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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第329話 カース・オブ・ロトン


「魔法が使える事を大っぴらにしないで隠しているんて、魔族らしくないじゃないか?」


「全て力をひけらかすような魔族なんて二流もいいとこだわ。手の内は本当に必要になるまで取っておくものなのよ。」



 今まで相対してきた魔族達は自身の能力をひけらかすような連中が多かった。それは人間たちに対して圧倒的な力を誇示することで、畏怖や劣等感を植え付け優位に立とうとするためだったのかもしれない。



「特にあなたに対しては魔術の使用は慎重にならないといけないのよ。本来は高度な技術を要するはずの無効化の魔術、それをあなたは得意体質を利用して簡便に取り扱うことが出来るものね。安易に魔術を使えば無効化され、反撃の機会を与えてしまうのは得策ではないのよ。」


「ははっ、よくご存知じゃないか。しかもあれは『魔法が来る』って身構えない限りは発動できないもんだしな。さっきの火炎旋風のときはそれどころじゃなくなってしまったし……。」


「そうでしょうね。私は性質を見極めた上で魔術を使用した。あなたの戦法、技、性格は研究の上で対策をしてきたつもりよ。あなたの戦い方が通用するとは思わないことね。」


「こりゃまた、ご執心なことで……。」



 あんな土壇場で魔法を使ってきたのは、俺が防御できない状況なことを見越した上での事だったようだ。あの状況になるまで解禁しなかったのは効果的にダメージを与えるためだったのだろう。口ぶりからすると、これ以外にも隠し玉を持っていてもおかしくない。全て裏を搔かれるものと見て慎重に手を出さなければ負けてしまうかもしれない。



「全ては対策済み。今までの戦闘記録、この異空間での茶番、それらからあなたを分析して盤石に事を運ぶ作戦を練ってきた。今のあなたは焦り、恐怖を感じている。それはいずれ恐怖や絶望へと変わっていくのよ。その様を見るのが楽しみで仕方ないわ。」


「さて、どうかな? 思い通り、予定調和みたいにうまく行くとは限らないぜ?」


「あなたの拙い頭脳に何が出来るのかしらねえ? 身の程を知ってから言いなさいな!」



 魔王は左右3本ずつの腕をそれぞれくっつけ、1本の太い腕の様にした上で左右交互に振りかざす。煽られた空気がまたたく間に旋風となり、次第に竜巻と変化していく。当然、さっきと同じで火の粉も纏っている。火炎竜巻の再来だ。



「 火燕流、炎熱渡り!!」


(ゴオオオオオッ!!!!!)



 火炎の竜巻がこちらに向かってくる。さっきのは防御用に周囲に発生させるものだったが、今度は竜巻を相手に向けて放つ魔法のようだ。そしてこちらはさっきと違って自由に動ける状態だ。今なら防御は出来る。しかし……?



「極端派奥義、峨嶺辿征!!」


(バチィッ!!!!)



  魔法を相殺すると同時に独特の破裂音が発生する。火炎竜巻は次第に力を失い、そよ風程度まで勢いを落としていった。ここまではいい。こうも簡単に相殺されることは相手も想定済みのはず。何か搦手を狙ってくるはず……? 竜巻が消えて視界が明瞭になった途端に異変に気がついた。ヤツの姿がない!



「消えた? どこへ行ったんだ?」



 キョロキョロと見渡すが、周りは岩がポツポツ存在するだけで後はよく見知ったハゲがいる以外は何も姿が見えない。跳んだか、と思い頭上を見渡してもその姿は発見できなかった。本当に消えた……?



「いない? 気配自体は感じるのに?」


「なにか忘れちゃいないか、旦那? こんなところで姿を隠すといえば、アレしかないだろう?」


(……ドパ!!!!!)



 眼の前の地面が突然溶岩溜まりに変化して、大きな人影が飛び出てきた! その瞬間、人影は俺に向かって何かを放つ! とっさに俺は剣で斬り払うが、放たれた何かが義手の右腕と剣にベットリと付着した感触が残った!



「ホホホ! かかったわね! これでもうあなたの負けは確定したわ! 剣さえ封じてしまえば、ただのお馬鹿さんに過ぎないのよ!」



 付着した何かを見てみると何かの粘液のようだった。それは義手と剣にベットリと付着し、何か白い煙を上げながら、シュウシュウと音を立てている! これはまさか、金属を腐食させるという”酸”ってやつか?



「それは何だと思う? これはかつて私が勇者王の”クーザー・ブレイド”を腐食させた”腐敗の毒酸(カース・オブ・ロトン)”! 私が研究の上に作り出した、究極の毒でもあり酸なのよ! あらゆる物を腐らせ、最終的には朽ち果てさせる物なのよ!」


「くそっ!? 剣が壊されちまったのか!?」



 まだ形状は保っているが剣も義手もそれぞれ次第に力を失くしていっているのが伝わってくる。特に義手は、握力と腕力を失くしていき、剣を持っているだけでもやっとの状況になってきた。こんな状態では戦うことすら出来なくなってしまう!



「フフフ、これが私の得意とする力、毒の闇術よ。あらゆる毒の力を操り、相手を次第に衰弱させ朽ち果てさせる。対象の周りにも毒を撒き散らし、蔓延させる事も出来るのよ。」



 勇者王の剣や俺の剣を破壊するだけじゃなくて、疫病の様に拡散させるようなことも使えると言うのか? 方方で聞く、死体をアンデッド化する力もコイツの手によるものなのかもしれない。これまでの主達を蘇らせたのはそれを使ったんだろうな……。

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