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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第316話 1+1=200→10倍だぞ10倍(???)


「観念しろ! ここがお前の墓場となるのだ!!」



 かつて倒したはずの敵に囲まれ絶体絶命の事態。いやいや、ついさっきまでは処刑されかけてたんだから、相手が変わっただけで仕切り直しになっただけだろう。なかでもいちばん張り切っているのが虎だ。前回も復讐のつもりが失敗に終わったので、今度こそはということなんだろう。



「今度こそブッコロ……、」


(バサァッ!!!!!!)


「うわ! 何をする!!」



 俺に殴りかかる直前で虎は目の前から消えた。大きな影が奴を掻っ攫ったのだ。大きな羽音と共に空に舞い上がったので、トリ様が犯人だったようだ。足で文字通り鷲掴みにされてジタバタもがいている。コイツら、どういうつもりでこんな事をしているのだろう?



「オレ様の獲物をとるな! お前のようなガルガル野郎はおとなしく見ていろ!」


「何を言う! 俺の方が権利は上なんだよ! 二回もやられてるんだからな!! 一回+一回は二回じゃないぞ! 俺の場合は200回分に相当する! 10倍だぞ10倍!!」



 何やら、味方同士で揉め始めている。我こそが俺に復讐する権利があるのだ、と。なんなんだ、このまとまりのなさは? ここに来る前にちゃんと打ち合わせくらいしてこいよ。しかも虎は前みたいに筋肉的な超理論を展開している。相変わらず世界の法則を無視した計算になっているので、聞いているだけで感覚がおかしくなってくるわ。



「スプラッシュ・ブレス!!!!」


(バッシャアアアアアアアアッ!!!!!!!!)


「おうふ!!!」



 敵の揉め事に気を取られていたら、いきなり水流に流された。海の主が隙きを見て俺を攻撃してきたのだ。容赦なく壁まで吹き飛ばされ、水浸しにされてしまった。とっさに受け身をとったのでダメージは最小限で済んだ。



「ああっ! このウミヘビ野郎! 抜け駆けしやがったな!」


「オレ様がガルガル野郎を抑えているうちに攻撃しよって!」


「我には関係のないこと。あやつめを倒すことこそが我に与えられた使命。あのお方はそれを望んでおられるだけだ。うぬらの目的など知ったことか。」



 他の二人が揉めている間に攻撃してきた海の主だったが、コイツだけは少し主張が違うようだ。あくまで”あのお方”のために動いていると言っている。俺への復讐の意はないように見える。あくまで主に従うつもりのようだ。ますます、”あのお方”とやらの正体が気になってきた。



「お前が抜け駆けするんなら、オレ様はこうしてやる!!」


(バヒュンッ!!!)


「うわーーっ! 何をする!!」



 トリ様は何を思ったのか、虎野郎を俺に向けてぶん投げた。だが、そんな見え見えでいきあたりばったりの無茶な攻撃は俺にあっさりと躱され、虎が壁に激突する結果になった。コレが普通に連携攻撃だったらこうはならなかったはずなのにな。



「クソクソクソ!! なんてことしやがる! 俺は武器じゃないんだぞ!」


「邪魔すんなら、武器やら盾やらに活用しないとなぁ!」



 足の引っ張り合い、抜け駆けに限らず、味方を利用して攻撃することまで始めた。故あれば、盾として身を守るとまでも。ここまで統率の取れていない敵は初めて見たような気がする。どこまで仲が悪いのか。まるで三すくみのような状況が発生し、一向に俺を倒す方向に向かない。まあ、俺としてはその方が助かるんだが。



「お前ら、人が他事に気を取られてる時に抜け駆けしおって! そいつは我の獲物ぞ!!」



 ただでさえ揉めている状況に、騎士たちを全て蹴散らしてきた亀がやってきた。これで全ての主たちが勢ぞろいしたわけだが、更に揉め事が加速しそうな雰囲気だ。見るからに連中の機嫌が悪くなっているのがわかる。日に油を注いだような状態だ。



「うるさいわ! ドンガメのクセに! てめえなんぞ、永遠に兎の後でも追っかけてりゃいいんだよ!」


「誰がドンガメだ! ドンは”首領”のドンよ! そこを勘違いするなと言っておろうが!」


「ハハッ! お前だけ出遅れてスルーされかかったクセに! 一番手で、四天王の中では最弱のポジションのくせによ!」


「無様にやられて、仲良くアンデッド化させられたお前らに言われたくない!」



 ああ、やっぱアンデッド化してたんだ。前にトリ様だけ何体も現れたみたいな現象とは関係ないみたいだ。しかしここで一つ疑問が湧いてきた。トリ様と海の主はわかる。虎野郎はどうやって復活したんだろう? アカに体を食われたものの、乗っ取りを画策するも、失敗に終わりアカに体を奪われたようなものだ。てことは、ここにいる奴はどうやって体を手に入れたのか……?



「……そろそろ頃合いさね。」


「え?」


「アタイらが抜け出す隙きが出来たってことだよ。」


「は! まさかお前?」



 虎野郎はいきなり女口調になったかと思うと、俺の手を引き闘技場の入口までダッシュした。この口調忘れはしない。アカ・シャッセのものだ。もしかして、今までのは完全に芝居を打ってくれていたのか? 奴らに紛れ込んで俺を救い出すために……?



「なんとかなったようだね。アイツらがバカで助かったよ。」


「やっぱ、お前なんだな!」



 見た目が虎野郎から女性的な外見となり確定した。間違いなくアカが虎野郎のフリをして紛れ込んでいたんだ! ピンチから一転、窮地を救われた訳だ。しかし、俺達は何故離れ離れになっていたのだろう? 思い出せ……うっ、頭が……!

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