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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第309話 双剣術、二虎挟食


「喰らえ、我が最大の一撃を! 怒れる雄牛(マッドブル)!!」



 相手は自らの剣を角に見立てた攻撃を仕掛けようとしている。下手に避けようとしても間に合う間合いじゃない。この状態からあの技を凌ぐには、攻防一体の、あの双剣術を使うしかない。相手の攻撃の威力を逆に利用した上で倒す。私を射程圏内に捉えた相手は上から下にに切り落とそうとした!



「真正面から我が技を受けるつもりか!」


「双剣術、二虎挟食!!」


(ギャギィィィィィィィン!!!!!!)



 姿勢を低くして上方向に上がるための溜めを作り、上に伸び上がりつつ二本の剣で左右から交差するように受け止める! 甲高い音とともに相手の剣には亀裂が入り、半ばからポッキリと折れていった。これが二虎挟食、相手の技の威力を利用する迎撃技。



「我が剣を折っただと!」


「これで勝負あった。異論はないアルな?」


「う、ウム。武器を壊されてしまったとあらば仕方ない。負けを認めよう……。」


「勝った! リンシャンが勝った!」



 相手の隊長さんは武器を壊された事実を受け止め、潔く負けを認めた。本来なら命ある限り倒れるまで戦い続ける気概のある人たちだと思うけど、自らの戦術を施行しきれない状況に陥ったのを認めたみたい。それを見てミリガルドも隊長の判断に従って降参の意志を見せている。でもあとの一人は様子が違った。わなわなと体を震わせ怒りを露わにしている。



「認められるかよ! こんな奴らに負けるようなオレ達じゃない!」


「おい、ゴッタ、止めんか!」


「ゴッタ、素直に負けを認めるのです!」



 ゴッタは仲間の制止を振り切り、私に殴りかかろうと襲いかかってきた! 確かに彼だけは武器が壊れていないし、気も失ったりしていなかったので納得がいかなかったみたい。彼の攻撃に備えるため再び構えを取ろうとした時、誰かが私の前に割って入ってきた。



「間に合って良かったですわ。このまま、陽動失敗の汚名を返上できないまま終了してしまうのは都合が悪くってよ!」


「チクショー! ウチらの作戦が破られるなんて思ってなかったよ! これでなんとか取り返せるチャンスが巡ってきた感じ? あとはウチらに任せな!」


「姉御! ヘイちゃん!」



 私の前に現れた援軍は陽動役の二人だった。床が崩落した時の騒音を聞きつけ様子を見に来たんだろう。ちょうど私がゴッタと戦おうとしていた時だったので見かねて入って来たんだと思う。でも、二人は戦いは得意じゃないと思うので下がってもらわないといけない。



「その人は強い。二人がかりでも大変ね。」


「へへ、舐められたもんだ。お前らみたいな奴らは瞬殺してやるよ!」


「舐めているのは貴方の方ではなくて? 私は魔術以外にも戦闘手段があるんでしてよ!」



 ヘイちゃんは右腕を突き出し、なにかを呟いたと思ったら、肘から先が無骨な金属の塊に変貌した! 初めて会った時に付けていた義手! あの戦闘用のかぎ爪がついた大型の義手だった。彼女の可憐な体とは不釣り合いな物を再び私達の前に持ち出してきた。



「なんだいそりゃあ!? そんな不釣り合いなゴッツい義手なんて使いこなせんのかよ?」


「使いこなせるも何も、これはタルカスおじさまとの絆の賜物でしてよ。貴方ごときの輩程度ならたやすく葬って差し上げますわ。」


「上等だ! そんなものはスクラップにしてやるぜ!」



 ゴッタはヘイちゃんに殴りかかる! それでもヘイちゃんは平然と身構え、相手の拳をかぎ爪で受け止めた! 義手自体は大きくてもヘイちゃん自身の腕は細い。それなのに、自分よりちからの強い相手の攻撃を微動だにせずにうけとめている。それはとても不可思議な光景だった。



「ぐっ!? なんでこんな小娘にこんな力が!? びくともしない!?」


「言ったはずですわよ。これはおじさまとの絆の賜物であると。」


「うあっ!? 馬鹿な!? 体が持ち上げられる!?」



 拳を掴んだまま、彼女はゴッタの体を持ち上げていく。軽々と拳から摘み上げるようにして相手を宙に浮かせる。相手は逃れようともがいているけれど、その行為も虚しく外れぬまま放り投げられ、壁に叩きつけられた。



「ぐはっ!? こんな小娘に弄ばれるなんて!!」


「小娘と侮った貴方の落ち度ですわ。」


「……く、そ……。」


「やった! ウチらの勝ちだ!!」



 勝敗に不平を言う者がいなくなり、私達の勝利はようやく確定した。思い通りにならず色々大変だったけれど、みんなの絆で乗り越えられた。多分それはこの変な異世界で過ごした時間があったからだと思う。あの白い大きな塔に入った時のままならこうはいかなかったはず。



「お前は何も勝利に貢献してないだろ! 肩書通り遊んでただけのくせに!!」


「うっさいわ! お前なんかそのまま漬物になっちゃえ!」


「はいはい、二人共喧嘩は止めて瓦礫を動かすアルよ。プリちゃんだけじゃなくて、壁のおじさん達も助けないといけないアルから……。」


「ちょっとまってリンシャン! 一つお願いがあるの!」


「え? 何アルか?」


「そのかっこいい分離する剣ってどこで売ってるの? まずはそれを知りたい!!」


「プリちゃん……。」


「馬鹿だろ、こいつ。」



 助けてもらう前に聞くことなのかな? 瓦礫の下にいるのにすごい元気そう。すごいお目々キラキラさせて楽しそうな顔してる。プリちゃんってすごいかわいいのに、なんか性格的に男の子みたいなところがあるよね……。


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