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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第333話 毒のスペシャリスト


「これであなたの剣技は封じた。もう後は散々いたぶった上で息の根を止めてあげるわ。さあて、どんな形で苦しめてあげようかしら?」



 毒酸を浴びせられた直後はまだ原型を保っていたが、剣と義手はボロボロに腐食して崩れ去ってしまった。なんてことだ! これではもう戦う術がない! 利き腕も失い、左腕だけでどう戦えというのか?



「勇者の剣はとてもやっかいな物だったわ。基本的に持ち主と完全に同調(リンク)してしまったら、本人を倒さない限りは壊すことは出来なかった。でも、呪いと毒を併用して使えば、破壊できるということがわかったのよ。」


「呪いの力も作用してるのか? だから、勇者の加護を無効化して壊すことが出来た、と?」



 勇者の武器は勇者の額冠を付けている物が持っていれば、歴代勇者の加護の力によって守られる。もちろん巫女の力で本人用に最適化されていればの話だ。だからこそ、カレルの剣は折れてしまったのだ。


 ただし、例外はあるようで、圧倒的な力を持つ”(トウテツ)”や今回の呪いの毒酸を使えば、破壊は可能なようである。それぞれ別の方法だが、闇の力で加護を突き抜けた上で影響を及ぼしているのだと思う。相手を倒すとか相手を貶めるための執念の力がなした現象なのだろう。



「これでもう諦めがついたでしょう? ここで負けを認めるなら、楽に止めを刺してあげてもいいのよ?」


「いや、遠慮しとくわ。俺、結構諦めが悪いやつなんでね。」


「じゃあ最大限に苦しんだ果てに死なせてあげるわね!」



 魔王の熾烈な攻撃が始まった! 6本の腕に持った武器で交互に仕掛けてくる! 今までは剣があったから防げたものの、それを失った今はひたすらに逃げ回って避けるしか手立てがない!



「そらそらそら! 早く動かないと、切り刻まれてしまうわよ!」 


「うっ! くっ!!」



 最初のうちは辛うじて避けることが出来ていた。でも、次第に相手が動きを早めていくうちに、少しずつ体に攻撃が掠める様になってきた。最初から怪しいと思っていたが、やはり相手は手を抜いて攻撃していたのだ。今、この時に絶望感を味合わせるために徐々に本気を見せるつもりだったのだろう。



「ホホホ! どうかしら? 徐々に攻撃が当たるようになってきてるわ。どうしてかしらね?」


「最初から手を抜いてたんだろ? そうでもなきゃ、こんなことは出来ないはず!」


「あらあら、気付いてしまったのね? 仕方ないわ。でも、それ以外にも理由があるんじゃないかしら?」



 確かに相手の攻撃が激しくなっていっているのかもしれないが、他の可能性も出てきた。俺自身の体の動きが徐々に鈍ってきている気がする? 少し目が霞んで、見ている物にピントが合わせにくくなってきているような……? まさか、武器に毒が塗られているのでは?



「む、うう……!」


「ホホ、徐々に効いてきたわね。遅効性の毒が効き始めたのでしょう? 次第にあなたの力を奪っていくわよ。でも、安心なさい。決して毒だけでは死なない程度の強さに設定してあるから!」



 やっぱりだ! 相手は毒を使っていたんだ! 徐々に力を奪い、体の動きを鈍らせるための毒を仕込んでいたんだ。しかも、それだけでとどめを刺すことのないように効力を弱めていたのだ。正に毒の使い手だから、自由自在にコントロール出来るのだろう。



「さて、勇者の命もあとわずか。とどめを刺す前に確認しておくわ。そこのお連れのスキンヘッドさん? あなたは加勢しないの? このままでは勇者が死んでしまうわよ?」


「俺かい? ははん! 余計な確認なこった。もちろん、俺はただの見物人、ここに勇者を案内しただけのただの水先案内人なだけだぜ。」


「あらあら、味方ではなかったの? それとも、勝ち目がないから我関せずを決め込んでいるだけかしら? 貴方自身も命を失いかねない危機ですもんね?」


「ハッハ、冗談を言っちゃいけないぜ! 俺は最初からそいつの仲間なんかじゃないぜ。ただの監視対象さ。それにな、俺は死なないぜ。」


「それはどうしてかしら?」



 俺がどんどん虫の息になってきたのをいいことに、こんどは見物を決め込んでいるハゲの方を魔王は気にし始めた。確かに様子がおかしい。俺に手を貸すどころか、魔王と一緒に罵りさえした。一体何のつもりでここまで付いてきたのか、一向に目的が見えてこない。何者なのだろう、コイツは?



「どうしてって、決まってるだろ? ……それは俺の方が強いからよ!」


「ホホホ! なかなか面白いわね、あなた! ますます気に入ったわ。どう? 私の眷属になってみない? あなたならきっと素敵な魔族になれるわよ?」


「やなこった。俺ァ、悪人としての自覚は持っちゃいるが、魔族なんかになるつもりはないぜ。すでに心から慕っている偉大なお方がいるんでね。これから真っ逆さまに転落するような”三流魔王”なんかに仕えたくはないわな!」


「面白い冗談を言うじゃない? 誰が落ちぶれるですって? 眼の前の現実を見てモノを言っているのかしら?」



 なんだか話がおかしな方向に動き始めた。ハゲのビッグマウスぶりにはあきれる。こんな状況でよくもまあ、そんな冗談が言えたものだ。確かにアイツは強い。でも魔王を倒せる程かどうかは甚だ疑問だ。しかも、魔王がこのまま負ける事を示唆するような言動をしている。一体どういうつもりなんだ?

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