表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
325/413

第325話 一見、最弱とか思いますよね?


「ドラゴンズ・へヴン、彼らを利用してコアの力を覚醒させるところまではうまくいっていたのよ。一度、魔族として覚醒させた上で体を乗っ取りさえすれば、私の計画は完了していたはずなのよ。」



 これはエルと初めて会ったときのことを言っているのか? あの時、邪竜が持ってきたコアの働きを活性化させる薬の影響で、エルはデーモンのような姿に変貌した。あの一連の流れが全て蛇の魔王の企みによるものだったとは、当時考えもしなかった。俺が関わってきた事件の裏で蛇の魔王が暗躍していた事を知って、更に怒りがこみ上げてきた。



「その時にあなたはいた。あの時はあなたの力など取るに足らないと思っていた。実際、牛の魔王を討伐させたシャルルや先代のカレルに比べれば、大きく見劣りしていたもの。」


「ハッハ、ちげえねえや。ハッキリ言って旦那は先代とかに比べりゃ見劣りするわな。」


「悪かったな! どうせ俺は歴代最弱の勇者だろうよ。ていうか、パッチラーノ! お前はどっちの味方なんだ!」



 歴代の勇者を知っているであろう魔王はともかく、目の前のハゲにまでバカにされるとはどういうことなんだろう? まるで他の時代の勇者を知っているかのような口ぶりである。いったい、この男は何者なんだろう? 魔王なんかよりも遥かに怪しい存在に思えてきた。



「だが、その判断は間違いだった。そうなんだろう、魔王さん? 俺だって同じ思いをしたからよくわかるぜ。」


「あまり人間に同意なんてしたくはないけれど、そういうことよ。大魔王に覚醒する途上で勇者も倒してしまえれば、都合はいいと思っていた。そのはずが、あの番狂わせが発生したおかげで私の計画は台無しになった! あの娘からコアが失われてしまったのよ!」


「通常は斬れない、概念的な物質さえ斬って捨てた。物理法則を完全に無視してやがる。前代未聞だぜコレは!」



 あの時は生きた心地がしなかった。俺は絶望的な思いにかられ、必死に戦った。だが、心の底から巻き起こる使命感が俺の絶望感を払拭した。根拠のまるでない、対処できるという自信が俺を支え始めたのだ。その思いに従い、”霽月八刃”を完成させたおかげで、今があるのだ。



「その後、もう一度あの娘の体を奪取することを試みたけれど、あなたに再び阻止された! あの娘の心の闇に付け入り、再び黒く染め上げてやろうと思っていたのに!」


「自ら身を乗り出して器の奪取を試みるも失敗。今度は味方の魔王と結託して勇者打倒を考えた、なるほどな。」


「口惜しいけれど、(ハリス)と結託して、あなたを確実に打倒することを考えた。あなたの”あの技”への対策を講じた上でね!」



 ”あの技”とは八刃のことを指しているのだろう。どんな対策をしているのかが気になるところだが、技自体を相殺する手段は存在する。例えば、”八相殺し”が具体的な手段として挙げられるだろう。


 最もそれは流派梁山泊の技を極めた上で、同じく八刃を扱える人間でなければ行使できる手段ではない。同じ技で反対の位相をぶつけることで無効化する手段なのだ。あの技を相殺するならそれなりの熟練が必要になる。



「まさか、流派梁山泊の技を習得したとか言わないだろうな?」


「習得? 修練? 馬鹿を言わないでほしいわね。あなた達、人間のような泥臭い手段なんか使いたくもない! 私達魔族は知力と魔力に優れた存在。知略を行使すれば、そのような原始的な手段などあっと言う間に凌駕出来るのよ。」


「そのための回りくどい悪巧みか。俺もできれば、見習いたいもんだぜ。」



 回りくどい? もしかすると、今までの出来事のことを言っているのかもしれない。不可解な罠、展開、人々。それら全てが魔王の策略だったのは間違いない。自分の作り出した世界なのだから当然だろう。しかし、それがどのように八刃を破る事につながるのかは疑問である。



「あなた、中々、魔族に近い精神性ね。素質あるわよ。私達の仲間にしてあげてもいいわよ?」


「魅力的なお誘いだが、俺にはすでにお使えしている偉大な主がいるもんでね。お断りさせていただくよ。」



 確かにパッチラーノの思考は悪魔的だといえる。犠牲を生むことも手段を選ばないことにも躊躇いを感じていなさそうだ。このハゲはどちらかというと悪党のサイドに位置する人間だろう。でも、俺は心底悪どい人間だとは思っていない。一回喧嘩はしたけどな。



「敵か味方かハッキリしないけれど、私にはどうでもいいことよ。あとは勇者を始末するだけ。そのための下準備はしっかりと行ったもの!」



 蛇の魔王は破壊の女神と化した異形の体を動かし、複数の腕を花を咲かせるように目一杯広げてみせた。その手にはそれぞれ武器が握られている。その種類は様々で、剣、刀、斧、槍、薙刀等一度に複数の武器を手にしている。二刀流どころではない。六刀流ともいえるスタイルになっている!



「あなたに防ぐことができるかしら? こんなにたくさんの武器を持った相手とは戦った事はないでしょう?」



 破壊の女神は身構え、俺に狙いを定めると一気に間合いを詰めてきた! 確かに最近、二刀流の相手と戦ったが、こんな戦闘スタイルの相手と戦うのは初めてだ。どうやって対処すればいのか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ