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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第334話 プラン”B”に変更しても問題は無い。


「いやいや、現実を見てないのはアンタの方だろ?」


「フフ、何を言っているのかしらね? いずれにしたって、あなたは勇者の次よ。首を洗って待ってらっしゃい。」



 パッチラーノの話の真偽はわからない。少なくとも蛇の魔王はハッタリだと判断し、俺の相手を続行することにしたようだ。この様子を見たハゲは肩をすくめて顔を左右に振っている。見るからに呆れ果てているといったところか。



「先にあなたを始末することを優先させるわ。彼が味方だったなら、もう少しおもしろい事をしようと考えていたのにね?」


「く! 今更、何をしようとしてたんだよ?」


「ここでチャンスタイム、解毒剤のプレゼントをしようと思っていたのよ。彼の命を犠牲にすることで手に入るという条件付きでね。」



 また、犠牲か。ここに辿り着くまでの間にも何度か犠牲を捧げるような展開が多くあった。その演出自体が魔王の企みだということに途中で気付いた。そもそも、俺がここに誘い込まれる原因となったのも、それだと言える。俺は直前までミヤコを傷つけてしまった事を後悔していた。正にそこを付け込まれたのだろう。



「アイツを犠牲に? 冗談を言わないでくれ。俺は決して犠牲なんて出して自分が助かろうなんて思わない。」


「そう言うと思ってたわ。あなたの性格だから断るだろうと。でも、どうかしら? このまま息も絶え絶えになって、体を切り刻まれていく中でも同じことが言えるのかどうか、見てみたかったのよ。」


「とことん、悪趣味だな。」


「ホホホ、人は追い詰められた時に本性を見せるの。それを見るのがどれほど楽しいことか。結局、高くて綺麗な理想を掲げていても、心が折れる瞬間というものが存在するのよ。それを見るのが楽しくて仕方無い!」


「いったいどれほどの人間を傷つけてきたんだ、お前は?」


「さあ? 忘れてしまったわ。一々娯楽のために費やした費用なんて誰も憶えていないものでしょう? 特に人間ならそうでしょうに。」


「この悪魔め!!」


「悪魔よ。それもその頂点にいる魔王なのよ、私は。」



 人を苦しめ、苦悩している様を見て楽しんでいるなんて……。なんという悪趣味なんだ。これほど卑劣な行いをする魔王はコイツが初めてかもしれない。今までのは残酷だったり冷酷だったりで、暴力だけを楽しんでいるようなのが多かった。


 コイツはこの前戦ったアイローネとなんとなく性根が似ている。真の悪魔はこれほどあくどいものなのだろうか? そうだとすると、更に上位にいる魔王達はどれほどのものなのだろうか? 想像することさえ恐ろしく感じる。



「残念だけれど、プランを変更したわ。”犠牲”によるものから、”孤立”することへの恐怖というものを味合わせようと思ったの。あなたはいつだって仲間に支えられているのを見て思いついたのよ。」


「それが俺だけをココに引きずり込んだ理由か?」


「あくまでこれはプラン”B”として考えていたけれど、今の状況は思いの外、(ハリス)側にとっては都合が良かったみたいね。あなたと仲間を分断させるのは得策だもの。今頃、彼は張り切ってあなたの仲間たちと遊んでいるでしょうね。」


「”勇気の共鳴”を妨げるためだな。」


「ふふ、わかっているじゃない。それよ。それが私達にとって脅威なのよ。何をしでかすかわからないものね。フェルディナンドやアイローネでさえ退けたのだから。」



 実力的には学長やアイローネは相当な強さだった。特に学長は魔王さえも凌ぐほどの強さだった。それさえも乗り越えたのは”勇気の共鳴”が奇跡を起こしてくれたからだと思う。遥かに上回る相手に対抗する力を与えてくれた。



「とにかく分断さえしてしまえばあなた達の力は大きく減衰する。それにあなたは剣技以外はほぼ無能よね。回復魔法や毒を治療する術など持たないから。」


「そうだな。メイちゃんがいたらお前なんか楽に倒せただろうな?」


回復術士(ヒーラー)の小娘ごとき大したことはないけれど、勇者の固有能力である毒への耐性を有効に使わせないためには分断は必要だった。倒せないだけでも厄介だけれど、事ある事に対処されては、苦しめられないから。」



 今まで毒を何度かくらったことはあるが命に別状はなかった。致死性の高い猛毒でも症状が重くはなっても死なない。額冠の加護は偉大だ。だが、今はそれが逆に悪い方向へと作用している。いくらでも症状を悪化させて、俺を苦しめてきているのだ。魔王にその盲点を突かれている。



「犠牲についてあなたいたぶろうと考えていたけれど、仕方のないこと。あなたにもう一つの弱点があって良かったわ。あなたはとことん無能だもの! 歴代勇者の中でも圧倒的にね!」



 魔王の怒涛の攻撃が再開された。毒で弱っった体を更にいたぶるために。刀剣で切り裂き、槍で突き刺し、微妙に致命傷にならないような攻撃を繰り返す。その度に俺は出血が増え、血だるまのようになっていった。



「おおっと! 手が滑ってしまったわ!」



 今まで軽い手傷を負わせる攻撃ばかりだったのが、突然、命を奪いかねない攻撃を繰り出してきた。あくまで相手はミスを装っているようだ。普段なら避けられる攻撃だが、弱りきった今の状態では躱せない、避けられない。俺はこのまま死ぬのか……?

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