス。でも、逆にそれで目が覚めたんでヤンしゅ。カリカリはあっしにとってトラウマなのが功を奏したでヤンス。危なかったぁ!
「でも、あの人達は何? タニシ君の扱いがヒドくない? 助かったのにセクハラ扱いなんて?」
「あっしの扱いなんてそんなモンなんでヤンしゅよ。
「タニやん、コレって人種差別じゃないの? タニやんを蔑んでからかっているようにしか、オレには見えないけど?」
人種差別……。このワードが出た瞬間、その場が凍りついたでヤンス。いつものお気楽なムードから、一気に殺伐としたフンイキに! しかも、その発言がダンチョーによるものだから、余計に張り詰めた感じになってるでヤンス! エピオン君なんてスゴイおっそろしい顔でダンチョーを睨んでるでヤンすぅ!
「何よ、アンタ! 部外者なのに口を挟まないでくれる?」
「部外者? 違うな。オレはれっきとしたタニやんのダチだよ。そんな文句を言われる筋合いははない。」
ダンチョーの発言に反応したミャーコちゃんが強気な様子で反論し始めたでヤンス! こういう事言われたたら真っ先に反論していくのがミャーコちゃんなんでヤンしゅ。売られた喧嘩はバーゲン・ダッシュの如く、最速で対応するんでヤンスよ!
「この犬畜生はウチの下僕! アンタみたいなどこの者とも知れない野良犬なんかに取られる筋合いなんてないんだよ!」
「タニやんを下僕扱い、奴隷扱いかよ! 未だにこんな人間がいたなんてな。やっぱ人間ってのはいつまでも自分たちの過ちを改めようとしない。」
「なんなのよ! 急に難しいこと言い始めちゃって! そんな話、今は関係ないじゃん!」
うあああ! なんか話が重い方向に入ってきたでヤンス! あっしの扱いの問題から人種差別の話に切り替わってきたでヤンしゅ! ただの冗談でのやり取りが、傍から見たら差別的扱いに見えちゃったみたいでヤンスよ! ダンチョーはそういう話には敏感みたいでヤンしゅから、禁句だってクロガネ団のみんなから聞かされてたんでヤンしゅ!
「関係あるね。でも、良かったよ。タニやんを無理やり仲間から引き剥がすのはちょっと問題あるかなと思ってたけど、そうでもなさそうだ。勇者以外はロクでもない奴ばかりなのは理解した。」
「アンタ、何様のつもりよ! エラそうに説教なんてしちゃってさ!」
「オレ? 魔王だよ。犬の魔王。タンブルって言うんだ、憶えとけよ。」
「ま、魔王!?」
一部の人を除いて、みんなビックリしてるでヤンス! ミャーコちゃんなんて、闇の力を察する能力がないから尚更でヤンしゅ! 怖いもの知らずで、どんな相手にも突っかかっていくからこんな事が起きるんでヤンスよ!
「魔王、だなんてハッタリは止めなさいよ! 笑えない冗談よ!」
「ホントだぞ? 見せてやろうか、魔王の力を?」
ダンチョーは手にした黒くて大きいいつも持っている武器をミャーコちゃんに突きつけたでヤンス! コレは流石に普通の武器じゃないとミャーコちゃんは察したのか、少し後ずさりしてるでヤンス!
「何よ、これ! こんなだいそれたモノを野良犬ごときがなんで持ってるのよ!」
「野良犬じゃないぞ。コレは本物だ。」
「それ、アンタのデーモン・コアだろ?」
「ん? さっきからオレを睨んでたヤツか……。」
ここでエピオン君がやってきて大胆な質問を投げかけたでヤンス! やっぱ闇の力を持つもの同士、見ただけでだいたいわかってしまうのかもしれないでヤンしゅ。でも、さすがにデーモン・コアだなんて、話がぶっとんでるでやんしゅう! そんなんある意味、◯ん◯ん丸出しにして歩いているようなモンでヤンスよ? ましゃか、ねえ?
「気付いた? 流石にわかってしまうか? お前も持ってるからだろ? イノシシのコアを?」
「チッ! やっぱりわかるのか。仕方無い。本物の魔王だからか。」
「一目見ただけでわかったさ。この中で一番強そうなのはお前だったし。」
なんか戦いに発展しそうなフンイキだったのに、この二人が対面すると逆にそれが収まりを見せようとしてるでヤンス! お互い初対面のはずなのにわかりあったみたいな感じに?
「お前とはあまり戦いたくないな。オレ達みたいに人間に虐げられた事があるみたいだし。」
「ああ。オレは人間に対して恨みを抱いている。でも、味方とは限らないぞ? オレはヴァル様の部下だからな。」
「ヴァル・ムングか。アイツは嫌いじゃないよ。他の人間どもとは違う感じがするし。お前らは後回しだ。他に敵がいるしな。」
「そういう事になりそうだ。オレは勇者と教団を潰すつもりでいる。」
案外、闇の者同士で和解してしまったでヤンス。意外な結果で終ったというか……。珍しくエピオン君に助けられる形になったんでヤンス。でも、あっしが闇の勢力に属するというのがハッキリしてしまったでヤンしゅ! ガーン、でやんしゅう!