第339話 ガメオベラで挑戦失敗は避けたいわけですよ?
「ああもう! ダイブしたら、下にスケベ犬がいるだなんてついてないな、もう!!」
「むしろクッションになってくれてよかったんじゃないですか? そんな言い方は失礼では……?」
テンション上がったついでに展望デッキからの決死のダイブ! 木々をくぐり抜け、華麗に着地を……と思っていたら、真下にスケベ犬がっ! 私の最強(?)ムーブの果てにはそんな悲劇が待ち受けていたのだ!
「失礼なものか! だってさ、スケベ犬だよ? あのスケベ犬が落ちた先に待ち受けていたんだよ? わかるかね、ワトソン君?」
「僕はワトソンじゃありません! ロッヒェンJrです! あなたはタニシさんのおかげで命拾いしたんですから……。」
いのちびろい? 命広い? 命拾い? ああそういうことか。ふむふむ。でも拾ったっていうのか? なんかそれだと私の命が落ちてたとか、落っことしたみたいな意味にならない? いくらなんでも、あたしゃソコまでドジドジのドジっ子じゃありませんよ、と!
「命拾い? ……命拾いなものかぁ〜!!」
「うわぁ!? ビックリした! 突然大きな声を出さなくても……。」
「むしろ、命失いそうになっちゃったよ! あわよくば、一騎失ったようなものだよ? 私の一騎は血の一滴よりも貴重なのだよ! わかるかね、イマイズミ君?」
そう! 私は危うく一騎失いかけたのだ! 安定の着地を決めれると思っていたところに、下には問答無用用で一発死亡の即死トラップが存在していたわけですよ? そんなク◯ゲー、どこにあるんですか、と言いたい! こんなの炎上必至案件以外の何物でもありませんよ!
「イマイズミ君て誰のことですか? いや、それよりも一騎って単位に変わったのは何故ですか? それと、”あわよくば”の使い方間違ってますよ?」
「せやかて、クドウ!! いちいちツッコミとかせえへんでええから!!」
「どうして突然、口調がオーク訛りになるんですか……。」
しゃあないがな! そんだけ突っ込まれたら、やむを得んのやで! 怒るでしかし! でもまあ、正味の話、話の内容が拗れて来てるッちゅうのもある。軌道修正が難しなってきたんやで。
「一騎っていうのは貴重なもんなんやで? 果てしない挑戦の途上で『隊長、一騎やらせて下さい』とか言われない限りは、おいそれと挑戦権を他人に差し出せるようなモノやないんやで? ガメおベラ、まっしぐらですよ?」
「ええと……? 一体何の話をしているんですか? さっぱり内容が……。」
「あとね、終電とか、タイムオーバー、果てには次の日に延長とか宿題の線も考えとかんと、いかんのですわ。〇〇のプリンスとしてのプレッシャーとかプライドみたいなのもあるもんで……。」
ガメおベラ、要するに挑戦失敗だけは避けたいところなんやで! どっかで再挑戦ていう先もあるけども、〇〇◯の称号までの道のりは果てしなく遠くなるし、万年、カチョーってのもなんかねぇ……。どないやっちゅうねん! カチョ・エペペ!
「いや、まあ、ぶっちゃけスケベ犬なんて、〇〇コとおんなじやしね……。」
「わーっ!? わーっ!? あなたのような人が一番言っちゃいけないワードですよ、それ!」
「ええやん、かまへん、かまへん。〇〇コ、〇〇コ、〇〇コなんてみんな似たようなもんですよ。別に言うたところで減るもんじゃないし。」
「わーっ!? わーっ!? ダメですって! 女の子が言うようなワードじゃありませんよ! ドサクサに紛れて卑猥なワードを連呼しないで下さい!」
いちいち大げさだなぁ。私の口を押さえてまで止めるほどのことではないような気が……。もしかして、私へのボディタッチをするための口実なのでは? 意外と大胆なマネをする子だねぇ? まあ、イケメンだから許してあげるとしよう。
「ハッ! やっぱ、馬鹿につける薬は何もないな! あんなところからテンション上がったくらいでダイブなんてバカ丸出しもいいとこだ! おまけに犬畜生をクッションに命拾いなんて、チョーウケるんですけど?」
「うるさい! 女は度胸!! ああいう時は飛び込んだもん勝ち! 福を掴む、運を掴むのは命張った者だけなんじゃい!」
「ウンを掴む? ◯◯コを踏んづけたようなもんだろ?」
「悪かったな! どうせフンだよ! お前も蹴っ飛ばしてただろうが!」
「タニシさんをそういう風に言うのだけは止めてあげて下さい……。」
なんだよ? アバズレがいちゃもんを付けてきやがった! 激しいツッコミの次は激しいディスりかよ! 負けないぞ、負けないからな? 世の中、やったもん勝ちだということを思い知らせてやる!
「しかしさあ、アンタ達、ボケとツッコミの関係が成り立ってるんだし、お笑いコンビ、コメディアンでも始めたら? その方が世界が平和になるんじゃないの?」
「こ、コメディアン!? 僕はそんなつもりじゃ……。」
「いいだろう! その言葉受けて立つ! お笑いコンビでもなんでもやったらぁ! 後悔するなよ? お前らアバズレ、ヤサグレコンビには負けないからな!」
「コンビですか? まあいいですけど……。」
なんとかコンビ結成することになった! あのダークでクールなヤサグレ君も気になるところだが、アバズレに塩を送るつもりで譲ってやる! 絶対負けないからな! 首を洗って待っていろ!