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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第315話 四天王の一番手って大体、地属性。


「な、何だこれは!?」



 突然現れた黒い塊。その向こう側でソード・ダンも驚いている。奴だけではなく王国の連中も騒いでいるので、処刑に関するものではないのだろう。なんだか俺を守るような形で現れたのは軍前ではないはず。虎野郎が言っていた”あのお方”とか、アカの家族の敵からの差し金だろうか?



「何事だ!? 処刑の邪魔をするのは何者ぞ?」


「何者か、だと? 我を知らんとは不届きな奴らよ! 我は”陸上の覇王”、すなわちドンだ!」



 なんか黒い塊から声が聞こえた。ただの岩ではなく、なにか生き物であることは間違いない。でも岩のようにゴツゴツしていて、どこに顔や足があるのかわからない。岩石生命体とかだったりするんだろうか? じゃあ、魔法生物?



「ど、ドン!? 貴様が伝説の……?」



 なんだか王様は正体を知り青ざめているように見える。顔は見えなくとも、ジェスチャーやら口調やらでなんとなく察せる。”陸上の覇王”と名乗っているが、もしかしてこのエリアの”主”に相当するのだろうか? そういえば、”海”、”雲”、”空”ときて何か物足りないなと思っていたら、”陸”がなかったからなんだ! これでスッキリした。ようやく4体目の主様がお出ましになったわけだ。



「我が名はドン・ガメチョ! ”陸上の覇王”なりぃ!!」


「伝説のドンが現れよるとは! これで我が国の命運もこれまでか……。」



 ドン・ガメチョ! 名乗り出ると共に、黒い塊から大蛇のような尻尾が生え、4本の足が体を持ち上げる。最後にはワニのように凶暴そうな顔が現れ、その真の姿を見せつけた! 亀だ! 謎の塊の正体は、岩のような甲羅を持つ巨大な亀だったのだ!



「お前らも終わりだ。我の獲物を横取りした罪は重いぞ! まとめて食い散らかしてくれる!」


「その男は我が国の跡継ぎを殺したのだ。処刑する権利は我らにある!」


「うるさい! それを言えば我など、仲間を3人も倒されている! 復習の権利は我にあり!!」


「むうう! 伝説のドンといえど、処刑の権利は譲れぬ! 皆の者、ドンを討ち取るのだ!!」



 なんだか、処刑の権利やら復習の権利やらを互いに主張し始めた。目的は俺を倒すことで共通しているのに、誰がやるかで不毛な争いが勃発しようとしている。処刑の雰囲気からガラリと変わり、戦場のような光景となってしまった。いかにも魔物退治の様相だ。俺とソード・ダンは完全に置いてけぼりだ。



「ちょっと待て! 俺はどうなるんだ? この男の処刑を任されているんだぞ!」


「うるさいわ! お前のような雑魚に何ができる!」


(バグッ!!!!)



 ソード・ダンの姿は一瞬にして消えた。いや、ドンに食らいつかれたのだ! たった一口で口の中に放り込まれ、咀嚼後、喉の奥に送り込まれた。完全に死んだ。奴はあっけなく最後を迎えてしまった。ほんの一瞬の出来事である。周りの誰もがその光景に唖然としていた。



「我に逆らえば、このような目に会うのだ! 我に刃を向けたものは例外なく滅びの道を辿ることになる!」


「構わぬ、やれ! その化け物を倒すのだ!」


「突撃ぃ!!!」



 ドンの圧倒的な強さの前に怯む王国の騎士たちだったが、王の命には逆らえない。俺を連行した時の隊長の号令で一斉に突撃していく。それをドンはものともせず、長い尻尾で蹴散らす。


 全員がそれでやられた訳ではないが、くぐり抜けて本体までたどり着いたとしても、攻撃が通じていなかった。岩のように固く、武器のほうが壊れいる者が大半だった。それに唖然としている間に食らいつかれて絶命する。そんな地獄が目の前で繰り広げられていた。



「ちくしょう、どうするよ? 加勢するべきか? 奴らを助けたところで、また捕まってしまうしなぁ?」



 悩ましいところだ。いっそのこと、この混乱を利用して逃げてしまおうか? とはいえ、この世界の主なら倒す必要があるし、奴も俺を狙ってきている。そもそも、この世界から元の世界に戻るために、奴との戦闘は避けられない。


 でも、ここで加勢したら王国の連中は助かり、俺は捕まってしまう。これじゃ結局、先には進めないのである。身動きが取れない。困ったものである。



「おやおや、漁夫の利を狙っているやつがいるぞ。」


「ん? 誰だ?」



 迷っている俺を揶揄する奴がいる。背後から聞こえてきた声の主を確かめるために振り返ると、見覚えのある奴がいた! 巨大な鳥、巨大な龍、そして虎男! そう、これまでに倒してきた主達がそこにいたのだ! 死んだ奴が何故ここにいるのか見当がつかなかった。


「なんでお前らが!?」


「ハッハ! 驚いたか? オレ様達は蘇ったのだ! お前に復讐するためにな!!」


「地獄の底から帰ってきた! お前も一緒に連れて行くために!!」



 奴らの体からはどす黒いオーラが漂っていた。以前はこんな気配は出していなかったのに? だが、たいていそんな気配を発しているのは魔族かアンデッドの魔物くらいだ。奴らはたしかに死んだ。ということは間違いなくアンデッドとして蘇ってきたのだろう。虎野郎が地獄から帰ってきたと言及している辺り、それで間違いなさそうだ。



「今はお前一人、しかも我ら四天獣は4人全員揃っている! お前に勝ち目はないぞ!」



 確かに倒したときは仲間がいた。今度は逆に俺があの時のあいつらと同じ立場になっている。今の所、ドンは騎士たちと戦っているから、実質的には一対三である。とはいえ不利なのは間違いない。さて、どうやって切り抜けるべきか……。


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